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強引な優しさ
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次の日、朝から弁当詰めの作業をしていた。
今日の配達の分と日替わりの弁当だ。
弁当詰めが終わると、更衣室で三角巾を取ってエプロンを脱いで配達の準備を始める。
今日の配達は二件だ。
車に弁当の入った保温ボックスを積み、配達先の住所をナビにセットして出発する。
一件目は、ここから十五分ぐらいの場所に配達先の会社がある。
配達依頼は、だいたい十一時半前には届けて欲しいとの事だった。
初めて行く場所だし、万が一道を間違えたり道が混んだりして時間に遅れることになったらお店の信用にも関わるので、常に時間に余裕を持って行動する。
今日は運が悪く、すべての信号に引っ掛かってしまい、配達予定時間の五分前に着いてギリギリセーフだ。
届け終わると次の配達先をナビに入れて車を走らせた。
無事にすべての配達を終えるとお店に戻り、駐車場に車を止めた。
今日の配達は少なかったのでこれで終わり。
このあとは裏方の作業だ。
保温ボックスを持ち、裏口へ回ろうとしたらスーツ姿のサラリーマンが視界に入った。
え、なんでこの人が?
「ナツキさん!」
私のことをそう呼んで近づいてくるのは斎藤さんだ。
笑顔で私の方に向かって歩いてくる。
昨日と同じようなシチュエーションにゾワリと鳥肌が立った。
「今日も配達に行かれてたんですね!このあと、レジに入りますか?」
「あ……、裏で作業することがあるので、それが終わったら入ると思います」
「そうなんですね」
私の返事を聞き、嬉しそうに笑う。
もう、その笑顔が私にとっては怖くて仕方ない。
斉藤さんに他意はないのかもしれないけど、どうしても変に勘ぐってしまう。
偶然という言葉では片付けられないような気がしてならない。
まさか、待ち伏せしたりしていないよね。
いつもスーツを着ているから仕事をしているはずなんだけど、こんなにも時間の融通のきく職場なんだろうか。
「じゃあ、またお店で」
斉藤さんは右手をあげて背を向け、店の入り口に向かって歩き出した。
後ろ姿を見つめ、私はしばらくその場に立ちすくんでいた。
「ただいま戻りました……」
「お疲れさま。美桜ちゃん、どうしたの?顔色が悪いけど」
裏口のドアを開けて中へ入ると、私の顔を見たおばさんが心配そうに聞いてきた。
まだ、あの人がストーカーと決まった訳じゃない。
だけど、万が一のことがあったらお店にも迷惑をかけてしまうかもしれない。
いろいろ葛藤の末、隠すのは得策じゃないと思い、おばさんに斉藤さんのことを話した。
「それでその人は今もいるの?」
「いるかもしれないです。このあと私がレジに入るのか聞かれて」
「そうなの?」
おばさんは何かを考えるように腕組みする。
そんなことより、今はお昼時。
お店も忙しいから私がレジに入らないといけない。
パートの人も困っているだろうし、あの人のことを考えるのは後回しにしよう。
私が我慢して対応すればいいだけのことだから。
今日の配達の分と日替わりの弁当だ。
弁当詰めが終わると、更衣室で三角巾を取ってエプロンを脱いで配達の準備を始める。
今日の配達は二件だ。
車に弁当の入った保温ボックスを積み、配達先の住所をナビにセットして出発する。
一件目は、ここから十五分ぐらいの場所に配達先の会社がある。
配達依頼は、だいたい十一時半前には届けて欲しいとの事だった。
初めて行く場所だし、万が一道を間違えたり道が混んだりして時間に遅れることになったらお店の信用にも関わるので、常に時間に余裕を持って行動する。
今日は運が悪く、すべての信号に引っ掛かってしまい、配達予定時間の五分前に着いてギリギリセーフだ。
届け終わると次の配達先をナビに入れて車を走らせた。
無事にすべての配達を終えるとお店に戻り、駐車場に車を止めた。
今日の配達は少なかったのでこれで終わり。
このあとは裏方の作業だ。
保温ボックスを持ち、裏口へ回ろうとしたらスーツ姿のサラリーマンが視界に入った。
え、なんでこの人が?
「ナツキさん!」
私のことをそう呼んで近づいてくるのは斎藤さんだ。
笑顔で私の方に向かって歩いてくる。
昨日と同じようなシチュエーションにゾワリと鳥肌が立った。
「今日も配達に行かれてたんですね!このあと、レジに入りますか?」
「あ……、裏で作業することがあるので、それが終わったら入ると思います」
「そうなんですね」
私の返事を聞き、嬉しそうに笑う。
もう、その笑顔が私にとっては怖くて仕方ない。
斉藤さんに他意はないのかもしれないけど、どうしても変に勘ぐってしまう。
偶然という言葉では片付けられないような気がしてならない。
まさか、待ち伏せしたりしていないよね。
いつもスーツを着ているから仕事をしているはずなんだけど、こんなにも時間の融通のきく職場なんだろうか。
「じゃあ、またお店で」
斉藤さんは右手をあげて背を向け、店の入り口に向かって歩き出した。
後ろ姿を見つめ、私はしばらくその場に立ちすくんでいた。
「ただいま戻りました……」
「お疲れさま。美桜ちゃん、どうしたの?顔色が悪いけど」
裏口のドアを開けて中へ入ると、私の顔を見たおばさんが心配そうに聞いてきた。
まだ、あの人がストーカーと決まった訳じゃない。
だけど、万が一のことがあったらお店にも迷惑をかけてしまうかもしれない。
いろいろ葛藤の末、隠すのは得策じゃないと思い、おばさんに斉藤さんのことを話した。
「それでその人は今もいるの?」
「いるかもしれないです。このあと私がレジに入るのか聞かれて」
「そうなの?」
おばさんは何かを考えるように腕組みする。
そんなことより、今はお昼時。
お店も忙しいから私がレジに入らないといけない。
パートの人も困っているだろうし、あの人のことを考えるのは後回しにしよう。
私が我慢して対応すればいいだけのことだから。
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