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第二章 反撃のサナフ教国
第百三十九話 悪夢と日常
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「うわぁぁぁあっ!! はぁっ、はぁっ……ゆ、夢?」
「にゃ? (大丈夫か?)」
「あっ……タロ? そうか、僕、こっちに泊まらせてもらったんだったな」
いきなり悲鳴を上げられて飛び起きた我輩は、ロッダがうなされていたことを知り、申し訳ない気持ちになる。
落ち着いて考えてみれば、いかにロッダが怯えていたからといえど、老人に頭突きなんて、紳士としてあり得ないことなのだ。ロッダが怯え、それを誰も助ける様子がなかったからこその行動とはいえ、やはり、我輩に責任がある。
しかも、その後の事故は、ロッダの心を深く傷つけている。我輩は良く口づけされていたから分からないのだが、人間にとって初めての口づけは特別なものらしい。それを、異性どころか同性と行うことは、とてもショックなことらしいのだ。だから、我輩、ロッダにもノルディにも申し訳なく、せめて近くでその傷を癒せないだろうかとロッダの側に張り付くことにしたのだ。
「にゃ? にゃあ? (大丈夫か? バルディスを呼んだ方が良いのだろうか?)」
「はぁ、タロ。お前のせいで、僕はとんでもない目にあったぞ」
「にゃあ(本当に、申し訳ないのだ)」
「だから、少し、モフモフさせてくれ」
「にゃっ。にゃにゃあっ(もちろんなのだっ。思う存分、たーっぷりとモフモフを堪能するのだっ)」
そう言って、我輩、ゴロリと腹を上にして転がる。
さぁっ、我輩の毛並みを堪能するのだっ!
そして、ロッダの手が我輩に伸びてきたその時だった。
「……来る」
「うわっ!? ディ、ディアム? い、いつからそこに……?」
「? 昨日、夜から」
ディアムに気づかなかったロッダは、胸を押さえて引きつった表情でディアムを見る。
……うむ? モフモフタイムではないのか?
手を完全に引っ込めてしまったロッダに、我輩、首をかしげてみせる。
「それより、来る」
「え、えっと、誰がだ?」
「バルとジルク、ノルディ」
『ノルディ』という言葉を聞いた瞬間、ロッダは全身を強張らせる。
「心配、ない。ノルディ、昨夜の暴走、覚えてない」
「え?」
「頭突きの衝撃、記憶飛んだらしい」
「……それは……タロに感謝、なのか?」
「……覚えてたら、昨日の二の舞」
「! そうだなっ。タロに感謝だな」
「にゃ? (どういうことなのだ?)」
話の意味が分からない我輩は、今度は逆方向に首をかしげてみせる。こうしたら、たまに飼い主が詳しい説明をくれたので、きっと説明を求める時の仕草で間違いないのだ。
しかし、残念なことに、ディアムもロッダも我輩に気づくことなく、やってきたバルディス達を迎え入れることとなる。
「おはようございます、ロッダ様」
「お、おはよう」
ロッダは、ノルディに対してのみ、少しビクッと反応したものの、それ以上におかしなことはなく、何気ない朝の会話が続く。そして……。
「なんだとっ!?」
何かを聞いたロッダは、怒りと悲しみが入り交じったような表情で、ノルディに詰め寄った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は、ちょこっと早めに更新ですっ!
しばらくは、21時30分頃か、22時頃の更新が多くなりそうです。
それでは、また!
「にゃ? (大丈夫か?)」
「あっ……タロ? そうか、僕、こっちに泊まらせてもらったんだったな」
いきなり悲鳴を上げられて飛び起きた我輩は、ロッダがうなされていたことを知り、申し訳ない気持ちになる。
落ち着いて考えてみれば、いかにロッダが怯えていたからといえど、老人に頭突きなんて、紳士としてあり得ないことなのだ。ロッダが怯え、それを誰も助ける様子がなかったからこその行動とはいえ、やはり、我輩に責任がある。
しかも、その後の事故は、ロッダの心を深く傷つけている。我輩は良く口づけされていたから分からないのだが、人間にとって初めての口づけは特別なものらしい。それを、異性どころか同性と行うことは、とてもショックなことらしいのだ。だから、我輩、ロッダにもノルディにも申し訳なく、せめて近くでその傷を癒せないだろうかとロッダの側に張り付くことにしたのだ。
「にゃ? にゃあ? (大丈夫か? バルディスを呼んだ方が良いのだろうか?)」
「はぁ、タロ。お前のせいで、僕はとんでもない目にあったぞ」
「にゃあ(本当に、申し訳ないのだ)」
「だから、少し、モフモフさせてくれ」
「にゃっ。にゃにゃあっ(もちろんなのだっ。思う存分、たーっぷりとモフモフを堪能するのだっ)」
そう言って、我輩、ゴロリと腹を上にして転がる。
さぁっ、我輩の毛並みを堪能するのだっ!
そして、ロッダの手が我輩に伸びてきたその時だった。
「……来る」
「うわっ!? ディ、ディアム? い、いつからそこに……?」
「? 昨日、夜から」
ディアムに気づかなかったロッダは、胸を押さえて引きつった表情でディアムを見る。
……うむ? モフモフタイムではないのか?
手を完全に引っ込めてしまったロッダに、我輩、首をかしげてみせる。
「それより、来る」
「え、えっと、誰がだ?」
「バルとジルク、ノルディ」
『ノルディ』という言葉を聞いた瞬間、ロッダは全身を強張らせる。
「心配、ない。ノルディ、昨夜の暴走、覚えてない」
「え?」
「頭突きの衝撃、記憶飛んだらしい」
「……それは……タロに感謝、なのか?」
「……覚えてたら、昨日の二の舞」
「! そうだなっ。タロに感謝だな」
「にゃ? (どういうことなのだ?)」
話の意味が分からない我輩は、今度は逆方向に首をかしげてみせる。こうしたら、たまに飼い主が詳しい説明をくれたので、きっと説明を求める時の仕草で間違いないのだ。
しかし、残念なことに、ディアムもロッダも我輩に気づくことなく、やってきたバルディス達を迎え入れることとなる。
「おはようございます、ロッダ様」
「お、おはよう」
ロッダは、ノルディに対してのみ、少しビクッと反応したものの、それ以上におかしなことはなく、何気ない朝の会話が続く。そして……。
「なんだとっ!?」
何かを聞いたロッダは、怒りと悲しみが入り交じったような表情で、ノルディに詰め寄った。
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今回は、ちょこっと早めに更新ですっ!
しばらくは、21時30分頃か、22時頃の更新が多くなりそうです。
それでは、また!
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