双極の鏡

葉羽

文字の大きさ
1 / 14
1章

幼馴染の呼びかけ

しおりを挟む
神藤葉羽は、静かな朝の光が差し込む自宅の書斎で、推理小説のページをめくっていた。高級感漂う一軒家の中で、彼の部屋は本に囲まれ、まるで知識の宝庫のようだった。彼は学年トップの成績を誇る高校2年生で、周囲の期待に応えるべく、日々頭をフル回転させている。だが、彼の心の中には、ただ一つの情熱が宿っていた。それは、推理小説の世界だった。

「また、面白いトリックだな…」

葉羽は、物語の中の名探偵が見事に謎を解き明かす様子に心を躍らせた。彼自身も、いつか自分の手で事件を解決してみたいという夢を抱いている。そんな思いを抱く中、突然、携帯電話が鳴った。画面には「彩由美」の名前が表示されている。

「どうしたんだ、彩由美?」

彼は少し緊張しながら電話に出た。幼馴染の望月彩由美は、彼にとって特別な存在だった。彼女の明るい声が、葉羽の心を少し和ませる。

「葉羽くん、ちょっと相談があるの。会えないかな?」

その声にはいつもとは違う緊張感が漂っていた。葉羽は、何か重大なことが起こったのではないかと不安を抱いた。

「もちろん、すぐに行くよ。」

彼は電話を切り、急いで身支度を整えた。彩由美とは幼い頃からの付き合いで、いつも彼を支えてくれる存在だった。彼女のために何かできることがあれば、どんなことでもしたい。そんな思いが胸をよぎった。

自宅を出て、彩由美の家へ向かう道すがら、葉羽は彼女のことを考えていた。優しく、そして少し天然な彼女は、いつも周囲を明るく照らしてくれる。しかし、彼女の声には今、普段の明るさが欠けていた。彼女に何があったのか、考えるだけで不安が募る。

数分後、彩由美の家のドアをノックした。彼女の母親が出てきて、葉羽を中へ招き入れる。

「彩由美は今、部屋にいるわ。ちょっと心配なことがあって…」

彼女の母親の言葉に、葉羽はますます緊張感を覚える。部屋に入ると、彩由美がソファに座っていた。彼女の表情は、普段の明るさとはかけ離れたものだった。

「葉羽くん…」

彼女の声は、震えていた。葉羽は彼女の隣に座り、優しく問いかける。

「何があったんだ?話してくれ。」

彩由美は一瞬ためらった後、深呼吸をして言った。

「私の友達が、亡くなったの…」

その言葉に、葉羽の心は一瞬凍りついた。彼女の友人が亡くなった?それも、どうやら不可解な状況での死らしい。葉羽は彼女の手を優しく握りしめ、心を落ち着けるよう促す。

「どうしてそんなことに?」

「彼女は、密室で見つかったの。誰も入ることができない部屋で…」

彩由美の目には涙が浮かんでいた。彼女の友人がどのようにして亡くなったのか、そしてその部屋がどれほど不気味な場所であったのか、葉羽はすぐに理解した。彼女の恐怖が、彼自身の胸にも伝わってくる。

「私は…私が何かできることがあれば、と思って。でも、どうすればいいのか分からなくて…」

葉羽は、彼女の無力感を感じ取った。彼女のために何かしなければならない。自分の知識と推理力を使って、この事件を解決することができるかもしれない。

「彩由美、僕に協力させてほしい。君の友達のために、真実を明らかにしよう。」

彼は力強く言った。彼自身も、その言葉の重みを感じていた。事件の背後に隠された真実を探し出すことが、彼にとっての新たな挑戦となるだろう。

彩由美は、少し驚いた表情を浮かべた後、彼の目を見つめ返した。彼女の中に、少しの希望が宿ったようだった。

「ありがとう、葉羽くん。」

彼女の声には、心からの感謝が込められていた。葉羽は、彼女の手をそっと握りしめ、決意を新たにした。この事件は、ただの推理小説の一幕ではなく、彼自身の人生に深く関わるものになるかもしれない。彼は、真実を追い求める旅の始まりを感じていた。 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

M性に目覚めた若かりしころの思い出

kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。 一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...