Make a happy home

鳴宮鶉子

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メジャーデビューの誘い

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「音羽ちゃん、スゴい!!おめでとう!!」

ソミープロダクションから契約しないかとメールが届き、嬉しくてすぐ奏音さんにLINEメッセージを送ったら、お祝いしたいとランチに誘われ、行きつけのイタリアンのお店にきた。

ノンアルコールのジャンパーンとイタリアンのコースを頂く。
サーモンとホタテのカルパッチョとシーフードがふんだんに使われたルッコラとレタスのサラダを口にしながら、奏音さんは満面の笑みを浮かべてた。

「アニメのオープニングを歌わせて貰えるって光栄な事だよ!!」

少年ウィングで掲載されてる漫画のオープニングを任され、毎週楽しみに読んでた作品だからすごく嬉しかった。

「……音羽ちゃんがデビューしちゃうと、遠い人になる気がして、少し寂しい。でも、レコーディングとかプロモーションビデオの撮影とか、私、協力するから!!実はWEBアーティストのプロダクションの会社を子会社で立ち上げる準備をしてるの。最近、テレビ離れしてるから、エブサイトにエブTVっていうのを追加しようと思っててね。ソミープロダクションに所属してもWEBでエブプロモーションに入る事は可能だから、音羽ちゃん、第1号になってね!!」

メジャーデビューについては知識が全くない。
まさか、私がデビューできるとは思ってなかったから。
YouTubeやニコニコ動画、エブ動画のクリエには誰でもなれる。
その中でデビューできるのは0.01%の確率で、まさか私に声がかかるとは思わなかった。

新曲の創作などはアーティストに任せてるらしく、今まで通り、奏音さんに協力して貰った。


「……ちょっと、理人、家に住みつかないでよ!!」

プロダクションに所属してアニメのオープニングを歌わせて貰ったといっても、そのアニメはまだ始まってない。

日常的には何も変わってないけれど、理人が私の狭い1DKのマンションに住みついた。

一緒に住んでたみ3LDKのマンションと違い、パソコン機器はリビングに置いてあり、新曲作りや小説の原稿を書いてる時に、背後でノートパソコンをカタカタされると気が散ってしまう。

ここで話しかけたら中断させられ寝室に連れていかれるから我慢する。
家から追い出そうとしても、あの手この手で中に入ってきて、諦めた。

腐れ縁でたんなる同居人と思う事にした。
昔みたいに、私に隼人さんから指示された仕事を押し付けてきたり、大学の友達との飲み会などに付き合わせてきたりしないから実害はない。

「音羽、飯作った!!作業、中断できる?」

創作に集中すると食事を忘れる私の代わりにご飯も作ってくれる。
地下にあるスーパーでヘルシーそうな惣菜を買ってきて並べるだけだけど、かなり助かってる。

****
「音羽ちゃん、メジャーデビュー、おめでとう!!」

BARでの営業の日。
れもんちゃんと一緒になり、お祝いの言葉をかけられた。
れもんちゃんはシンガーソングライターとして活動をしてるけど、ファッションデザイン系の専門学校に通っていて、レッセパッセでデザイナーの仕事もしてる。
れもんちゃんがデザインした服をを人気女子アナの水島麻美にリピートして貰ってるのもあり、デザイナー業が最近忙しいようで、営業を休んでいて、会うのは久しぶりだった。

「“異能の剣士”だっけ!!ウィングのこの手のアニメは大ヒットしてるし、絶対にヒットするよ!!」

アニメが始まり、オープニングソングのCD売り上げとダウンロード数が新人アーティストの曲なのに週間オリコン1位をとり、びっくりしてる。

「そろそろCMソングとかの依頼がくるんじゃない?」

「オロナミンDのCMソングで話がきてる。でも、CMモデルとしての起用だから、仕事を受けるかどうか悩んでるんだ」

シンガーソングライターとして活動はしたい。
でも、テレビ出演し、タレント活動する気にはなれなかった。

「……彼氏も可愛い彼女にテレビ出演はあまりして欲しくなさそうだよね」

マネジャー化してる理人が、BARで私に近寄ってくる男性達を威圧してる。

「メジャーデビューしてどれくらいの間、人気でいられるかわからないし、3年は頑張ってみなよ」

れもんちゃんは専門学校を卒業したらシンガーソングライターを辞めて、デザイナー1本でこれからやっていくと言ってた。

メジャーデビューできたことが幸運な事。
頂いた仕事はできる限り受け、アーティストとして活躍できるよう邁進していこうと心に決めた。


『元気charge、オロナミンD!!』

オロナミンDのCMは私が新人だから安く契約ができるのもあり、CMを2パターン作成され、2曲歌わせて貰えた。

部活で疲れてる野球部の部長に冷えたオロナミンDを背後から頬っぺたにあてる学校編と、夜遅くまで残業してる主任の席の隣に座り、机に伏せ彼を見つめ彼と目があった瞬間にオロナミンDを差し出すオフィス編。
可愛すぎるブレザーの制服と色気が漂うタイトスカートのスーツ。

30秒のCMだから一瞬で終わる映像だけど、大ヒット中のアニメ“異能の剣士”のオープニングでデビューした新人アーティストというのもあり、このCMも話題になった。

タレント活動などはしてないけど、歌番組や情報番組のエンタメコーナーのゲスト出演には応じた。

「音羽ちゃんが大活躍してるの嬉しい」

中塚製薬の専属になり、私はポカロスエットのCMソングとCMを任された。

「……私、隼人の仕事をずっと手伝ってて18歳で結婚して理人を産んだから、青春がなかった。後悔はしてないけど、もっと色々楽しみたかったなっていう想いはある。だから、音羽ちゃんのサポートをして活躍してるのをみると……嬉しい」

いつもみたいにできあがった新曲のレコーディングを奏音さんにお願いした時に、奏音さんから私はぎゅっと抱きしめられた。

「昔に書いた小説が京宝アニメ化され、その主題歌を歌わせて貰える事になりました!!」

びっくりしたのが高校時代にWEBサイト上に書いた青春推理小説が映画監督の目に入り、アニメ映画化が決まった。
そして書籍化してない作品の書籍化も決まり、驚いてる。
エブサイトが運営してる小説投稿サイト“ノベルスター”も注目され、利用者がかなり増えたらしく、最高責任者の奏音さんは喜んでた。

「……理人が音羽ちゃんに捨てられるって拗ねてるから、ゴメンね」

大学の講義を受ける以外、理人は私のマンションにこもり、リモート操作でエブサイトとソミーロボットテクノロジーの仕事を黙々としてる。

狭いリビングに高性能のデスクトップパソコンを2台持ってこられ迷惑に思ったけど、真剣な表情でパソコンのキーボードを叩く理人の姿を見て昔好きだった時の彼を思い出し、また私は惹かれていってる。

「音羽ちゃんに負けられないって、真面目に仕事をやるようになってよかったわ」

でも、一緒に住んでいるけど、お互い黙々とパソコン作業をし、食事を共にしてるだけで、たんなる同居人になっていて、私は物足りなく感じてた。




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