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王国との戦争
300:収納魔術の新たな活用法
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「……そろそろ行くか」
ウースを倒した後、俺はその場に残った『ウースだった残骸』を収納した。
それはもしかしたら生きているかもしれないと思ってのことでもあった。収納は生きているものはしまうことができないから、もしかしたらって、そう思って。
だが、溶けたウースの肉体は収納することができた。できてしまった。
正直、こんなになったとはいえ知り合いの体を収納の中に入れておくのは嫌だった。
だが、ウースをあのまま放置しておくわけにはいかないし、これからどこかに捨てていくわけにもいかない。
……俺は、このウースだったものを、ウースの父親であるウォルフに見せようと思っている。
あの状態のウースを見せた時のあいつらの気持ちを考えると見せたくはないが、それでも持っていかないという選択肢はない。
……どんな形であれ、息子の死に俺が関わったのは事実だ。ならそれを知らせないわけにはいかない。それが、最後を看取った者の役目だと思うから。
「……で、問題はこっちをどうするかだけど……」
そう呟きながら俺はその視線を倒れているソーラルの方へと向ける。
一応意識は失っているとはいえ、ソーラルはまだ生きているのだからこのままではいつ起きだすか分からない。
このまま放置していくというのは無しだ。だが、かと言って俺の身長の倍以上も大きくなったソーラルを持っていけるかと言ったら……。
「まあ、無理だよなぁ」
ソーラル以外にも俺は環ちゃんを抱えていかなければならない。
もしこれが環ちゃんがいなければ引きずって持っていくことは可能だっただろうけど、環ちゃんがいる以上はそういうことも出来ない。
「ああくそ。どうするって言っても、どうすればいいんだよ……」
そこでふと、先日の戦場であった桜ちゃんを思い出す。正確には彼女の使っていた技を、だ。
彼女は俺が眠らせた海斗くんを乗せたまま結界を操作し、結界を浮かせることで移動を果たした。
「あれが使えれば便利なんだけど……いや、待てよ?」
俺に桜ちゃんのような結界を使うことはできない。が、似たようなことはできるかもしれない。
収納魔術だ。それをソーラルの下に展開して持ち上げれば、もし貸して桜ちゃんが使った結界のようなことができるんじゃないだろうか?
収納魔術は、生き物が触れるとその勢いを倍にして反転させる。俺は今までその特性を利用して盾として使ってきたが、もしその加えられる衝撃が小さければ、触れた生き物を弾き飛ばさずに乗せることができるんじゃないか?
そう思い立つと、俺は意識のないソーラルのそばに寄っていき、その体の下に収納魔術を展開する。
そしてそれをそっと持ち上げると……
「……おおっ!」
思惑は成功し、見事に寝ているソーラルの体を浮かせることができた。
収納魔術の渦の上に乗せられてソーラルは空へと浮かび上がる。
ソーラルを浮かせている収納魔術の渦を動かしてみると、俺の希望通りにその上に乗っていたソーラルも一緒に移動する。
これならば運んでいく事はできる筈だ。
常に反射し続けているからか地味に魔力を使うけど、欠点といえばそれくらいだ。
「うおあっ!」
ならば今度は自分でと考えて試してみたのだが、水平に作った収納魔術の渦に足を入れると何にも触れることはなく、まるでそこに落とし穴でもあるかのように足を踏み外した。
「あっぶな。一体なんで……」
意図しない自作の落とし穴にかかりつつも、なんとか転ばずに済んだ俺はソーラルの時と違って足を踏み外した原因を考える。
そしてその原因に思い至った。
「ああいや、そういえばこんな仕様だったか」
そういえば収納魔術は他者は触れただけで弾くが、使用者は肘までだとかある程度まではその渦の中に体を入れることができるんだったか。
その後も何度か練習をしてみたのだが、かなり難しい。
バランスを取ろうとして右足に力を込めればその力が倍になって反射されて今度は左足に負荷がかかり、それのバランスを取ろうとしたら右足に……という事の繰り返しだ。
ソーラルを問題なく運ぶことができたのは、あいつの意識がないからだろう。
意識がなく全身の力を抜いているから等しく全体に負荷がかかる。そのためバランスを取らなくてもいいんだと思う。
まああいつが立っていないというのも理由の一つではあるだろうけど。
しかし困った。これでは俺自身を運ぶことはできそうもない。
いやできなくもないだろうが、かなりバランスをとりづらいし、こんなことで気を使うぐらいなら自分で走った方が楽だ。
「……まあ、こいつを運べるようになっただけでも儲け物と考えるべきか?」
元々の目的であるソーラルの運搬という点では解決したのだから、ひとまず良しとしておこう。
そう納得すると、俺はソーラルをその場に放置して家の中に戻っていった。
家の中に戻った俺はそれまでの疲労を表すかのようにソファにいつもよりも乱暴に腰を下ろし、少し休憩をすることにした。
元は朝早くから出発しようとしていたのに、襲われてしまったせいでその出発が遅れてしまった。
だからもう少し休んでいたかったけど、少しの休憩を挟んだだけでソファーから立ち上がり、寝ている環ちゃんを背負って家を出た。
