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母娘丼W027 元カノ、まさかの社宅凸
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母娘丼W
Zu-Y
№27 元カノ、まさかの社宅凸
『今日は定時上がりだよー。』
『はーい。』
『はーい。』
『もうすぐ着くよー。』
スーパーで買い物を終え、社宅に向かうとき、リャイーンで天使たちに知らせた。俺と天使たちの3人のリャイーングループだ。
『なんかねー、ジョージさんの部屋の前に知らない女の人がいるよ。』プリちゃんから第一報。
『その人ねー、さっきからジョージさんの部屋のインターホン、何度も押してるんだよ。留守なのに。』すぐにアリちゃんから続報。
マジか!エリカかも知れんな。
『絶対に、部屋から出ちゃだめだぞ。それと、インターホン押されても無視してね。』
『了解。』こっちはアリちゃん。
『りょ。』こっちはプリちゃん。
さて、エリカにはちょっと本気なところを見せるかな。
「もしもし、警察ですか?社宅に不審な女が侵入しているとのことです。今、4階にいるようです。何か持っていて凶器かもしれません。帰宅途中なんですが、今は部屋には子供たちしかいないので心配です。ドライアド・ジャパンの社宅で、所在地は…。」
凶器はでっち上げだが、最初の情報は混乱するものだ。それに、『いるようです。』『かもしれません。』と、可能性を言っただけだから、嘘はついてない。
しばらくして社宅が見えて来ると『凶器』が効いたのか、パトカー数台と警察官が十数名駆け付けて来た。やばい、ちょっとやり過ぎたんじゃね?
急いで社宅のエントランスに入ろうとすると、警官に止められた。
「すみませんが立ち入り禁止です。」
「自宅なのですが…。」
「不審者がいて、凶器を持ってる様なので、危険です。」
「でも今、自宅は子供たちだけでして。怯えていると思うんです。」
「電話か何かで励まして上げて下さい。」
ダメだ。入れてもらえん。『凶器』は完全にやり過ぎた。通報だけにしときゃよかった。冷汗
『今、帰って来たんだけどさ、警官が入れてくれないんだよ。そっちは大丈夫?』
『大丈夫だよ。』
『平気。』
『あのねー、警察の人が来てね、女の人と話してるよ。』
『なんかねー、女の人はジョージさんの友達だって言ってる。』マジか?やっぱりエリカじゃん。
『あー、女の人が警察の人に連れて行かれたー。』
エントランスからエリカが警官数人に囲まれて出て来た。
「だから402号室に住む友人を訪ねて来ただけなんですよ。それにこれは凶器じゃなくて、手土産のケーキだって言ってるでしょ。友人宅を訪ねるのに手ぶらって訳には行かないじゃない。疑うんなら中を確認してよねっ。」
相変わらず気が強いなぁ。警官たちに食って掛かってら。
関わらないように迂回しようっと。
「あー、ジョージ!」ちっ。見付かったか。
俺まで警官たちに囲まれて事情を聞かれることになった。めんどくせー。
「あなた、こちらのエリカさんのお知り合いのジョージさん?って、議員の息子たちをいじめで告発したジョージさんじゃないですか。」
「あ、あのときのお巡りさん。その節はどうもお世話になりました。」
「あー、そんなことはいいんですが、こちらのエリカさんはお知り合いですか?」
「さあ。」
「ちょっとジョージ、さあって何よっ。」
「どちらさんです?うーん、思い出せないなぁ。」
「何、惚けてんのよ!」
「あー、エリカさんって大学時代に…いましたっけ?」
「ふざけないで。いい加減にしてってば!」
「卒業以来、会ってないんですよ。いきなり分かる訳ないでしょう?それに、あなたとは関わりたくないし、そう伝えましたよね?」
「あれ?それじゃあ、やっぱ知り合いなんですね。」馴染みのお巡りさんが痛いところを突いて来た。
「お巡りさん、関わりたくないってのを、社宅の住所まで調べ上げて突撃して来るのって、ストーカーですよね?接近禁止命令とか出せないんですか?」
