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37.葉山史人の憂い
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二ヶ月半経っても、私はまだ葉山さんのマッサージ中心のプログラムを受けていた。
「葉山さん、これいつになったら終わる?」
「俺が聞きたいよ。治しても治しても全部は治らないなんて、楓ちゃんの居た日本はどうなってんの。労働基準法無いの?」
「あったけど、IT系はこういうの多いよ。こっちもそうじゃないの?」
「労基の特殊な魔法ですぐバレるよ。」
「なんて便利な・・・」
それ、導入して欲しかったなぁ。
「外出すると極度の緊張のストレスのせいで体の状態が悪化するんだよなぁ。」
「そうなの?」
「ああ。自覚症状が無くても体にはすぐ分かる程の負荷が掛かってる。政府の要請、この先も受けるの?」
「うん。」
「しばらくはこっちがメインになりそうだなぁ。」
「かなり改善したよ。体の節々が痛かったの、無くなったし。」
「それでも問題ありまくりだよ。」
「これ、魔法では治せないの?」
「一時的には治るよ。でも、体の歪みとか根本的なところは施術と生活習慣の改善でしか治せない。」
魔法が万能だったら、こんなにテクノロジーは発達していないってことなんだろう。
「楓ちゃんは体の危険信号を無視する癖が付いてるから、自覚も無いし気付いたら手遅れになってるよ。体のケアも大切にして。」
「うん。はー、気持ちいい・・・」
「楓ちゃんさ、足の筋肉が普通の成人女性よりしっかり付いてるんだけど、足だけ鍛えてた?」
「いつも仕事終わりが終電ギリギリだから、駅まで全力で走ってたし、仕事が始まるのも始発一番で行っても走らないと、会社が開いてすぐ行けないし」
「待って。」
「ご飯食べるところも無くなっちゃうから走ってた。基本走ってたよ。ただでさえ納期短いから、少しでも時間作る為に。」
「だからこんな陸上選手みたいな足してんのか・・・」
「陸上選手・・・」
「ほんと、無茶苦茶な体だよ。楓ちゃん、俺達守り手はさ、楓ちゃんを守るために全力を尽くすけど、それに甘えてたらダメだよ。周りがどれだけ頑張っても、結局本人がちゃんとしてなきゃ無駄になるからさ。」
「気を付けます・・・」
「本当に気を付けてよ?大丈夫と思っても、いつでもいいから来るんだよ。気を付けてね?絶対だよ?わかった?」
「わかったって!」
「ほんとに分かってる?俺が知らないところで激しい運動は言語道断だからね?」
「私信用されてない・・・?」
「体ボロボロにした人をスポーツトレーナーが信じられると思ってるの?何で?」
キレ気味で問い掛けられて、私は葉山さんの心中を察した。
「す、すみません・・・」
「葉山さん、これいつになったら終わる?」
「俺が聞きたいよ。治しても治しても全部は治らないなんて、楓ちゃんの居た日本はどうなってんの。労働基準法無いの?」
「あったけど、IT系はこういうの多いよ。こっちもそうじゃないの?」
「労基の特殊な魔法ですぐバレるよ。」
「なんて便利な・・・」
それ、導入して欲しかったなぁ。
「外出すると極度の緊張のストレスのせいで体の状態が悪化するんだよなぁ。」
「そうなの?」
「ああ。自覚症状が無くても体にはすぐ分かる程の負荷が掛かってる。政府の要請、この先も受けるの?」
「うん。」
「しばらくはこっちがメインになりそうだなぁ。」
「かなり改善したよ。体の節々が痛かったの、無くなったし。」
「それでも問題ありまくりだよ。」
「これ、魔法では治せないの?」
「一時的には治るよ。でも、体の歪みとか根本的なところは施術と生活習慣の改善でしか治せない。」
魔法が万能だったら、こんなにテクノロジーは発達していないってことなんだろう。
「楓ちゃんは体の危険信号を無視する癖が付いてるから、自覚も無いし気付いたら手遅れになってるよ。体のケアも大切にして。」
「うん。はー、気持ちいい・・・」
「楓ちゃんさ、足の筋肉が普通の成人女性よりしっかり付いてるんだけど、足だけ鍛えてた?」
「いつも仕事終わりが終電ギリギリだから、駅まで全力で走ってたし、仕事が始まるのも始発一番で行っても走らないと、会社が開いてすぐ行けないし」
「待って。」
「ご飯食べるところも無くなっちゃうから走ってた。基本走ってたよ。ただでさえ納期短いから、少しでも時間作る為に。」
「だからこんな陸上選手みたいな足してんのか・・・」
「陸上選手・・・」
「ほんと、無茶苦茶な体だよ。楓ちゃん、俺達守り手はさ、楓ちゃんを守るために全力を尽くすけど、それに甘えてたらダメだよ。周りがどれだけ頑張っても、結局本人がちゃんとしてなきゃ無駄になるからさ。」
「気を付けます・・・」
「本当に気を付けてよ?大丈夫と思っても、いつでもいいから来るんだよ。気を付けてね?絶対だよ?わかった?」
「わかったって!」
「ほんとに分かってる?俺が知らないところで激しい運動は言語道断だからね?」
「私信用されてない・・・?」
「体ボロボロにした人をスポーツトレーナーが信じられると思ってるの?何で?」
キレ気味で問い掛けられて、私は葉山さんの心中を察した。
「す、すみません・・・」
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