召し使い様の分際で

月齢

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第7章 薬草研究の賜物

青月

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 僕はいわゆる『耳年増』みたいなものだった。
 異性との、あるいは同性との性行為について、ジェームズはきちんと教えてくれた。皇族でもあったから、僕が子をもうけた場合、いろいろややこしいことになると、注意を促すためでもあったろう。

 でも僕には、そんな心配は無用だった。
 虚弱な躰は生きることに精いっぱいで、性欲に割く体力は無かった。
 自慰の経験すら無いとは言わないが……自分でも呆れるほど性に関して淡白で、短命の家系でもあるし、相手が気の毒だから見合い話はすべて断った。

 恋愛話も、使用人や領民たちの話を聞くだけで良しとしていた。
 別に卑屈になっていたわけではなく、恋愛には縁遠くても平和で穏やかな日々に感謝していたし、ウォルドグレイブ家の最後の主として死んでいく、そういう人生なのだろう――くらいに考えていた。

 なのに……。
 僕に覆いかぶさった青月の、真剣な眼差しに射抜かれながら、まさか自分がこんなことをしているなんてと、未だ夢を見ているみたいに思った。
 が、押し当てられた剛直に後孔をひらかれる感覚は、どんな夢想も吹っ飛ぶほど生々しかった。

「ああっ、やっぱり無理い……っ!」

 寒月に背中をあずけ、青月に両脚を押しひらかれて。
 自分から煽ったくせに、いざとなると、その大きさに怯えた。

「大丈夫だ。絶対に傷つけたりしない、信じろ。……ちゃんと息、吸ってるか?」

 青月が優しく囁き、寒月は髪や額にあやすようなキスをくれる。
 僕は言われるがまま、懸命に大きく息を吸った。
 と、それに合わせて、先端がずぶりと入ってきた。

「――っ!」

 声にならずに仰け反ると、その胸を寒月が愛撫してくる。
 全身が些細な刺激にも敏感になっていた。乳首を捏ねる指の腹の感触まで、はっきりと感じられる。
 その間にも青月は、マルムの分泌物のぬめりを借りて、確実に僕の中へと押し入ってきた。

「ひあっ! やっ、あっ、んあっ」

 ぐっ、ぐっ、と腰を進められる動きに合わせて声が漏れ出す。
 絶対無理と思ったのに、大きなものが、ずぶずぶと僕の中に呑み込まれていく。
 内部に含んだ衝撃で涙があふれて、手も脚も震えが止まらない。

「は、入……っ、それ以上はだめ、怖いぃ」

 屹立していた僕のものも、元気を失った。
 が、青月の大きな手のひらにつつまれ、ゆるゆると扱かれると、持ち主にはおかまいなしに元気を取り戻した。
 怖いと言いつつ勃たせてる僕。混乱の極みだよ。

「うう、もう嫌だぁ」
「大丈夫だアーネスト……全部は挿れないから」
「う、嘘っ」

 もう全部おさまったと思ってた!
 しかし青月は僕の言葉を勘違いして、

「嘘じゃない。少しずつ慣らそうな」

 言いながら、さらにずぶずぶと入ってくる。
 
「やっ! あっ、あー……!」 
 
 奥深くまで怒張が潜り込んできて、苦しいのに、自分でも驚くほど甘ったるい声を上げていた。
 身をよじった拍子に、欲望にまみれた双子の視線が注がれていることに気がついた。
 あられもなく脚をひらき、晒された秘所に欲望を受け入れている姿を、見られている。
 カッと全身が熱くなった。

「なんで見てるのさっ」
「なんでって……」

 寒月は珍しく照れたように口ごもったが、視線はまったく逸らさない。
 青月は汗に濡れた髪をかき上げ、大きく息を吐き出した。

「見ないほうがおかしいだろう……こんなにいやらしくて、可愛いお前を」
「だっ、誰がいやらし……ひうんっ!」

 いっぱいに入っていたものを、ゆっくりと抜かれて、おかしな声が出た。

「動くぞ」

 遅い! もう動いてるじゃないか!
 抗議したかったけど、再びゆっくりと挿入されて、内壁のある部分をぐりっと刺激された途端、目もくらむような快感が突き抜けた。

「ひああっ! あ――……」

 腹にポタポタと温かな感触。
 触れもせず、挿れられて射精してしまったのだと、一拍遅れて気がついた。

「アーネスト……中で感じたのか?」

 嬉しそうに覗き込んできた寒月の顎を、ペシッと叩く。「いてっ!」と言いつつ幸せそうなのは何故なんだ。

「もう嫌だ、恥ずかしい……!」

 羞恥心で死にそう。
 こんなときこそ失神すればいいのに、今夜の僕はやたら元気だ。
 せめてもと両手で顔を隠したが、青月にそっと外されてしまった。

「愛してるよアーネスト。お前が感じてくれて、すごく嬉しい」

 普段クールな青月が、幸せでたまらないという顔で笑うときの、この破壊力よ。毎度ドキッとさせられてしまう。

「ここ、好きなんだな?」
「はあうっ! あっ、そこだめっ」

 ときめいている暇もありゃしない。
 ゆっくりと抽挿しながら、感じる部分を先端で擦り上げられて、僕のものがまた頭をもたげてきた。
 抜き挿しされるたび、つながった箇所から耳を覆いたくなるような卑猥な音がする。
 でも僕はそれ以上に、いやらしい声を上げていた。

「あっ、ああっ! んうっ、ひうっ」

「エロいアーネスト、可愛すぎて鼻血出そう」

 馬鹿なことを言う寒月にも抗議したかったが、僕を片腕に抱えたままキスしてきて、喘ぐことしかできない。
 青月に腰を揺さぶられながら寒月に唇を貪られ、信じられないほどの悦楽に支配された。 
 いつしか抽挿はせわしなくなっていて、僕の前方も揺れながら先走りをこぼす。

「アーネスト……もう少し、挿れるぞ」

 青月が、荒い息の合間にそう言って。
 次の瞬間、ズクッとさらに奥深くまでこじ開けられ息を呑んだ。

「――ッ! あっ! ああー……っ!」

 深いところまで怒張を咥え込んだまま、僕はまた達していた。
 強すぎる快感に躰がひくつき、白濁をふりこぼしながら、青月のものをきつく締めつける。
 青月は低く呻いて、ゆっくり腰を引くと、僕の腹に熱いものを迸らせた。 
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