「じゃあ署で手続します?詳しく事情を伺うことになりますが。」
「子供たちが待ってるんで今日はちょっと。」
「子供たち?」
「エリカには関係ないだろ。いちいち詮索しないでくれよ。」
「お巡りさん、私は無罪放免でいいのよね?」
「そうですね。」
「俺んちに来られても迷惑だからな。社宅に入って来たらまた通報するぞ。」
「また?じゃあ、通報したのジョージなの?」やべっ。口が滑った。
「知らない女が部屋の前でうろうろしてるって聞いたら通報するだろ。」
「誰から聞いたのよ。」
「そんなのお前に言う必要はないね。」
「あのー、我々はこれで引き揚げますんで。」お巡りさんたちは帰って行った。申し訳ないことをした。
「ジョージには人探しを手伝ってもらいたかったのよ。」縒りを戻せ。じゃなかったのか。
「人探し?なんで俺がそんなの手伝わなきゃいけないんだよ。」
「ドライアド・ジャパンの人なのよ。あんたそこに就職したわよね?もしかしたら知り合いなんじゃないかと思って。」
「それなら社に行って聞けばいいだろう?」
「昨日行ったわよ。でも会わせてもらえなかったわ。」
「どうせノーアポだろ?」
「そうだけど…。」
「お前さあ、社会の常識を知らな過ぎ。ノーアポでいきなり押し掛けて、会わせてもらえる訳ないじゃん。」
昨日は俺たち、平日休みだったからな。そりゃ会わせられんわ。アポ取ってても無理だ。
「そもそもジョージが、一昨日、私をブロックするからいけないんじゃない。私はジョージにアポを取ろうとしたのよっ。」
「何?その、取って付けたような言い訳。」
「うるさいわね。結局ノーアポはダメだったから、やっぱりジョージの伝を使ってコンタクトを取ろうと思って、ジョージの実家に電話してお母さんからここの住所を聞いたのよ。」
「そうそう、俺が自殺するかもって言ったそうだな。」
「悪かったわよ。でも、最初から警戒されたから仕方なかったのよ。で、そのふたりは、ジェニファーさんとニコルさんって言うんだけど知ってるわよね。金髪碧眼と銀髪紅眼だから、日本じゃ目立つはずよ。」
「知ってるか知らないかはノーコメント。社員情報は部外者にはしゃべれないからな。でも、なんでそのふたりをお前が捜してるの?」
「協力してくれるなら事情を話すわ。」
「協力しないから聞かなくていいや。じゃあな。」
「ちょっと待ってよ。言うから。」
「別に聞かなくてもいいって。協力する気ないし。」
「分かったわよ。協力しないでいいから聞くだけ聞いて。私の今カレね、フィンランドにあるドライアド本社の専務で、社長の御曹司なのよ。」やっぱりビンゴだったか。
一昨日のリャイーンのやり取りでラークって出て来たからもしやと思ったが…。つくづく世間は狭いのな。
「フィンランド本社の専務なんざ、下っ端の俺は知らねぇけどな。」
「まあそうね。で、その今カレなんだけどさ、子供がふたりいるはずなのよ。」
「いるはず?」
「そう。ラークにはね、大学の友人で奥さん候補がふたりいたのよ。ふたりともドライアド本社に入社予定だったんだけど、大学4年のとき、両方同時にラークが妊娠させちゃって、それでふたりにふた股がバレてラークは振られたのね。接近禁止が訴訟を起こさない条件でさ、しかもそのスキャンダルのせいで、ラークは本社から左遷されちゃったのよ。」
「そりゃそうだろ。」
「でもね、ラークは左遷先で物凄く頑張って、信用を取り戻して本社に戻ったのよ。だけどそのときは、ふたりはドライアド・ジャパンに転勤した後だった訳。」
ジェニーさんとニコルさんから聞いた話、そのまんまやな。
「で、なんでエリカが捜しに来ることになるんだよ。日本出身だからか?」
「それもあるけど、それだけじゃないわ。実はこの話を聞いたとき、ラークにジョージのことを話したのよ。もちろん元カレじゃなくて大学の友人でドライアド・ジャパンに就職した人がいるって言う程度だけどね。そしたら自分の代わりに日本に行ってくれって頼まれたのよ。」
「なんで俺の名前を出すんだよ。もうとっくに切れてただろ。」
「んー、ちょっとした罪滅ぼし?あんな形で振っちゃったからさ。」
