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母娘丼W015 天使たちの初お泊り

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№15 天使たちの初お泊り

「はい、ダーリン、あーんして。」ぱく、もぐもぐ。
「はい、ダーリン、こっちもあーん。」ぱく、もぐもぐ。

 支社長に直談判した日、支社長の誘いを断って、定時で帰った夕食での一幕である。
 婚約騒動以来、急速にデレて来ているアリちゃんとプリちゃんから、あーんをねだられて、陥落した俺がそこにいた。

 もちろんお返しもしなくてはならない。
「はい、アリちゃん、あーん。」ぱく、もぐもぐ。「美味ひぃ。」
「はい、プリちゃん、あーん。」ぱく、もぐもぐ。「美味ひぃ。」
 まるで親鳥からひな鳥への給餌である。しかしふたりがどうしてもやって欲しいとせがむので仕方がない。

 夕食後、歯磨きをして後片付けをしたら、以前はテレビゲームかトランプかだったのだが、最近は甘えんぼタイムになることが多い。
 俺の右腿にアリちゃん、左腿にプリちゃんが跨って来て、抱き付いて来る。それからしばらくはベタベタ甘えて来るのだ。
 左右からキスも求めて来る。もちろん子供相手だから、べろちゅーみたいなことはしないけど。

 ピンポーン。
「「あ、ママたちだー。」」はあ、やっと解放された。苦笑

 玄関ドアを開けてジェニーさんとニコルさんを招き入れると、天使たちが迎えに出て来て、ふた組の母娘がハグと頬キスを交わしていた。和むー。

「今日は早かったですね。」
「ジョージくんのお陰だよ。支社長から『残業は程々に。』って言われてね。」
「ほんとに直談判に行ってくれるなんてね。それとこれももらったわ。」
 ふたりがそろって封筒を出した。

「なんです、これ?」
「ジョージくん、プリシラとアリスのことも伝えたろ?『お嬢ちゃんたちに何か旨いものでも食べさせて上げて。』だってさ。」
「これで、何か美味しいもの、よろしくね。」
「おふたりが、アリちゃんとプリちゃんを美味しい店に連れてってやれってことなんじゃないですか?」
「ここがそうでしょ。」参ったなぁ。嬉しいけど。
「そうですか。じゃあお預かりします。」封筒には1万円ずつ入ってた。合計2万にもなる。支社長、太っ腹!笑

「それと、プロジェクトに成功したら、3日間の特別休暇が出ることになったんだよ。『子供たちを連れて、温泉でゆっくりリフレッシュして来い。』だってさ。」
「それでね、『費用は出せないけど、足しにしてくれって。』旅行券までもらったわ。」
「ジョージくん、ゆったりできる宿の手配を頼めるかい?」
「いいですよ。平日休みを絡めて3泊4日にしますか?」
「いいわね。」「いいねぇ。」

「温泉に行くの?」「ジョージさんも一緒?」
「ああ、そうだよ。」
「「やったー。」」大喜びの天使たち。
「え?俺も行くんですか?」
「そうよ。私たちはのんびりリフレッシュするんだもの。運転手が必要でしょ。」
「運転手としてジョージくんを借りたいって言ったらさ、OKが出たんだよ。」
「プロジェクトに絡んでない俺が、なんで特別休暇なんです?」
「ジョージくんは特別休暇じゃなくて職免出張よ。」
「職免出張?」
「出張費や手当は出ないけど、有休を消化しなくても休めるのよ。普通は、派遣依頼が来たときとかに出るのよね。」

「日程はいつ頃を取ればいいんですか?」
「そうね、来月あたりかしらね。」11月か。この頃、紅葉が見頃な温泉地は、近場だとと箱根辺りだな。
「箱根でいいですか?」
「いいけどさ、箱根だとモロに温泉街でわちゃわちゃしそうだねぇ。」
「いえいえ、隠れ家的なところもありますよ。部屋に温泉風呂が付いてるところなんかはどうです?部屋でのんびりしながら、気が向いたときに、いつでもゆったり入れますよ。ちょっとお高めですが。」
「いいわね。」「いいねぇ。」
「じゃあ探しておきます。」

「それから、毎日が残業になった週は、日曜のリフレクソロジーの費用を出してくれることになったわ。」
「と言うことで、ジョージくん、遠慮なく施術費を受け取っておくれよ。」
「そうですか、じゃあ1回1時間3000円でいいですね。」
「悪いわね。」「すまないね。」
「こちらこそ、なんか申し訳ないです。」

 その週の土曜から翌週の月曜まで、2泊3日の急な関西出張が入った。出張に行くはずだった先輩社員3人のうちのひとりがケガをして、急に俺にお鉢が回って来たのだ。
 俺は出張デビュー、別のふたりの先輩社員と手分けして、京都を拠点に、京都、大阪、奈良を営業で駆け回ったのだった。

 月曜の夜遅くに自宅へ帰ると、そのままベッドに倒れ込んて、代休の翌朝は大寝坊。まあ、代休だからいいけど。
 出張の洗濯物などをやっつけて、1日のんびり過ごした。
『聞いてると思うけど、昨日の遅くに出張から帰って来たから、今日は食べにお出でよ。』
『はーい。』
『はーい。』
 リャイーンを送ると速攻で返事が来た。おいおい、今は授業中だろうに。苦笑

 ピンポーン。
「はーい、今、開けるよ。」
 開けた途端、天使たちに襲い掛かられた。笑
 ムギュッと抱き付いて来て、
「寂しかったよー。」
「会いたかったよー。」
 何これ、むっちゃかわいいじゃん。

「お土産あるよー。」
「お土産より、1週間分ちゅーして。」
「私も1週間分。」
「いやいや、出張は3日だぞ。」
「1週間分寂しかったんだもん。」「私も1週間分寂しかった。」
 愛い奴らよのー。笑

 交互にちゅーをしてやったが、ふたりがJSじゃなくてJKならよかったのにと思ってしまったのは内緒だ。

 その日は久しぶりに3人で夕食の準備をした。「あーん。」を繰り返しやらされたのには閉口したけれども。

「あのね、今日はジョージさんちに泊ってもいい?」
「私も泊まりたい。」
「え?いや、それはまずいでしょ。」
「なんで?」
「何でって…ママに許可取らないとさ。」
「許可取ったよ。」「私もー。」

 ふたりにリャイーンのやり取りを見せられた。

『今夜ジョージさんちに泊ってもいい?』
『私もジョージさんちに泊ってもいい?』
『いいよ。』
『いいわよ。』
 嘘だろ…。

 俺も、俺とジェニーさんとニコルさんの3人のリャイーングループを見ると、
『アリスとプリシラが泊まりたいって言ってるのよ。お願いしていい?』
『プロジェクトが大詰めでさ、かなり遅くなると思うんだ。頼むよ。』
 仕方ねぇなあ。ま、ふたりがJSだからOKってか。JKだったらOKしないんだろうな。
『承知しました。』

 で、なんとなくそんな予感はしたんだが、添い寝になった。俺のベッドに3人並んで川の字。俺の両腕を枕に、右にアリちゃん、左にプリちゃん。すやすやと眠っている。

 JKだったらなー。でもこの寝顔には癒されるからいいか。

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 毎日22時に投稿します。

 以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739

 カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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