家を出た後は再び家を収納に入れ直しソーラルをさっきの方法で宙に浮かせって準備を終えると、少しの間ウースとの戦いで生じた痕跡を眺めてから走り出した。
「あきと、さん……?」
そうして明日の昼頃には里に着くだろうと言うところで、今まで眠り続けていた環ちゃんが目を覚ました。
ウースを倒した後、俺はその場に残った『ウースだった残骸』を収納した。
それはもしかしたら生きているかもしれないと思ってのことでもあった。収納は生きているものはしまうことができないから、もしかしたらって、そう思って。
だが、溶けたウースの肉体は収納することができた。できてしまった。
正直、こんなになったとはいえ知り合いの体を収納の中に入れておくのは嫌だった。
だが、ウースをあのまま放置しておくわけにはいかないし、これからどこかに捨てていくわけにもいかない。
……俺は、このウースだったものを、ウースの父親であるウォルフに見せようと思っている。
あの状態のウースを見せた時のあいつらの気持ちを考えると見せたくはないが、それでも持っていかないという選択肢はない。
……どんな形であれ、息子の死に俺が関わったのは事実だ。ならそれを知らせないわけにはいかない。それが、最後を看取った者の役目だと思うから。
「……で、問題はこっちをどうするかだけど……」
そう呟きながら俺はその視線を倒れているソーラルの方へと向ける。
一応意識は失っているとはいえ、ソーラルはまだ生きているのだからこのままではいつ起きだすか分からない。
このまま放置していくというのは無しだ。だが、かと言って俺の身長の倍以上も大きくなったソーラルを持っていけるかと言ったら……。
「まあ、無理だよなぁ」
ソーラル以外にも俺は環ちゃんを抱えていかなければならない。
もしこれが環ちゃんがいなければ引きずって持っていくことは可能だっただろうけど、環ちゃんがいる以上はそういうことも出来ない。
「ああくそ。どうするって言っても、どうすればいいんだよ……」
そこでふと、先日の戦場であった桜ちゃんを思い出す。正確には彼女の使っていた技を、だ。
彼女は俺が眠らせた海斗くんを乗せたまま結界を操作し、結界を浮かせることで移動を果たした。
「あれが使えれば便利なんだけど……いや、待てよ?」
俺に桜ちゃんのような結界を使うことはできない。が、似たようなことはできるかもしれない。
収納魔術だ。それをソーラルの下に展開して持ち上げれば、もし貸して桜ちゃんが使った結界のようなことができるんじゃないだろうか?
収納魔術は、生き物が触れるとその勢いを倍にして反転させる。俺は今までその特性を利用して盾として使ってきたが、もしその加えられる衝撃が小さければ、触れた生き物を弾き飛ばさずに乗せることができるんじゃないか?
そう思い立つと、俺は意識のないソーラルのそばに寄っていき、その体の下に収納魔術を展開する。
そしてそれをそっと持ち上げると……
「……おおっ!」
思惑は成功し、見事に寝ているソーラルの体を浮かせることができた。
収納魔術の渦の上に乗せられてソーラルは空へと浮かび上がる。
ソーラルを浮かせている収納魔術の渦を動かしてみると、俺の希望通りにその上に乗っていたソーラルも一緒に移動する。
これならば運んでいく事はできる筈だ。
常に反射し続けているからか地味に魔力を使うけど、欠点といえばそれくらいだ。
「うおあっ!」
ならば今度は自分でと考えて試してみたのだが、水平に作った収納魔術の渦に足を入れると何にも触れることはなく、まるでそこに落とし穴でもあるかのように足を踏み外した。
「あっぶな。一体なんで……」
意図しない自作の落とし穴にかかりつつも、なんとか転ばずに済んだ俺はソーラルの時と違って足を踏み外した原因を考える。
そしてその原因に思い至った。
「ああいや、そういえばこんな仕様だったか」
そういえば収納魔術は他者は触れただけで弾くが、使用者は肘までだとかある程度まではその渦の中に体を入れることができるんだったか。
その後も何度か練習をしてみたのだが、かなり難しい。
バランスを取ろうとして右足に力を込めればその力が倍になって反射されて今度は左足に負荷がかかり、それのバランスを取ろうとしたら右足に……という事の繰り返しだ。
ソーラルを問題なく運ぶことができたのは、あいつの意識がないからだろう。
意識がなく全身の力を抜いているから等しく全体に負荷がかかる。そのためバランスを取らなくてもいいんだと思う。
まああいつが立っていないというのも理由の一つではあるだろうけど。
しかし困った。これでは俺自身を運ぶことはできそうもない。
いやできなくもないだろうが、かなりバランスをとりづらいし、こんなことで気を使うぐらいなら自分で走った方が楽だ。
「……まあ、こいつを運べるようになっただけでも儲け物と考えるべきか?」
元々の目的であるソーラルの運搬という点では解決したのだから、ひとまず良しとしておこう。
そう納得すると、俺はソーラルをその場に放置して家の中に戻っていった。
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元は朝早くから出発しようとしていたのに、襲われてしまったせいでその出発が遅れてしまった。
だからもう少し休んでいたかったけど、少しの休憩を挟んだだけでソファーから立ち上がり、寝ている環ちゃんを背負って家を出た。
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