「いやいや、罪滅ぼしになるって意味が分からん。俺、全然関係ないのに、面倒なことを手伝いさせられるだけじゃん。」
「上手く行ったら、ラークの側近として取り立ててってお願いしたのよ。本社の専務で次期社長の側近よ。感謝して欲しいわね。」
「いらんお世話だわ。フィンランドの本社になんか行く気ねぇし。」
「そうなの?本社の専務で次期社長の側近なのに?出世欲ないのね。まあそれならいいわ。
話を戻すけど、ラークは、ジェニファーさんとニコルさんとふたりの子供たち、まわりが教えてくれないから息子か娘かも知らないらしいんだけど、その4人と家族になりたいのよね。もうふた股への怒りは、ほとぼりが冷めてるかもしれないんで確認して来てくれって頼まれたの。」
「そうなったら、お前、そのラークって奴と終わりじゃん。」
「違うのよ。このミッションが成功したら、私は第3夫人として、ラークと結婚できるの。」
「お前、第3夫人とかでいいのか?」
「別に社長夫人として優雅に暮らせればいいわ。それに第3夫人でも実権を握ればいいだけだし。ジェニファーさんとニコルさんはもう30過ぎなのよ。私はまだ5年は20代だもの。私の勝ちよね。」あのなー、歳じゃないんだよ。
エリカ、お前は並乳のDカップ、ジェニーさんとニコルさんはHカップの巨乳。勝負にならんわ。
それにお前はヤリまんの浮気女、ジェニーさんとニコルさんは身持ちが固い。その証拠に、これだけ親しくなったにも拘らず、まだ最後までやらせてくれない。
それからお前は手に職がないけど、おふたりはドライアド・ジャパンの二枚看板の、木工デザイナーと木工彫刻家。
さらにお前は美人だけど、おふたりは飛び切りの超美人。どこを取ってもお話にならんのよ。
「ふうん、ふた股にブチ切れたふたりが、第3夫人を認めるとは到底思えないけどな。まあいいや。せいぜい頑張りな。さっきも言った通り、俺は協力しないからな。」
「なんでよ。」そんなの、その4人とも、俺の愛する家族だからに決まってるじゃん。流石にエリカには言えないけど。
「子供たちがお腹を空かせてるんでもう帰るわ。これ以降は、俺に付き纏うなよ。」
「なによ。人が折角、出世のチャンスを持って来て上げたのに。」
「俺は日本がいいんだよ。これっ切りさよならだ。じゃあな。」
「「ジョージさーん、大丈夫ー?」」
あらら、待ちくたびれた天使たちが迎えに来ちゃったよ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
毎日22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№27 元カノ、まさかの社宅凸
『今日は定時上がりだよー。』
『はーい。』
『はーい。』
『もうすぐ着くよー。』
スーパーで買い物を終え、社宅に向かうとき、リャイーンで天使たちに知らせた。俺と天使たちの3人のリャイーングループだ。
『なんかねー、ジョージさんの部屋の前に知らない女の人がいるよ。』プリちゃんから第一報。
『その人ねー、さっきからジョージさんの部屋のインターホン、何度も押してるんだよ。留守なのに。』すぐにアリちゃんから続報。
マジか!エリカかも知れんな。
『絶対に、部屋から出ちゃだめだぞ。それと、インターホン押されても無視してね。』
『了解。』こっちはアリちゃん。
『りょ。』こっちはプリちゃん。
さて、エリカにはちょっと本気なところを見せるかな。
「もしもし、警察ですか?社宅に不審な女が侵入しているとのことです。今、4階にいるようです。何か持っていて凶器かもしれません。帰宅途中なんですが、今は部屋には子供たちしかいないので心配です。ドライアド・ジャパンの社宅で、所在地は…。」
凶器はでっち上げだが、最初の情報は混乱するものだ。それに、『いるようです。』『かもしれません。』と、可能性を言っただけだから、嘘はついてない。
しばらくして社宅が見えて来ると『凶器』が効いたのか、パトカー数台と警察官が十数名駆け付けて来た。やばい、ちょっとやり過ぎたんじゃね?
