救国の魔女と滅国の皇子~プログラマーは魔法も作れる!?~

一条弥生

文字の大きさ
上 下
22 / 72
プログラマー、魔法技術者に転職する

22.プログラマー、魔法を創造するも

しおりを挟む
早朝から魔術の創造を始めて、日が暮れかけた頃、私は倒れた。

サンくんの声で目覚めた私は、サンくんが呼びに行ったら砂地で倒れていたらしい。

原因は魔力の枯渇だった。

どうやら、調子に乗って色んなことを試しすぎたらしい。

「ツバキ、明日は一日休んだ方がいいよ。」

「大丈夫。寝たら治るよ、これくらい。」

「この村に来てからゆっくり休んだことないだろ?」

「あるよ。」

「俺は見た事ないぞ。」

「先週、半日も休んだよ。」

「半日はゆっくり休んだ内に入らない。」

「入るよ。やりたいことが沢山あるから、全然疲れてないし。」

「疲れてるから倒れたんだろ。とにかく、明日は絶対安静だ!」

最初の職場では、休みはなかった。有給は取っていることになっていたけど、休みの日も朝から晩まで家で仕事をしていた。

次の職場も似たようなものだった。

だからちょっと倒れたくらいでこんなに心配されることに面を食らった。

「単なる魔力の枯渇だよ。注意してやれば大丈夫だから。」

「ツバキ、俺、なんでツバキが記憶を失って倒れてたのか考えたんだ。」

サンくんはいつになく真面目な顔をした。

「ツバキはあの時、魔力切れを起こしてたんじゃないか?だからボロボロになるまで魔法が使えなくて、ギリギリで大きい魔法を使えて助かったけど、反動か何かで記憶を失った。」

サンくんの話を、真剣な眼差しを見ながら聞いた。

「今回は危険の無いところで倒れたから良かったけど、もし森の中で倒れていたら命が危なかった。ツバキはこれから魔物と戦うんだろ。魔物の前で魔力切れを起こして倒れたら、今度こそ死んでしまうんだぞ。」

「死んじゃうか...そうだね...」

すっかり平和ボケに戻っていた。私はこれから危険な度に身を投じるというのに。

「そうだよ。死んだら終わりなんだ。村の皆も心配してたんだ。ツバキは毎日魔術の研究を一日中してるし、そうじゃない時は誰かしらの手伝いをしてる。誰もツバキが俺達みたいに休んでるところを見たことがないから、心配してた。」

「そうだったんだ...ごめんね、心配させて。」

「当然のことだよ。だからツバキ、明日は絶対安静だ。これからは定期的にしっかり休みを取る事。休日もだ。街に行っても忘れるなよ。」

「うん。そうする。」

「休みを取るのは普通のことだろ。全く、ツバキは今までどんな環境で生きてたんだ?ちょっと待遇の良い奴隷みたいだって親父が言ってたぞ。」

「ちょっと...待遇のいい...奴隷...」

やめてサンくん。私、何だか凄いダメージを受けちゃう。

ちょっと待遇が良かっただけマシだったんだと思ってしまって、またダメージを受けた。

これからはフリーランスだ。自分で休みを決められるんだから、サンくんの言う通り、休みの管理をちゃんとしよう。

「サンくん、ありがとう。」

「当たり前だ。ツバキ、体は大事にしろよ。」

「うん、気を付けるよ。」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

異世界召喚されたクリエイター(創造魔術師)

いけお
ファンタジー
年齢=彼女無し暦のややオタクな派遣社員【源 全(みなもと ぜん)】は、今日も1人寂しく駅に向かい街を歩いていると突然足元に魔方陣が現れてそのまま異世界に飛ばされてしまう。召喚した神様から事情を聞いても不安だらけなので貰えるだけの加護を頂くと最後に召喚された世界で唯1人の職【クリエイター(創造魔術師)】を与えられた。 使い方を誤れば世界のバランスを簡単に崩壊させるスキル【クリエイト(創造魔術)】が、この男の手によって今日も無駄遣いされようとしている。 他の小説も更新しながら進みますので、更新間隔は不定期です。また感想や誤字・脱字の指摘にも出来る限り回答しますが答えられない場合も有るのでご容赦下さい。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

神様 なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか

佐藤醤油
ファンタジー
 主人公を神様が転生させたが上手くいかない。  最初は生まれる前に死亡。次は生まれた直後に親に捨てられ死亡。ネズミにかじられ死亡。毒キノコを食べて死亡。何度も何度も転生を繰り返すのだが成功しない。 「神様、もう少し暮らしぶりの良いところに転生できないのですか」  そうして転生を続け、ようやく王家に生まれる事ができた。  さあ、この転生は成功するのか?  注:ギャグ小説ではありません。 最後まで投稿して公開設定もしたので、完結にしたら公開前に完結になった。 なんで?  坊、投稿サイトは公開まで完結にならないのに。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

処理中です...