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第119.2話 信じたくない話
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(元王太子視点)
両親に呼び出されたかと思えば、信じられない話であり、信じたくない話を聞かされてしまった。
「……ち、父上、なんと言ったのですか? わ、悪い冗談しか聞こえなかったのですが……」
今、父上が言った言葉ははっきり聞こえたのだが、理解できない。いや、理解したくない。そんな事はあってはならないから……
「そうか、それならもう一度言ってやろう」
嫌だ、本当は聞きたくない。聞かなきゃいけないんだけど聞いたら事実だということになる……。
ミロアが、ミロアが……そんな……
「公爵令嬢ミロア・レトスノムは侯爵令息オルフェ・イーノックと婚約したそうだ。レトスノム公爵から書状での報告があった。おそらくは間違いあるまい」
「……っ!?」
僕の体がワナワナと震える。二回もこんな重要なことを聞かされれば嫌でも分かったからだ。婚約したってことが事実なんだってことが!
あのミロアが……僕以外の男と婚約してしまったということが!
「そ、そんなぁっ! 嘘だぁっ!? そんな馬鹿なことがあってたまるかぁっ! み、ミロアが僕以外の男と婚約した!? そんなのは、」
「嘘ではない。あのレトスノム公爵が冗談を言える男でもなければ大嘘を吐くような男でもないことは私がよく理解している。……ミロア嬢はもうお前の元に戻らないことが確定したということだな」
「な……な……!」
な、なんてことだ……僕に愛想を尽かしたのは屋敷に来てやった時によく分かったが、誠心誠意謝罪していけば元のミロアに戻ると思っていたのに……。そうでないと僕は……!
「そ、そんなら……僕はどうなるのですか!? ミロアを婚約者にしないと僕の立場が! 王太子に返り咲くことは!?」
「……ミロア嬢が他の男と婚約したことよりも王太子の立場が重要か」
「……っ!?」
それがどうだと言うんだ! 僕にとってはミロアよりも王太子という将来のほうが大事なんだ! そもそも誰なんだよ、そのオル……なんとかっていうのは!?
「お、王太子のことはともかく……ミロアと婚約したその……その男は何者なんですか!? 聞いたこともない家名ではないですか!?」
「本気で言っておるのか?」
ああそうだよ……と声を荒らげたいが、父であり国王を相手にそんな事はできない。だが、どこの誰かもわからないやつがどうしてミロアと婚約なんて……まさか!?
「まさか、ミロアは休学と偽って他国と通じていたのですか!?」
「何故そうなる。……お前はミロア嬢の交友関係すら把握していなかったのか?」
「は? 交友関係?」
「イーノック家は我が国の侯爵家であり、その子息のオルフェはミロア嬢の幼馴染なのだ」
「えええええええ!?」
あ、あのミロアに幼馴染が!? しかも侯爵の家の男だって!?
「その驚きようだと、お前はそんなことも知らなかったわけか。子供の頃に婚約した間柄のくせに」
「え、え~と……?」
知らないよ。ミロアの交友関係なんて……
両親に呼び出されたかと思えば、信じられない話であり、信じたくない話を聞かされてしまった。
「……ち、父上、なんと言ったのですか? わ、悪い冗談しか聞こえなかったのですが……」
今、父上が言った言葉ははっきり聞こえたのだが、理解できない。いや、理解したくない。そんな事はあってはならないから……
「そうか、それならもう一度言ってやろう」
嫌だ、本当は聞きたくない。聞かなきゃいけないんだけど聞いたら事実だということになる……。
ミロアが、ミロアが……そんな……
「公爵令嬢ミロア・レトスノムは侯爵令息オルフェ・イーノックと婚約したそうだ。レトスノム公爵から書状での報告があった。おそらくは間違いあるまい」
「……っ!?」
僕の体がワナワナと震える。二回もこんな重要なことを聞かされれば嫌でも分かったからだ。婚約したってことが事実なんだってことが!
あのミロアが……僕以外の男と婚約してしまったということが!
「そ、そんなぁっ! 嘘だぁっ!? そんな馬鹿なことがあってたまるかぁっ! み、ミロアが僕以外の男と婚約した!? そんなのは、」
「嘘ではない。あのレトスノム公爵が冗談を言える男でもなければ大嘘を吐くような男でもないことは私がよく理解している。……ミロア嬢はもうお前の元に戻らないことが確定したということだな」
「な……な……!」
な、なんてことだ……僕に愛想を尽かしたのは屋敷に来てやった時によく分かったが、誠心誠意謝罪していけば元のミロアに戻ると思っていたのに……。そうでないと僕は……!
「そ、そんなら……僕はどうなるのですか!? ミロアを婚約者にしないと僕の立場が! 王太子に返り咲くことは!?」
「……ミロア嬢が他の男と婚約したことよりも王太子の立場が重要か」
「……っ!?」
それがどうだと言うんだ! 僕にとってはミロアよりも王太子という将来のほうが大事なんだ! そもそも誰なんだよ、そのオル……なんとかっていうのは!?
「お、王太子のことはともかく……ミロアと婚約したその……その男は何者なんですか!? 聞いたこともない家名ではないですか!?」
「本気で言っておるのか?」
ああそうだよ……と声を荒らげたいが、父であり国王を相手にそんな事はできない。だが、どこの誰かもわからないやつがどうしてミロアと婚約なんて……まさか!?
「まさか、ミロアは休学と偽って他国と通じていたのですか!?」
「何故そうなる。……お前はミロア嬢の交友関係すら把握していなかったのか?」
「は? 交友関係?」
「イーノック家は我が国の侯爵家であり、その子息のオルフェはミロア嬢の幼馴染なのだ」
「えええええええ!?」
あ、あのミロアに幼馴染が!? しかも侯爵の家の男だって!?
「その驚きようだと、お前はそんなことも知らなかったわけか。子供の頃に婚約した間柄のくせに」
「え、え~と……?」
知らないよ。ミロアの交友関係なんて……
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