急いで社宅のエントランスに入ろうとすると、警官に止められた。
「すみませんが立ち入り禁止です。」
「自宅なのですが…。」
「不審者がいて、凶器を持ってる様なので、危険です。」
「でも今、自宅は子供たちだけでして。怯えていると思うんです。」
「電話か何かで励まして上げて下さい。」
ダメだ。入れてもらえん。『凶器』は完全にやり過ぎた。通報だけにしときゃよかった。冷汗
『今、帰って来たんだけどさ、警官が入れてくれないんだよ。そっちは大丈夫?』
『大丈夫だよ。』
『平気。』
『あのねー、警察の人が来てね、女の人と話してるよ。』
『なんかねー、女の人はジョージさんの友達だって言ってる。』マジか?やっぱりエリカじゃん。
『あー、女の人が警察の人に連れて行かれたー。』
エントランスからエリカが警官数人に囲まれて出て来た。
「だから402号室に住む友人を訪ねて来ただけなんですよ。それにこれは凶器じゃなくて、手土産のケーキだって言ってるでしょ。友人宅を訪ねるのに手ぶらって訳には行かないじゃない。疑うんなら中を確認してよねっ。」
相変わらず気が強いなぁ。警官たちに食って掛かってら。
関わらないように迂回しようっと。
「あー、ジョージ!」ちっ。見付かったか。
俺まで警官たちに囲まれて事情を聞かれることになった。めんどくせー。
「あなた、こちらのエリカさんのお知り合いのジョージさん?って、議員の息子たちをいじめで告発したジョージさんじゃないですか。」
「あ、あのときのお巡りさん。その節はどうもお世話になりました。」
「あー、そんなことはいいんですが、こちらのエリカさんはお知り合いですか?」
「さあ。」
「ちょっとジョージ、さあって何よっ。」
「どちらさんです?うーん、思い出せないなぁ。」
「何、惚けてんのよ!」
「あー、エリカさんって大学時代に…いましたっけ?」
「ふざけないで。いい加減にしてってば!」
「卒業以来、会ってないんですよ。いきなり分かる訳ないでしょう?それに、あなたとは関わりたくないし、そう伝えましたよね?」
「あれ?それじゃあ、やっぱ知り合いなんですね。」馴染みのお巡りさんが痛いところを突いて来た。
「お巡りさん、関わりたくないってのを、社宅の住所まで調べ上げて突撃して来るのって、ストーカーですよね?接近禁止命令とか出せないんですか?」
「じゃあ署で手続します?詳しく事情を伺うことになりますが。」
「子供たちが待ってるんで今日はちょっと。」
「子供たち?」
「エリカには関係ないだろ。いちいち詮索しないでくれよ。」
「お巡りさん、私は無罪放免でいいのよね?」
「そうですね。」
「俺んちに来られても迷惑だからな。社宅に入って来たらまた通報するぞ。」
「また?じゃあ、通報したのジョージなの?」やべっ。口が滑った。
「知らない女が部屋の前でうろうろしてるって聞いたら通報するだろ。」
「誰から聞いたのよ。」
「そんなのお前に言う必要はないね。」
「あのー、我々はこれで引き揚げますんで。」お巡りさんたちは帰って行った。申し訳ないことをした。
「ジョージには人探しを手伝ってもらいたかったのよ。」縒りを戻せ。じゃなかったのか。
「人探し?なんで俺がそんなの手伝わなきゃいけないんだよ。」
「ドライアド・ジャパンの人なのよ。あんたそこに就職したわよね?もしかしたら知り合いなんじゃないかと思って。」
「それなら社に行って聞けばいいだろう?」
「昨日行ったわよ。でも会わせてもらえなかったわ。」
「どうせノーアポだろ?」
「そうだけど…。」
「お前さあ、社会の常識を知らな過ぎ。ノーアポでいきなり押し掛けて、会わせてもらえる訳ないじゃん。」
昨日は俺たち、平日休みだったからな。そりゃ会わせられんわ。アポ取ってても無理だ。
「そもそもジョージが、一昨日、私をブロックするからいけないんじゃない。私はジョージにアポを取ろうとしたのよっ。」
「何?その、取って付けたような言い訳。」
「うるさいわね。結局ノーアポはダメだったから、やっぱりジョージの伝を使ってコンタクトを取ろうと思って、ジョージの実家に電話してお母さんからここの住所を聞いたのよ。」
「そうそう、俺が自殺するかもって言ったそうだな。」
「悪かったわよ。でも、最初から警戒されたから仕方なかったのよ。で、そのふたりは、ジェニファーさんとニコルさんって言うんだけど知ってるわよね。金髪碧眼と銀髪紅眼だから、日本じゃ目立つはずよ。」
「知ってるか知らないかはノーコメント。社員情報は部外者にはしゃべれないからな。でも、なんでそのふたりをお前が捜してるの?」
「協力してくれるなら事情を話すわ。」
