45 / 47
44 ザ・断罪・ショウ③
しおりを挟む
※若干、下品な表現あり※
「はっ………………」
アンドレイ様の顔が強張った。ナージャ子爵令嬢も気まずい様子で隣の恋人を見ている。
「わたしが知らないと思っているのですか?」と、わたしは冷笑を浮かべる。
「オディール……」
アンドレイ様の敵意の帯びた視線がわたしに激しくぶつかる。国王陛下に似た強い双眸は、まだ若い彼でもなかなかの迫力があった。
でも、わたしも負けない。こんなもの、弾き飛ばしてあげるわ。
しばらく無言で互いに威嚇しあったあと、
「証拠はあるのか? 私たちが恋人同士だと証明してみろ」
アンドレイ様は鼻で笑いながら挑発するように言った。
証明する以前に子爵令嬢のドレスやさっきの二人のやり取りであらかた察しはつくのに、自ら墓穴を掘るようなことを言ってこの人はなんて愚かだろうと、わたしは唖然として彼を見た。
わたしが黙っているのを証明不可能だと思ったのか、アンドレイ様は勝ち誇ったようにニヤリと笑う。
「出来ないのだろう!? 私はお前たちと違って疚しいことなどないのだからな! 王子の側近が良い物を身に着けるのは当然のことだ! それを私自らが与えてなにが悪い? それに、平民たちの功績とやらも最終的には彼女自身が中身を確認をして実行した。だから結果は彼女のものだ! なにも問題ない!」
彼はまたもや滅茶苦茶なことを得意げに言い出した。
王子のあまりに身勝手で愚かな発言に国王陛下は頭を抱え、観客からは嘲笑の混じった忍び笑いや落胆のため息が聞こえてきた。この王子は駄目だ……と、諦念の混じった囁き声が重なり合う。
「殿下、わたしが沈黙していたのは、どこから話そうかと逡巡していたからなのです」わたしは静かに反撃を開始する。「お二人が利用していた宿泊所や密会場所も裏を取っていますが……もう面倒なのでいきなり恋文からいきますか」
わたしが合図をすると、王宮の官吏がいくつかの書簡の入った箱を丁寧に持ち上げながら、こちらへ運んで来る。わたしはビロードが張られた文箱から一通の手紙を取り上げて、おもむろに広げた。
「お前……まさか!?」
「ちょ、ちょっと! まさか、あれ……!?」
にわかに二人は焦り出した。
わたしは彼らを黙視して、訴えかけるように全体をゆっくりと見回す。
「ちなみに、こちらの手紙は筆跡鑑定も行っているわ。では、これより拝読いたします。――愛するアンドレイ……」
少し読んだところで眉をひそめて黙り込んだ。
ざわつく貴族たちを困ったように少し見やってから、
「あら、どうしましょう。下品過ぎてわたしには読めないわ」
「私が読もう。貸してくれ、侯爵令嬢」と、レイが手紙をひょいと取り上げた。
そして、文面を見るなり眉根を寄せて大仰に嘆く。
「困ったな。男の私でも憚られる内容だ。なんて品のない!」
「では、僭越ながらあたしが……」
いつの間にか隣に来ていたガブリエラさんが、王太子の持つ手紙を摘んで大声で朗読を始めた。
「えぇっと…………、愛するアンドレイ。昨日はとっても良かったわ。侯爵令嬢に見つからないように近くでするのは最高ね。口で受け止め切れなかったときは焦っちゃったわよ。それでも、あの子はお馬鹿だから全然気付かなくて、本当に可笑しかったわね。あなたの言う通り、次はあの子の側で◇◇◇しても大丈夫そうね。スリリングでとっても楽しそうだわ。あんな間抜けで面白味のない子と早く婚約破棄が出来るといいわね。心から愛しているわ。……あなたの虜のシモーヌ」
「………………」
「………………」
「………………」
底冷えするような静寂がホール中を押し潰すように包み込んだ。
その高貴な身分にそぐわない卑猥な内容に誰もが驚愕し、呆れ返り、軽蔑、嫌悪、失望……どす黒い負の感情を王子と子爵令嬢に突き刺すように注いでいる。
非難の中心のアンドレイ様は真っ白な顔をして茫然自失と立ち尽くしていた。
子爵令嬢のほうはもじもじしながら頬を赤く染めて、なんだか興奮しているような……ちょっと嬉しそう? え……なに、この人。変態なのかしら。彼女の感覚がよく分からないわ。
わたしは二人を見なかったように素知らぬ顔で続ける。
「では、ガブリエラさん。二通目、どうぞ」
「愛するアンドレイ――」
「止めろおぉぉぉぉぉっ!!」
顔を真っ赤にさせたアンドレイ様がガブリエラさんに飛び込むように手を伸ばす。
しかし彼女からさっと避けられて、つんのめった。どっと笑い声が起こる。
「くっ……お前ら……俺を誰だと思っているんだ。この国の王子だぞ……俺は次期国王なんだ……!」
