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58.雪野智久の悲哀(ひあい)
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水無瀬の司法解剖を行った法医学者は、自分が出した結果が信じられず、立ち会った紫々井を見た。
「紫々井先生、これは・・・」
「完璧ですか。」
「はい。5歳程度の若返りもみられます。」
「若返りの件は口外厳禁でお願いします。」
紫々井は記録用紙を受け取ってペンを走らせた。
「強力な治癒魔法により外傷及び内部の損傷は見られない。血液量から致死量に近い出血が推測される。また、ご遺体の服の損傷からも推測すると、死因は怪我による出血と、禁術を使用した反動が重なったショック死である。」
紫々井は死因の欄にそう書いて記録用紙を返し、解剖室を出た。
遺体は直ぐに返され、水無瀬の遺言により、葬儀を行わず、火葬場に移された。
火葬には楓と雪野が立ち会い、お骨上げを行った二人は、そのまま水無瀬の妻子が眠る墓に向かい、納骨を済ませた。
「水無瀬さん・・・」
墓に供えられた花束を見て、二人は水無瀬がここに帰って来たことに安堵した。
「法案、絶対に通します。」
楓は車の中で雪野から、水無瀬が妻子を殺された事と、その犯人が石萩だったことを聞かされ、水無瀬の意志を継ぐことを固く決意した。
「楓様。」
手を合わせた楓が振り返ると、さっきまで居なかった雅楽代が立っていた。
「お迎えにあがりました。」
「はい・・・」
「雪野はまだ仕事が残っていますので、参りましょう。」
「わかりました・・・」
一礼して楓を見送った雪野は、今朝手向けられた花を見下ろした。
「水無瀬さん、聞きましたよ。」
楓の慟哭を聞いて駆け付けた雪野は絶望を味わった。
水無瀬は血の海の中で既に息絶えており、近くには致命傷を免れた石萩が転がっていた。
水無瀬が何をしたのか、雪野には容易に想像がついた。
「水無瀬さんは本当に、絢子さんを愛してますね。」
一人残った雪野の足元に涙が落ちた。
高辻から控え室での水無瀬の言動を聞いた時、涙が込み上げた。誰もが首を捻った水無瀬の心変わりの理由に、雪野は気付いたからだった。
「酷いですよ・・・俺のことは頼ってくれなかったのに・・・」
雪野は墓前で両膝をつき、雪野は声を殺して泣いた。
ここで楓を引き受けたのは、事情を良く知る雅楽代のせめてもの配慮だった。
「紫々井先生、これは・・・」
「完璧ですか。」
「はい。5歳程度の若返りもみられます。」
「若返りの件は口外厳禁でお願いします。」
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「強力な治癒魔法により外傷及び内部の損傷は見られない。血液量から致死量に近い出血が推測される。また、ご遺体の服の損傷からも推測すると、死因は怪我による出血と、禁術を使用した反動が重なったショック死である。」
紫々井は死因の欄にそう書いて記録用紙を返し、解剖室を出た。
遺体は直ぐに返され、水無瀬の遺言により、葬儀を行わず、火葬場に移された。
火葬には楓と雪野が立ち会い、お骨上げを行った二人は、そのまま水無瀬の妻子が眠る墓に向かい、納骨を済ませた。
「水無瀬さん・・・」
墓に供えられた花束を見て、二人は水無瀬がここに帰って来たことに安堵した。
「法案、絶対に通します。」
楓は車の中で雪野から、水無瀬が妻子を殺された事と、その犯人が石萩だったことを聞かされ、水無瀬の意志を継ぐことを固く決意した。
「楓様。」
手を合わせた楓が振り返ると、さっきまで居なかった雅楽代が立っていた。
「お迎えにあがりました。」
「はい・・・」
「雪野はまだ仕事が残っていますので、参りましょう。」
「わかりました・・・」
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「酷いですよ・・・俺のことは頼ってくれなかったのに・・・」
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ここで楓を引き受けたのは、事情を良く知る雅楽代のせめてもの配慮だった。
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