「協力しないから聞かなくていいや。じゃあな。」
「ちょっと待ってよ。言うから。」
「別に聞かなくてもいいって。協力する気ないし。」
「分かったわよ。協力しないでいいから聞くだけ聞いて。私の今カレね、フィンランドにあるドライアド本社の専務で、社長の御曹司なのよ。」やっぱりビンゴだったか。
一昨日のリャイーンのやり取りでラークって出て来たからもしやと思ったが…。つくづく世間は狭いのな。
「フィンランド本社の専務なんざ、下っ端の俺は知らねぇけどな。」
「まあそうね。で、その今カレなんだけどさ、子供がふたりいるはずなのよ。」
「いるはず?」
「そう。ラークにはね、大学の友人で奥さん候補がふたりいたのよ。ふたりともドライアド本社に入社予定だったんだけど、大学4年のとき、両方同時にラークが妊娠させちゃって、それでふたりにふた股がバレてラークは振られたのね。接近禁止が訴訟を起こさない条件でさ、しかもそのスキャンダルのせいで、ラークは本社から左遷されちゃったのよ。」
「そりゃそうだろ。」
「でもね、ラークは左遷先で物凄く頑張って、信用を取り戻して本社に戻ったのよ。だけどそのときは、ふたりはドライアド・ジャパンに転勤した後だった訳。」
ジェニーさんとニコルさんから聞いた話、そのまんまやな。
「で、なんでエリカが捜しに来ることになるんだよ。日本出身だからか?」
「それもあるけど、それだけじゃないわ。実はこの話を聞いたとき、ラークにジョージのことを話したのよ。もちろん元カレじゃなくて大学の友人でドライアド・ジャパンに就職した人がいるって言う程度だけどね。そしたら自分の代わりに日本に行ってくれって頼まれたのよ。」
「なんで俺の名前を出すんだよ。もうとっくに切れてただろ。」
「んー、ちょっとした罪滅ぼし?あんな形で振っちゃったからさ。」
「いやいや、罪滅ぼしになるって意味が分からん。俺、全然関係ないのに、面倒なことを手伝いさせられるだけじゃん。」
「上手く行ったら、ラークの側近として取り立ててってお願いしたのよ。本社の専務で次期社長の側近よ。感謝して欲しいわね。」
「いらんお世話だわ。フィンランドの本社になんか行く気ねぇし。」
「そうなの?本社の専務で次期社長の側近なのに?出世欲ないのね。まあそれならいいわ。
話を戻すけど、ラークは、ジェニファーさんとニコルさんとふたりの子供たち、まわりが教えてくれないから息子か娘かも知らないらしいんだけど、その4人と家族になりたいのよね。もうふた股への怒りは、ほとぼりが冷めてるかもしれないんで確認して来てくれって頼まれたの。」
「そうなったら、お前、そのラークって奴と終わりじゃん。」
「違うのよ。このミッションが成功したら、私は第3夫人として、ラークと結婚できるの。」
「お前、第3夫人とかでいいのか?」
「別に社長夫人として優雅に暮らせればいいわ。それに第3夫人でも実権を握ればいいだけだし。ジェニファーさんとニコルさんはもう30過ぎなのよ。私はまだ5年は20代だもの。私の勝ちよね。」あのなー、歳じゃないんだよ。
エリカ、お前は並乳のDカップ、ジェニーさんとニコルさんはHカップの巨乳。勝負にならんわ。
それにお前はヤリまんの浮気女、ジェニーさんとニコルさんは身持ちが固い。その証拠に、これだけ親しくなったにも拘らず、まだ最後までやらせてくれない。
それからお前は手に職がないけど、おふたりはドライアド・ジャパンの二枚看板の、木工デザイナーと木工彫刻家。
さらにお前は美人だけど、おふたりは飛び切りの超美人。どこを取ってもお話にならんのよ。
「ふうん、ふた股にブチ切れたふたりが、第3夫人を認めるとは到底思えないけどな。まあいいや。せいぜい頑張りな。さっきも言った通り、俺は協力しないからな。」
「なんでよ。」そんなの、その4人とも、俺の愛する家族だからに決まってるじゃん。流石にエリカには言えないけど。
「子供たちがお腹を空かせてるんでもう帰るわ。これ以降は、俺に付き纏うなよ。」
「なによ。人が折角、出世のチャンスを持って来て上げたのに。」
「俺は日本がいいんだよ。これっ切りさよならだ。じゃあな。」
「「ジョージさーん、大丈夫ー?」」
あらら、待ちくたびれた天使たちが迎えに来ちゃったよ。
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毎日22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
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