彼の恨み節は笑い声に掻き消された。
「どうです、殿下? これでも子爵令嬢はあなたの恋人ではない、と?」
わたしは倒れ込んだアンドレイ様の眼前に威圧するように堂々と立って、冷たく見下しながら言った。彼はぷるぷると身体を震わせながら、今にも襲ってきそうな苛烈な悪意が内包された視線を打ち当ててくる。
そしておもむろに上半身を起こしてから、目を剥き出しにして叫んだ。
「調子に乗るなよ、このクソ女がぁっっっ!!」
彼の地鳴りのような叫び声がホールの外まで響く。
「つまらねぇんだよ、お前みたいな女はっ! 侯爵令嬢だかなんだか知らないが、いつもいつも澄ました顔をしやがって! 俺はなぁ、初めて会ったときからお前なんか大嫌いなんだよっ! ブスだしグズだし、身分しか取り柄のない馬鹿女が! それを王子の俺が相手にしてやったのだから光栄に思えっ!!」
王子の醜い断末魔の叫びが響き渡る。国王陛下は再び無表情になり、貴族たちは王子の馬鹿の極みような開き直りに慄いた。
レイが眉を吊り上げてアンドレイ様になにか言おうとしたが、目配せをして制止する。彼は不服そうにこちらを見ていたが、わたしは頑なに首を横に振った。
ここは、自分自身が決着をつけないといけない場面だから。
とは言え……思い通りに事が運んで、わたしはほくそ笑んだ。断罪まであと一押しだ。
ついに本性を表したわね。ここには国中の貴族が集まっている。彼に立太子をする資格があるか今一度問われることでしょう。
……まぁ、そんな機会も与えないけどね。
「――それで」わたしの冷たい声音が静かに響いた。「侯爵令嬢と違うそこのつまらなくない子爵令嬢と楽しむ遊びは、一緒に犯罪を行うこと? それが殿下のつまらなくないことなのですか?」
「……あ?」
「持って来なさい」
わたしが合図をすると、王宮の侍従たちがぞろぞろと会場内に入って来た。どの者も手には荷物を掲げている。
それは、アンドレイ様が違法で入手した数々の美術品だった。
「はっ………………」
アンドレイ様の顔が強張った。ナージャ子爵令嬢も気まずい様子で隣の恋人を見ている。
「わたしが知らないと思っているのですか?」と、わたしは冷笑を浮かべる。
「オディール……」
アンドレイ様の敵意の帯びた視線がわたしに激しくぶつかる。国王陛下に似た強い双眸は、まだ若い彼でもなかなかの迫力があった。
でも、わたしも負けない。こんなもの、弾き飛ばしてあげるわ。
しばらく無言で互いに威嚇しあったあと、
「証拠はあるのか? 私たちが恋人同士だと証明してみろ」
アンドレイ様は鼻で笑いながら挑発するように言った。
証明する以前に子爵令嬢のドレスやさっきの二人のやり取りであらかた察しはつくのに、自ら墓穴を掘るようなことを言ってこの人はなんて愚かだろうと、わたしは唖然として彼を見た。
わたしが黙っているのを証明不可能だと思ったのか、アンドレイ様は勝ち誇ったようにニヤリと笑う。
「出来ないのだろう!? 私はお前たちと違って疚しいことなどないのだからな! 王子の側近が良い物を身に着けるのは当然のことだ! それを私自らが与えてなにが悪い? それに、平民たちの功績とやらも最終的には彼女自身が中身を確認をして実行した。だから結果は彼女のものだ! なにも問題ない!」
彼はまたもや滅茶苦茶なことを得意げに言い出した。
王子のあまりに身勝手で愚かな発言に国王陛下は頭を抱え、観客からは嘲笑の混じった忍び笑いや落胆のため息が聞こえてきた。この王子は駄目だ……と、諦念の混じった囁き声が重なり合う。
「殿下、わたしが沈黙していたのは、どこから話そうかと逡巡していたからなのです」わたしは静かに反撃を開始する。「お二人が利用していた宿泊所や密会場所も裏を取っていますが……もう面倒なのでいきなり恋文からいきますか」
わたしが合図をすると、王宮の官吏がいくつかの書簡の入った箱を丁寧に持ち上げながら、こちらへ運んで来る。わたしはビロードが張られた文箱から一通の手紙を取り上げて、おもむろに広げた。
「お前……まさか!?」
「ちょ、ちょっと! まさか、あれ……!?」
にわかに二人は焦り出した。
わたしは彼らを黙視して、訴えかけるように全体をゆっくりと見回す。
「ちなみに、こちらの手紙は筆跡鑑定も行っているわ。では、これより拝読いたします。――愛するアンドレイ……」
少し読んだところで眉をひそめて黙り込んだ。
ざわつく貴族たちを困ったように少し見やってから、
