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甘い?同居生活
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それにしても、テツと一緒だと落ち着いてゆっくり服も見れない。
二度とテツとは服を買いに行くことはないなと思った。
「あー、喉が乾いた」
テツは呑気に呟く。
その手にはスーツや服の入ったショッピングバッグを持っている。
私が店員から受け取ろうとしたら横からテツの手が伸びてきて、そのまま奪い取るように持って歩き出した。
「荷物、私持つよ」
「いいよ。それより手が空いてるなら俺の手を握ってよ」
荷物を持っていない方の手を私の目の前でヒラヒラさせる。
くそー!
このまま手を握らないと負けた気がする。
私はギューッと力を込めてテツの手を握ってやった。
私がそんなことをするとは思っていなかったのか、テツは驚いた表情で立ち止まった。
よし、勝った!と思ったのつかの間。
まるで離さないとでもいうように指を絡めて恋人つなぎで歩き出す。
それに驚いた私はテツを見ると、ニッと口角を上げて笑っていた。
やっぱり私の負けかもしれない。
結局、私はテツには敵わないんだ。
歩いていて、まだお礼を言ってなかったことに気づく。
「テツ、ありがとね」
「礼なんていらないよ。俺が美桜に何かプレゼントしたかっただけだから」
テツは口元に笑みを浮かべ、私はその優しい笑顔を見てドキッとする。
しかも、大人の色気も持ち合わせているので必要以上にドキドキしてしまう私がいる。
「次はどこへ行く?雑貨屋に行きたいって言ってたよな」
「そうだけど、先にカフェでお茶しない?」
今日は私の買い物に付き合ってくれてるだけでテツは自分の物は何一つ買っていない。
それに、さっき喉が乾いたって言ってたのに私が行きたいと話していた場所を優先してくれる。
私のことをどこまでも甘やかすんだから。
「いいよ。じゃあ行こうか」
二人並んでカフェに向かった。
カフェで休憩をしている時に晩ご飯をどうするかという話になった。
テツは、私の作ったご飯が食べたいけど、疲れているだろうから外食にするかと提案してきた。
絶対にどこかのお店で食べた方が美味しいに決まっているのに、テツはいつも私の作ったご飯が食べたいと言ってくれる。
外食にするかというのは、私のことを気遣ってくれてのことだ。
私は料理を作るのは全然、苦ではない。
一緒に住み始めて、テツはいつも私の料理を食べたときに「美味しい」と口にしてくれる。
それがお世辞ではないというのが表情から分かり、もっと美味しい料理を作れたらいいなと思うようになっていた。
献立を考えるのも楽しいし、テツのリクエストがあればそれを作ってあげたいと思う。
だから今日も遅くなってもいいのなら帰ってから作るよと言うと、テツは「いいのか?」と目を輝かせた。
二度とテツとは服を買いに行くことはないなと思った。
「あー、喉が乾いた」
テツは呑気に呟く。
その手にはスーツや服の入ったショッピングバッグを持っている。
私が店員から受け取ろうとしたら横からテツの手が伸びてきて、そのまま奪い取るように持って歩き出した。
「荷物、私持つよ」
「いいよ。それより手が空いてるなら俺の手を握ってよ」
荷物を持っていない方の手を私の目の前でヒラヒラさせる。
くそー!
このまま手を握らないと負けた気がする。
私はギューッと力を込めてテツの手を握ってやった。
私がそんなことをするとは思っていなかったのか、テツは驚いた表情で立ち止まった。
よし、勝った!と思ったのつかの間。
まるで離さないとでもいうように指を絡めて恋人つなぎで歩き出す。
それに驚いた私はテツを見ると、ニッと口角を上げて笑っていた。
やっぱり私の負けかもしれない。
結局、私はテツには敵わないんだ。
歩いていて、まだお礼を言ってなかったことに気づく。
「テツ、ありがとね」
「礼なんていらないよ。俺が美桜に何かプレゼントしたかっただけだから」
テツは口元に笑みを浮かべ、私はその優しい笑顔を見てドキッとする。
しかも、大人の色気も持ち合わせているので必要以上にドキドキしてしまう私がいる。
「次はどこへ行く?雑貨屋に行きたいって言ってたよな」
「そうだけど、先にカフェでお茶しない?」
今日は私の買い物に付き合ってくれてるだけでテツは自分の物は何一つ買っていない。
それに、さっき喉が乾いたって言ってたのに私が行きたいと話していた場所を優先してくれる。
私のことをどこまでも甘やかすんだから。
「いいよ。じゃあ行こうか」
二人並んでカフェに向かった。
カフェで休憩をしている時に晩ご飯をどうするかという話になった。
テツは、私の作ったご飯が食べたいけど、疲れているだろうから外食にするかと提案してきた。
絶対にどこかのお店で食べた方が美味しいに決まっているのに、テツはいつも私の作ったご飯が食べたいと言ってくれる。
外食にするかというのは、私のことを気遣ってくれてのことだ。
私は料理を作るのは全然、苦ではない。
一緒に住み始めて、テツはいつも私の料理を食べたときに「美味しい」と口にしてくれる。
それがお世辞ではないというのが表情から分かり、もっと美味しい料理を作れたらいいなと思うようになっていた。
献立を考えるのも楽しいし、テツのリクエストがあればそれを作ってあげたいと思う。
だから今日も遅くなってもいいのなら帰ってから作るよと言うと、テツは「いいのか?」と目を輝かせた。
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