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第1章・恋人
2話 不思議な体験
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道を抜けるとそこには、古いが立派な石造りの店があった。
看板には『時計屋』とだけ書いてある。
なんだか不思議な雰囲気を纏ったその店に、私は入ってみることにする。
…カランカラン……
「いらっしゃい!」
思っていたより若い声に少し驚きつつも、声の聞こえた方向に目を向ける。
その声の持ち主は、真っ白い髪に赤い瞳をした15歳くらいに見える青年だった。
私はさらに驚いたが、留守番か何かなのだろうと一人で納得した。
店内には、普通の時計から見たこともないような異国の時計まで、興味をそそられるような物がたくさんあった。
しかし、それらの時計のどれもが正確な時間を刻んでおらず、バラバラに動いているのが妙に気になった。
壁一面に並んだ時計を見ていると、青年は突然私に話しかけてきた。
「あなたは、売りにきた人ですね?」
「……はい?」
私は状況が理解できず、とりあえず聞き返す。
「あぁ、突然すみません。えーっと、信じられないかもしれないけど聞いてくださいね。この店は普通の時計屋じゃないんです。」
「普通じゃない?」
普通じゃないとはどういう事だろうか?
「この店で売るのは、時計ではなく『寿命』です。人生の時間を売買しています。」
「………」
信じられない。
そんなおとぎ話のような話、噂ですら耳にしたことはない。
これは夢だろうか?
そう思って頬を摘まんでみるがしっかり痛い。
「これは夢じゃないですよ。現実で起こっている出来事です。」
少し笑いながら青年に言われて、私は夢でもいいからこの不思議な現実を信じてみることにする。
もし本当に寿命が買えるのなら、もしかしたら、少しでも長く彼女に生きていてもらえるかもしれないと思ったからだ。
しかし、すぐに私はその考えを改めた。
私の寿命を売ったお金で彼女の寿命を買ったと知ったら、間違いなく彼女は悲しんでしまう。
そんなことはしたく無かった。
「…私の寿命はどのくらいの値段で売れるんでしょうか?」
「1日60万ゴールドで売れますよ。ちなみに、売買は1日から可能です。」
寿命を売るのはもちろん怖いが、彼女の笑顔が見れるなら細かいことなんてどうでも良かった。
私は3日分の寿命を売ることにした。
「3日分の寿命、確かにいただきました!はい、きっちり180万ゴールドです。」
「どうもありがとうございました。」
私は青年にお礼を告げて店を出ていく。
「どうか、彼女さんとお幸せに。」
最後に小さな声でそう聞こえた気がした。
だが、青年に彼女の話しは1つもしていないのだから、きっと気のせいだったのだろう。
看板には『時計屋』とだけ書いてある。
なんだか不思議な雰囲気を纏ったその店に、私は入ってみることにする。
…カランカラン……
「いらっしゃい!」
思っていたより若い声に少し驚きつつも、声の聞こえた方向に目を向ける。
その声の持ち主は、真っ白い髪に赤い瞳をした15歳くらいに見える青年だった。
私はさらに驚いたが、留守番か何かなのだろうと一人で納得した。
店内には、普通の時計から見たこともないような異国の時計まで、興味をそそられるような物がたくさんあった。
しかし、それらの時計のどれもが正確な時間を刻んでおらず、バラバラに動いているのが妙に気になった。
壁一面に並んだ時計を見ていると、青年は突然私に話しかけてきた。
「あなたは、売りにきた人ですね?」
「……はい?」
私は状況が理解できず、とりあえず聞き返す。
「あぁ、突然すみません。えーっと、信じられないかもしれないけど聞いてくださいね。この店は普通の時計屋じゃないんです。」
「普通じゃない?」
普通じゃないとはどういう事だろうか?
「この店で売るのは、時計ではなく『寿命』です。人生の時間を売買しています。」
「………」
信じられない。
そんなおとぎ話のような話、噂ですら耳にしたことはない。
これは夢だろうか?
そう思って頬を摘まんでみるがしっかり痛い。
「これは夢じゃないですよ。現実で起こっている出来事です。」
少し笑いながら青年に言われて、私は夢でもいいからこの不思議な現実を信じてみることにする。
もし本当に寿命が買えるのなら、もしかしたら、少しでも長く彼女に生きていてもらえるかもしれないと思ったからだ。
しかし、すぐに私はその考えを改めた。
私の寿命を売ったお金で彼女の寿命を買ったと知ったら、間違いなく彼女は悲しんでしまう。
そんなことはしたく無かった。
「…私の寿命はどのくらいの値段で売れるんでしょうか?」
「1日60万ゴールドで売れますよ。ちなみに、売買は1日から可能です。」
寿命を売るのはもちろん怖いが、彼女の笑顔が見れるなら細かいことなんてどうでも良かった。
私は3日分の寿命を売ることにした。
「3日分の寿命、確かにいただきました!はい、きっちり180万ゴールドです。」
「どうもありがとうございました。」
私は青年にお礼を告げて店を出ていく。
「どうか、彼女さんとお幸せに。」
最後に小さな声でそう聞こえた気がした。
だが、青年に彼女の話しは1つもしていないのだから、きっと気のせいだったのだろう。
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