「あら、どうしましょう。下品過ぎてわたしには読めないわ」
「私が読もう。貸してくれ、侯爵令嬢」と、レイが手紙をひょいと取り上げた。
そして、文面を見るなり眉根を寄せて大仰に嘆く。
「困ったな。男の私でも憚られる内容だ。なんて品のない!」
「では、僭越ながらあたしが……」
いつの間にか隣に来ていたガブリエラさんが、王太子の持つ手紙を摘んで大声で朗読を始めた。
「えぇっと…………、愛するアンドレイ。昨日はとっても良かったわ。侯爵令嬢に見つからないように近くでするのは最高ね。口で受け止め切れなかったときは焦っちゃったわよ。それでも、あの子はお馬鹿だから全然気付かなくて、本当に可笑しかったわね。あなたの言う通り、次はあの子の側で◇◇◇しても大丈夫そうね。スリリングでとっても楽しそうだわ。あんな間抜けで面白味のない子と早く婚約破棄が出来るといいわね。心から愛しているわ。……あなたの虜のシモーヌ」
「………………」
「………………」
「………………」
底冷えするような静寂がホール中を押し潰すように包み込んだ。
その高貴な身分にそぐわない卑猥な内容に誰もが驚愕し、呆れ返り、軽蔑、嫌悪、失望……どす黒い負の感情を王子と子爵令嬢に突き刺すように注いでいる。
非難の中心のアンドレイ様は真っ白な顔をして茫然自失と立ち尽くしていた。
子爵令嬢のほうはもじもじしながら頬を赤く染めて、なんだか興奮しているような……ちょっと嬉しそう? え……なに、この人。変態なのかしら。彼女の感覚がよく分からないわ。
わたしは二人を見なかったように素知らぬ顔で続ける。
「では、ガブリエラさん。二通目、どうぞ」
「愛するアンドレイ――」
「止めろおぉぉぉぉぉっ!!」
顔を真っ赤にさせたアンドレイ様がガブリエラさんに飛び込むように手を伸ばす。
しかし彼女からさっと避けられて、つんのめった。どっと笑い声が起こる。
「くっ……お前ら……俺を誰だと思っているんだ。この国の王子だぞ……俺は次期国王なんだ……!」
彼の恨み節は笑い声に掻き消された。
「どうです、殿下? これでも子爵令嬢はあなたの恋人ではない、と?」
わたしは倒れ込んだアンドレイ様の眼前に威圧するように堂々と立って、冷たく見下しながら言った。彼はぷるぷると身体を震わせながら、今にも襲ってきそうな苛烈な悪意が内包された視線を打ち当ててくる。
そしておもむろに上半身を起こしてから、目を剥き出しにして叫んだ。
「調子に乗るなよ、このクソ女がぁっっっ!!」
彼の地鳴りのような叫び声がホールの外まで響く。
「つまらねぇんだよ、お前みたいな女はっ! 侯爵令嬢だかなんだか知らないが、いつもいつも澄ました顔をしやがって! 俺はなぁ、初めて会ったときからお前なんか大嫌いなんだよっ! ブスだしグズだし、身分しか取り柄のない馬鹿女が! それを王子の俺が相手にしてやったのだから光栄に思えっ!!」
王子の醜い断末魔の叫びが響き渡る。国王陛下は再び無表情になり、貴族たちは王子の馬鹿の極みような開き直りに慄いた。
レイが眉を吊り上げてアンドレイ様になにか言おうとしたが、目配せをして制止する。彼は不服そうにこちらを見ていたが、わたしは頑なに首を横に振った。
ここは、自分自身が決着をつけないといけない場面だから。
とは言え……思い通りに事が運んで、わたしはほくそ笑んだ。断罪まであと一押しだ。
ついに本性を表したわね。ここには国中の貴族が集まっている。彼に立太子をする資格があるか今一度問われることでしょう。
……まぁ、そんな機会も与えないけどね。
「――それで」わたしの冷たい声音が静かに響いた。「侯爵令嬢と違うそこのつまらなくない子爵令嬢と楽しむ遊びは、一緒に犯罪を行うこと? それが殿下のつまらなくないことなのですか?」
「……あ?」
「持って来なさい」
わたしが合図をすると、王宮の侍従たちがぞろぞろと会場内に入って来た。どの者も手には荷物を掲げている。
それは、アンドレイ様が違法で入手した数々の美術品だった。
0
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
2/26 番外編を投稿しました。
読んでいただけると嬉しいです。
思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。
とてもとてもありがとうございます!!
【完結】『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる