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第七章 過去との決別
第百八話 雪祭り
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「うわぁっ、すっげぇ! 雪像が大量だっ!」
リュシリーの手引きによって、雪祭りに向かった俺は、馬車から降りてすぐ、二日前に来た時以上の雪像の量に圧倒される。
「すっげぇ。雪像で、ドラゴンまで作れるんだ……」
巨大雪だるまを一つ、背中に乗せた雄々しいドラゴンの雪像を見て、俺は感動のあまり、ため息を吐く。
「カイ、はしゃぐのは構いませんが、はぐれないようにしてくださいね?」
「う、うん。分かってる」
俺の隣には、リュシリーがしずしずと歩いて着いてきている。他にも、二人ほど近くに護衛の男が居るのと、俺が分からないところにも何人か配置されているらしい。俺の名前は、また『カイ』にしてもらっている。
(こんなにすごい雪像が見られるなんて、やっぱり、来て良かったっ)
今の俺は、ニット帽を深く被り、黒いマフラーと男物のベージュのコートを身に纏い、黒いブーツで雪を踏みしめながら歩いている。リュシリーが言っていた変装というのは、男装のことだったらしく、俺は、久々の男服でちょっと嬉しかったりする。
「なぁ、リュシリー、ここが雪祭りの会場になるのか?」
「いいえ、ここはただ、個人の趣味で作られた雪像があるだけの場所です。会場はあちらの方になります」
雪像はたくさんあったものの、ここがライナードに教わった場所ではないような気がして問いかけてみれば、やはり、ここは会場ではなかったらしい。
しかし、それより気になるのは……。
「えっ? 趣味?」
「はい、雪祭りには、正式に登録した雪像と、個人の趣味で作成された雪像とが多く並びます。登録された作品はもちろん、審査されて表彰を受けることもありますが、趣味で作成されたものはその限りではありません。それに、登録作品は会場にしか設置することはできませんので」
「……あの、ドラゴンが、趣味……」
「はい、そのようです」
五メートル近くあるドラゴンの雪像が趣味だと言われて、俺は密かにショックを受ける。
(えっ……審査があるなら、あれって、上位に入っちゃったりするやつじゃないのか!?)
そう思いながらも、会場に向かった俺は、ドラゴンが趣味だということを実感することとなる。
「お、ぉ……」
俺は、そこにあった雪像の数々に戦慄し、言葉を失う。元は、だだっ広い広場だったであろうその場所には、多くの雪像が、それなりの距離を保ちながら配置されていた。そして、そのどれもに言えることは……。
「何というか……生命力に溢れてる?」
今にも襲いかかって来そうな狼。愛くるしい表情のウサギに、毛糸で戯れている様子の猫。全体的に、大きさは小さな動物のものが多かったが、それらは今にも動き出しそうな状態だ。俺以外の祭りの参加者達は、皆、それらの雪像に手を伸ばしたりしている。
「カイ、この雪像達には、目の部分に魔石が埋め込まれているのが分かりますか?」
「そういえば、何か、赤かったり緑だったりな石が埋め込まれてるっぽいね」
あのドラゴンにはなかった目の石。何となく、それは登録した作品のコンセプトか何かかな、くらいにしか考えていなかったものの、どうも、それは重要なことらしい。リュシリーの顔がいつも以上に真剣に見えた俺は、リュシリーの視線の先にある、ウサギの赤い目をじっと観察してみる。
「これらの魔石に魔力を流してみてください」
「えっ? 触って良いのか?」
「魔石の部分だけですよ?」
そんな注意を受けながら、俺は疑うこともなく魔石に魔力を流してみる。すると……。
コテン、と、雪でできたウサギが首をかしげて、耳をクシクシとすき始める。
「わっ、わぁっ」
「このように、ここにある雪像は動きます」
そう言いながら、リュシリーは近くにあった狼の黄金の目に魔力を流して、狼が目を見開いて立ち止まり、伏せて尻尾を振る様子を見せてくれる。
「……雪祭り、すっげぇ……」
もう、俺は雪祭りに来てから、『すっげぇ』以外の言葉が死滅してしまったような気がする。それだけ、雪祭りの様子は素晴らしいものではあるのだが、ボキャブラリーの少なさが身に染みる。
「これらの雪像を作るのには、魔力を多く消費しますので、あまり大きな作品は作られません」
「そっか、だから、小さい生き物が多かったんだな」
そうして感心しながら、俺は猫の青い目のやつや、黄色の目のやつにも魔力を流して、毛糸で戯れるその様子を観察する。
(そうか、他の人達も、これを知ってるから手を伸ばしてたんだな)
あまりの躍動感に手を伸ばしているだけだと思っていたが、こんな仕組みを知ってしまえば、何度だって動かしたくなる。
(……ライナードと、一緒に来たかった……)
ただ、残念なのは、今、俺の隣に居るのがライナードではないこと。もちろん、リュシリーが悪いわけではないし、ライナードが仕事で行けなくなったということだって知っている。それでも、やはり、ライナードと来たかったという思いを捨てきれない。
そうして、ぼんやりと赤い瞳を持つ小さなドラゴンに手を伸ばしかけたところで……。
「っ、カイ! 伏せて!」
「えっ?」
リュシリーの叫び声に、俺はそのまま、顔面を雪に埋もれさせる。
「冷たっ、リュシリー!? 何ご、と……?」
何があったのかと振り向けば、ちょうど、リュシリーの目の前で何かの魔法が爆発を起こす。もちろん、それはリュシリーの張った結界で防がれたものの、異常事態であることは明らかだった。
「馬車まで走りますよ!」
「うんっ!」
良く見れば、俺の護衛らしき人達が黒ずくめの男達と交戦中だ。和やかだった雪祭りの会場は、あっという間にパニックに陥り……腕に覚えのある魔族が、どんどん黒ずくめ達に攻撃を加えていく。
(あれ? 案外大丈夫そう?)
確実に、こちらの方が有利な状況を見てとって、俺は少し落ち着きを取り戻しながらも、リュシリーに必死に着いていく。
ただ……きっと、その思いが、油断に繋がった。
「わぷっ」
突如として、立ち止まったリュシリーに、俺は勢いのまま鼻をぶつける。
「いっつぅ……リュシリー?」
何でいきなり止まったのだろうかと、リュシリーに声をかけると……リュシリーは、声もなく、その場に倒れる。
「っ、リュシリー!?」
「連れていけ」
「はっ」
そして、どこからか出てきた黒ずくめ達に囲まれた俺は、バチッという衝撃とともに、意識を失うのだった。
リュシリーの手引きによって、雪祭りに向かった俺は、馬車から降りてすぐ、二日前に来た時以上の雪像の量に圧倒される。
「すっげぇ。雪像で、ドラゴンまで作れるんだ……」
巨大雪だるまを一つ、背中に乗せた雄々しいドラゴンの雪像を見て、俺は感動のあまり、ため息を吐く。
「カイ、はしゃぐのは構いませんが、はぐれないようにしてくださいね?」
「う、うん。分かってる」
俺の隣には、リュシリーがしずしずと歩いて着いてきている。他にも、二人ほど近くに護衛の男が居るのと、俺が分からないところにも何人か配置されているらしい。俺の名前は、また『カイ』にしてもらっている。
(こんなにすごい雪像が見られるなんて、やっぱり、来て良かったっ)
今の俺は、ニット帽を深く被り、黒いマフラーと男物のベージュのコートを身に纏い、黒いブーツで雪を踏みしめながら歩いている。リュシリーが言っていた変装というのは、男装のことだったらしく、俺は、久々の男服でちょっと嬉しかったりする。
「なぁ、リュシリー、ここが雪祭りの会場になるのか?」
「いいえ、ここはただ、個人の趣味で作られた雪像があるだけの場所です。会場はあちらの方になります」
雪像はたくさんあったものの、ここがライナードに教わった場所ではないような気がして問いかけてみれば、やはり、ここは会場ではなかったらしい。
しかし、それより気になるのは……。
「えっ? 趣味?」
「はい、雪祭りには、正式に登録した雪像と、個人の趣味で作成された雪像とが多く並びます。登録された作品はもちろん、審査されて表彰を受けることもありますが、趣味で作成されたものはその限りではありません。それに、登録作品は会場にしか設置することはできませんので」
「……あの、ドラゴンが、趣味……」
「はい、そのようです」
五メートル近くあるドラゴンの雪像が趣味だと言われて、俺は密かにショックを受ける。
(えっ……審査があるなら、あれって、上位に入っちゃったりするやつじゃないのか!?)
