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第106話 13人目の救厄の聖者 ④
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「ミカナってさー、こっち来たとき、わたしと同い年だったよね?」
「んー、確かそう。16? か、17だったと思う」
「あれから10年? 11年? 経ってるじゃん?
わたしもミカナもアラサーじゃん?
でも、ミカナもメイも、タカミも全然更けてないよね?」
「あー、わたし、19歳から年を取らない設定だから。
あと、どけだけ食べても太らない設定」
「は? なにそれ?」
「本気で言ったわけじゃかったんだけど、おにーちゃんに冗談で言ってみたら、なんだっけ? おにーちゃんのクラッキングなんとかってやつ。
あれで年をとったり太ったりしないようにしてくれた。メイもおにーちゃんもそうだよ」
「えー、まじか……
タカミっちに頼んだら、わたしも年を取らないだけじゃなくて、若返らせてくれたりとかするかなー?」
「リサだけじゃ無理じゃないかなー。
でも、マヨリからふたり一緒にって頼んでもらったらいけるんじゃない?」
「タカミっち、マヨリのこと好きっぽいもんね」
「そうだねー、リバーステラに残してきた彼女が、顔も名前もおんなじだからねー」
相変わらず馬鹿なこと言ってるなと、タカミやミカナと共に11年前にこの世界を訪れた、彼女の親友である山汐メイ(やましお めい)は思った。
本来の陰陽師である比良坂コヨミ(ひらさか こよみ)もまた、全裸だと余計馬鹿っぽさが引き立つな、と思った。
ふたりとも、同じ女性であるがゆえ、まぁ毎日おしゃれや化粧するのはしんどいよね、とプライベートの彼女たちをすぐに受け入れられた。
実際にはふたりとも今まさに公務中であるのだが。
ふたりが化粧をしてないなら自分たちもしなくていいよね、おしゃれも適当でいいよね、となった。
しかし、リサの防人である連璧マサト(れんぺき まさと)は男性であったため、ふたりがダメになり始めた頃は非常に戸惑わされた。
ジパング中の民が、男女問わず憧れる三人の女性のうちのふたりが、ノーメイクなだけではなく、キャミソールとパンツ一枚で女王執務室をうろつきはじめたからだ。
だが、ふたりが全裸になりはじめて3日も経つ頃には、もはやふたりの全裸を直視しても何も感じないようになっていた。
もはやそれは、非日常ではなく、ありきたりで何のありがたみもない、日常の風景だった。
それどころか最近のマサトは、蓮(はす)の葉を常に持ち歩いており、どのタイミングでふたりの股間に葉っぱを置こうかと、タイミングを見計らっているくらいだった。
彼らがいる女王執務室に「ゆらぎ」が出現した。
この国でそれを作ることができるのはひとりだけだった。
「リサ様、ミカナさん、タカミさんが来られますよ」
マサトの言葉に、ふたりは「はーい」と返事だけをし、服を着ることもなければ、姿勢を正すことも、指一本動かすこともなかった。
ゆらぎから現れた雨野タカミは、そんなふたりを見て、ため息をつくと、
「エウロペの飛空艇がこちらに向かって来てる。
救厄の聖者たちだ」
と、マサトとコヨミに、そしてリサとミカナに言った。
いよいよか、とふたりは思った。
「返璧の塔のバリアはすでに解除しているようですね。こちらの塔もすぐにバリアを解除します」
「念のためアメノトリフネにいつでも変形できるようにしておきますか?」
ふたりは、指示を受ける前にすぐに動いた。
ふたりにとって、タカミは別に上司というわけではなかった。
陰陽師の肩書きを与えられてはいるが、彼はあくまで女王たちが異世界から招いた客人に過ぎない。
タカミは指示を出せる立場ではなかったし、ふたりがその指示に従わなければならない立場でもなかった。
だが、彼はこの国やこの世界のことを誰よりも理解しており、常にジパングの民にとって正しい選択と判断をしてくれる。
もはやジパングになくてはならない存在であった。
だが、ふたりにはわかってしまった。
彼はもうすぐ、ミカナやメイと共にリバーステラに帰ってしまうのだ。
「ふたりとも、ありがとう。
ぼくが言うのもおかしな話だけど、ジパングのこと、マヨリちゃんとリサちゃんのこと、ジパングに住む、すべて人や動物たちのこと、よろしくね」
やはり、そうだ。
救厄の聖者たちがジパングに向かってきているということは、太陽の巫女であるふたりの女王や、すべての陰陽師や防人たちとは、桁違いの力を持つ彼こそが、聖書にある大厄災を防ぐ者のひとりだということなのだ。
「メイはぼくについてきて。
ミカナはどうする? こっちでリサちゃんとそうやってだらだらくらす?」
「んー? どういう意味ー?」
ミカナは眠いのか、タカミに適当な返事をした。
「ミカナ、ぼくは今、大切なことを聞いてるんだ。
ふたつの世界を救って、三人で元の世界に帰るか、それとも何もせずにふたつの世界を滅びるのを見てるか。
13人目の救厄の聖者である、雨野ミカナに聞いてるんだ」
そこにいる誰もが、その言葉に耳を疑った。
「んー、確かそう。16? か、17だったと思う」
「あれから10年? 11年? 経ってるじゃん?
