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次期社長と紡ぐ未来のために
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静まり返った社長室には私と立花さんの二人だけ。
久しぶり過ぎて緊張してしまう。
いろんなことがありすぎて考えがまとまらない。
立花さんと銀行の娘さんとの縁談が白紙になるなら、私たちはどうなるんだろう。
別れなくてもいいのかな?
でも、そんな都合よくはいかないよね。
グルグルと一人で考えていたら、立花さんに「とりあえず座って」と言われて私は腰をおろす。
「何から説明すればいいか分からないんだけど、俺は梨音ちゃんと別れたつもりはないから」
立花さんがおもむろに話し始めた内容に「えっ?」と声が出た。
そういえば、別れることに納得していないとか、高柳課長と話している時も、彼女と別れていないと言っていた。
でも、私が付き合いを終わりにしようと伝えたら、立花さんは「そうか」と言ってその場を立ち去った。
あれは了承したという意味じゃなかったのかな。
「君から終わりにしようと言われた時、本当は反論したかった。でも、親父との間で何も解決していない状態で話したとしても説得力に欠ける。だから、まず親父と話すことを優先した。時間がかかっても、親父を説得して梨音ちゃんに会いに行く予定だった。だから、別れることに納得した訳じゃない」
私の考えを見透かしたように立花さんは言う。
「本当はもっと早く解決させるつもりだったけど、親父も忙しくしている人だからなかなか都合がつかなくて。やっと昨日、実家に行って話をしてきたんだ」
そういえば、しげさんが立花さんと社長が昨日話をしたと言っていた。
「結局、話し合いは平行線だった。それなのに、さっき親父があんなにあっさり引き下がるから驚いたよ」
「それはしげさんが口添えをしてくれたから」
「しげさん……」
「あ、ごめんなさい。会長ですよね」
立花さんが不満気に呟くので慌てて訂正した。
「いや、別にしげさんでもいいけど……」
何かを含んだような言い方をする。
一体、何が引っかかるんだろう?
「あの、何かダメでしたか?」
「ダメっていうか、じいちゃんのことを名前で呼んで俺のことはいまだに立花さんだから」
名前でふて腐れたような表情をする立花さん。
年上なのに可愛く思えてしまった。
「梨音ちゃんにはそのうち名前で呼んでもらうつもりだから今は我慢する。それで話を戻すけど、じいちゃんは親父にどんなことを言ったの?」
「えっと、社長に息子の幸せは考えてやらないのかと言ってました。縁談の話がなくても取引先との繋がりは途切れないとか……とにかくしげさんは終始、立花さんのことをすごく気にかけていました」
あの時は軽くパニックになっていて、全部の内容を覚えているわけではなかったので、かいつまんで説明した。
「そう……。本当にじいちゃんには助けられてばかりだな。親父も根は悪い人じゃないんだけど、今回は会社のことばかり考えて周りが見えなかったんだろう。でも、梨音ちゃんに酷いことを言ったのはしっかり反省してもらわないと」
立花さんの言う通り、全てはしげさんのお陰だ。
しげさんがいなかったら、立花さんとこんな風に話が出来なかっただろう。
久しぶり過ぎて緊張してしまう。
いろんなことがありすぎて考えがまとまらない。
立花さんと銀行の娘さんとの縁談が白紙になるなら、私たちはどうなるんだろう。
別れなくてもいいのかな?
でも、そんな都合よくはいかないよね。
グルグルと一人で考えていたら、立花さんに「とりあえず座って」と言われて私は腰をおろす。
「何から説明すればいいか分からないんだけど、俺は梨音ちゃんと別れたつもりはないから」
立花さんがおもむろに話し始めた内容に「えっ?」と声が出た。
そういえば、別れることに納得していないとか、高柳課長と話している時も、彼女と別れていないと言っていた。
でも、私が付き合いを終わりにしようと伝えたら、立花さんは「そうか」と言ってその場を立ち去った。
あれは了承したという意味じゃなかったのかな。
「君から終わりにしようと言われた時、本当は反論したかった。でも、親父との間で何も解決していない状態で話したとしても説得力に欠ける。だから、まず親父と話すことを優先した。時間がかかっても、親父を説得して梨音ちゃんに会いに行く予定だった。だから、別れることに納得した訳じゃない」
私の考えを見透かしたように立花さんは言う。
「本当はもっと早く解決させるつもりだったけど、親父も忙しくしている人だからなかなか都合がつかなくて。やっと昨日、実家に行って話をしてきたんだ」
そういえば、しげさんが立花さんと社長が昨日話をしたと言っていた。
「結局、話し合いは平行線だった。それなのに、さっき親父があんなにあっさり引き下がるから驚いたよ」
「それはしげさんが口添えをしてくれたから」
「しげさん……」
「あ、ごめんなさい。会長ですよね」
立花さんが不満気に呟くので慌てて訂正した。
「いや、別にしげさんでもいいけど……」
何かを含んだような言い方をする。
一体、何が引っかかるんだろう?
「あの、何かダメでしたか?」
「ダメっていうか、じいちゃんのことを名前で呼んで俺のことはいまだに立花さんだから」
名前でふて腐れたような表情をする立花さん。
年上なのに可愛く思えてしまった。
「梨音ちゃんにはそのうち名前で呼んでもらうつもりだから今は我慢する。それで話を戻すけど、じいちゃんは親父にどんなことを言ったの?」
「えっと、社長に息子の幸せは考えてやらないのかと言ってました。縁談の話がなくても取引先との繋がりは途切れないとか……とにかくしげさんは終始、立花さんのことをすごく気にかけていました」
あの時は軽くパニックになっていて、全部の内容を覚えているわけではなかったので、かいつまんで説明した。
「そう……。本当にじいちゃんには助けられてばかりだな。親父も根は悪い人じゃないんだけど、今回は会社のことばかり考えて周りが見えなかったんだろう。でも、梨音ちゃんに酷いことを言ったのはしっかり反省してもらわないと」
立花さんの言う通り、全てはしげさんのお陰だ。
しげさんがいなかったら、立花さんとこんな風に話が出来なかっただろう。
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