そう思いながらも、会場に向かった俺は、ドラゴンが趣味だということを実感することとなる。
「お、ぉ……」
俺は、そこにあった雪像の数々に戦慄し、言葉を失う。元は、だだっ広い広場だったであろうその場所には、多くの雪像が、それなりの距離を保ちながら配置されていた。そして、そのどれもに言えることは……。
「何というか……生命力に溢れてる?」
今にも襲いかかって来そうな狼。愛くるしい表情のウサギに、毛糸で戯れている様子の猫。全体的に、大きさは小さな動物のものが多かったが、それらは今にも動き出しそうな状態だ。俺以外の祭りの参加者達は、皆、それらの雪像に手を伸ばしたりしている。
「カイ、この雪像達には、目の部分に魔石が埋め込まれているのが分かりますか?」
「そういえば、何か、赤かったり緑だったりな石が埋め込まれてるっぽいね」
あのドラゴンにはなかった目の石。何となく、それは登録した作品のコンセプトか何かかな、くらいにしか考えていなかったものの、どうも、それは重要なことらしい。リュシリーの顔がいつも以上に真剣に見えた俺は、リュシリーの視線の先にある、ウサギの赤い目をじっと観察してみる。
「これらの魔石に魔力を流してみてください」
「えっ? 触って良いのか?」
「魔石の部分だけですよ?」
そんな注意を受けながら、俺は疑うこともなく魔石に魔力を流してみる。すると……。
コテン、と、雪でできたウサギが首をかしげて、耳をクシクシとすき始める。
「わっ、わぁっ」
「このように、ここにある雪像は動きます」
そう言いながら、リュシリーは近くにあった狼の黄金の目に魔力を流して、狼が目を見開いて立ち止まり、伏せて尻尾を振る様子を見せてくれる。
「……雪祭り、すっげぇ……」
もう、俺は雪祭りに来てから、『すっげぇ』以外の言葉が死滅してしまったような気がする。それだけ、雪祭りの様子は素晴らしいものではあるのだが、ボキャブラリーの少なさが身に染みる。
「これらの雪像を作るのには、魔力を多く消費しますので、あまり大きな作品は作られません」
「そっか、だから、小さい生き物が多かったんだな」
そうして感心しながら、俺は猫の青い目のやつや、黄色の目のやつにも魔力を流して、毛糸で戯れるその様子を観察する。
(そうか、他の人達も、これを知ってるから手を伸ばしてたんだな)
あまりの躍動感に手を伸ばしているだけだと思っていたが、こんな仕組みを知ってしまえば、何度だって動かしたくなる。
(……ライナードと、一緒に来たかった……)
ただ、残念なのは、今、俺の隣に居るのがライナードではないこと。もちろん、リュシリーが悪いわけではないし、ライナードが仕事で行けなくなったということだって知っている。それでも、やはり、ライナードと来たかったという思いを捨てきれない。
そうして、ぼんやりと赤い瞳を持つ小さなドラゴンに手を伸ばしかけたところで……。
「っ、カイ! 伏せて!」
「えっ?」
リュシリーの叫び声に、俺はそのまま、顔面を雪に埋もれさせる。
「冷たっ、リュシリー!? 何ご、と……?」
何があったのかと振り向けば、ちょうど、リュシリーの目の前で何かの魔法が爆発を起こす。もちろん、それはリュシリーの張った結界で防がれたものの、異常事態であることは明らかだった。
「馬車まで走りますよ!」
「うんっ!」
良く見れば、俺の護衛らしき人達が黒ずくめの男達と交戦中だ。和やかだった雪祭りの会場は、あっという間にパニックに陥り……腕に覚えのある魔族が、どんどん黒ずくめ達に攻撃を加えていく。
(あれ? 案外大丈夫そう?)
確実に、こちらの方が有利な状況を見てとって、俺は少し落ち着きを取り戻しながらも、リュシリーに必死に着いていく。
ただ……きっと、その思いが、油断に繋がった。
「わぷっ」
突如として、立ち止まったリュシリーに、俺は勢いのまま鼻をぶつける。
「いっつぅ……リュシリー?」
何でいきなり止まったのだろうかと、リュシリーに声をかけると……リュシリーは、声もなく、その場に倒れる。
「っ、リュシリー!?」
「連れていけ」
「はっ」
そして、どこからか出てきた黒ずくめ達に囲まれた俺は、バチッという衝撃とともに、意識を失うのだった。
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