わたしもミカナもアラサーじゃん?
でも、ミカナもメイも、タカミも全然更けてないよね?」
「あー、わたし、19歳から年を取らない設定だから。
あと、どけだけ食べても太らない設定」
「は? なにそれ?」
「本気で言ったわけじゃかったんだけど、おにーちゃんに冗談で言ってみたら、なんだっけ? おにーちゃんのクラッキングなんとかってやつ。
あれで年をとったり太ったりしないようにしてくれた。メイもおにーちゃんもそうだよ」
「えー、まじか……
タカミっちに頼んだら、わたしも年を取らないだけじゃなくて、若返らせてくれたりとかするかなー?」
「リサだけじゃ無理じゃないかなー。
でも、マヨリからふたり一緒にって頼んでもらったらいけるんじゃない?」
「タカミっち、マヨリのこと好きっぽいもんね」
「そうだねー、リバーステラに残してきた彼女が、顔も名前もおんなじだからねー」
相変わらず馬鹿なこと言ってるなと、タカミやミカナと共に11年前にこの世界を訪れた、彼女の親友である山汐メイ(やましお めい)は思った。
本来の陰陽師である比良坂コヨミ(ひらさか こよみ)もまた、全裸だと余計馬鹿っぽさが引き立つな、と思った。
ふたりとも、同じ女性であるがゆえ、まぁ毎日おしゃれや化粧するのはしんどいよね、とプライベートの彼女たちをすぐに受け入れられた。
実際にはふたりとも今まさに公務中であるのだが。
ふたりが化粧をしてないなら自分たちもしなくていいよね、おしゃれも適当でいいよね、となった。
しかし、リサの防人である連璧マサト(れんぺき まさと)は男性であったため、ふたりがダメになり始めた頃は非常に戸惑わされた。
ジパング中の民が、男女問わず憧れる三人の女性のうちのふたりが、ノーメイクなだけではなく、キャミソールとパンツ一枚で女王執務室をうろつきはじめたからだ。
だが、ふたりが全裸になりはじめて3日も経つ頃には、もはやふたりの全裸を直視しても何も感じないようになっていた。
もはやそれは、非日常ではなく、ありきたりで何のありがたみもない、日常の風景だった。
それどころか最近のマサトは、蓮(はす)の葉を常に持ち歩いており、どのタイミングでふたりの股間に葉っぱを置こうかと、タイミングを見計らっているくらいだった。
彼らがいる女王執務室に「ゆらぎ」が出現した。
この国でそれを作ることができるのはひとりだけだった。
「リサ様、ミカナさん、タカミさんが来られますよ」
マサトの言葉に、ふたりは「はーい」と返事だけをし、服を着ることもなければ、姿勢を正すことも、指一本動かすこともなかった。
ゆらぎから現れた雨野タカミは、そんなふたりを見て、ため息をつくと、
「エウロペの飛空艇がこちらに向かって来てる。
救厄の聖者たちだ」
と、マサトとコヨミに、そしてリサとミカナに言った。
いよいよか、とふたりは思った。
「返璧の塔のバリアはすでに解除しているようですね。こちらの塔もすぐにバリアを解除します」
「念のためアメノトリフネにいつでも変形できるようにしておきますか?」
ふたりは、指示を受ける前にすぐに動いた。
ふたりにとって、タカミは別に上司というわけではなかった。
陰陽師の肩書きを与えられてはいるが、彼はあくまで女王たちが異世界から招いた客人に過ぎない。
タカミは指示を出せる立場ではなかったし、ふたりがその指示に従わなければならない立場でもなかった。
だが、彼はこの国やこの世界のことを誰よりも理解しており、常にジパングの民にとって正しい選択と判断をしてくれる。
もはやジパングになくてはならない存在であった。
だが、ふたりにはわかってしまった。
彼はもうすぐ、ミカナやメイと共にリバーステラに帰ってしまうのだ。
「ふたりとも、ありがとう。
ぼくが言うのもおかしな話だけど、ジパングのこと、マヨリちゃんとリサちゃんのこと、ジパングに住む、すべて人や動物たちのこと、よろしくね」
やはり、そうだ。
救厄の聖者たちがジパングに向かってきているということは、太陽の巫女であるふたりの女王や、すべての陰陽師や防人たちとは、桁違いの力を持つ彼こそが、聖書にある大厄災を防ぐ者のひとりだということなのだ。
「メイはぼくについてきて。
ミカナはどうする? こっちでリサちゃんとそうやってだらだらくらす?」
「んー? どういう意味ー?」
ミカナは眠いのか、タカミに適当な返事をした。
「ミカナ、ぼくは今、大切なことを聞いてるんだ。
ふたつの世界を救って、三人で元の世界に帰るか、それとも何もせずにふたつの世界を滅びるのを見てるか。
13人目の救厄の聖者である、雨野ミカナに聞いてるんだ」
そこにいる誰もが、その言葉に耳を疑った。
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