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青春の幻影と不穏な影

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【嵐side】

  部屋で落ち込んでいたら何処から聞きつけたのか、星華や秋穂、姫子までがやって来た。

  星華曰く『失恋にはヤケ食いが良い』とか。
  秋穂曰く『パッとカラオケでもして、忘れてしまうのが一番だ』とか。
  姫子曰く『初恋の女性は青春の幻影。
  蛍先生という名の嵐くんの思い出の中に残れば、それでいいと思うよ』なんて、何処かで聞いたセリフを言って慰めてくれた。

  うん、まあ……いつまでも、くよくよするのは俺らしく無いよな。
  気を取り直して四人で一緒に遊んでしまっていたら、由利凛が呆れたような目をして見ていた。
  手には、お好み焼き屋『火の車』のお好み焼きがあり、

「嵐お兄ちゃんの節操なし!」
 といい放ち、出て行ってしまった。
   ヘンな奴……。

  それを見ていた三人は微妙な顔をしながらも、その後も一緒に遊んでいたら由利凛のことなど、すっかり忘れてしまっていた。


◇◇◇◇◇

「邪魔するでー!」

 こけるのアホが勝手に部屋に入ってきた。

「なんで関西弁なんだよ……つーか何しに来たんだ? 
 お前が俺の見舞いに来たなんて冗談は言うなよ !」

「……」

「……」

「……」

 こけるは、ヤレヤレと肩をすくめて俺を憐れむように見ている。

「…な、なんだよ?」

「あのな、嵐。『邪魔するでー!』って言われたら『邪魔するなら帰ってんかー』って返すの。関西じゃ常識だぜ」

「ここは茨城なんだが」

「ところで『お願い』のことなんだけどさ…」

「会話のキャッチボールって知ってるか?」

 何時にもまして、こけるとの話しが噛み合わない。
 間に海里が入ることにより理由がわかった。

 また、于吉と左慈がろくでもないことを企んでいるらしい。
 潜入捜査をする為に俺の妹達の服を借りたいと言ってきた。

「で、その女性用の服は何に使うんだ?」

「もちろん変装だよ」

「それは女装って言うんだぞ !」

「性別まで偽れば、もう完璧に于吉たちを騙せると思うんだ !」

「完璧な不審人物として、警察まで敵に回しそうだな……」

「『心は女です』って言っときゃ大丈夫だよ」

「あらゆる方面を敵に回すのはやめれ !」

 アホだ、アホが居る。
 こけるは陰陽師としては優秀だと思うんだが、それ以外は凄く残念な奴だよな。

 チロリと海里を見ると、完全にあきらめた表情だった。

「ダメだぞ 」

「なんでやー !」

「妹達の服を勝手に貸すと俺が妹達に殺される。
 第一、サイズが合わないだろうが !」

 ガックリ来ている、こけるに海里が
「だから、言ったでしょう。
 普通、女の子が男の子に服を貸すわけ無いのに……」

「おおー、そうだ !」
 ナイスアイデアが浮かんだ。

「なんだ、なんだ。  この際だから、嵐のしょうもないアイデアでも聞くぞ !」

「由利子おばちゃん……由利子先生の服なら、どうだ !?
 由利子先生は、鍛えているから背も高いし細マッチョだから、たぶん こけるのサイズにも合うと思うぞ !」

「嫌だぁー !  俺だって、命は惜しいんだぞ。
 あの並みの握力と腕力で、ボコボコにされてしまうわ !」

「ほぉ~、 ?」

「そんなもん、由利子先生に決まっ…………

 ガシッ !

 憐れ、こけるは由利子おばちゃんにアイアンクローをされていた。
 声が大きいんだよ、お前はこける

 こけるのせいで、俺まで一種に説教コースに入ってしまった。
 せっかく、星華たちと楽しく遊んでいたのによ !
 憂さ晴らしに、久しぶりに陰陽師の仕事を手伝ってやるかぁ~。


 ※作者より

 次回の更新は、12月1日を予定しています。
 現在、風邪😷を引いているので、心身ともに余裕がありません。
 風邪を治したら再び再開しますので、少しお待ちくださいね。

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