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第三章 少女期 女神編
第三百七十五話 上書き(イルト視点)
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ユミリアが奪われて、気色の悪いことを言われ、嫌がっている様子を見て、僕の中の何かがブチッと切れた。
後から思えば、イリアスの記憶があるからこそ、この神力に満ちた神界で、神力を操れる存在へと進化できたのだろう。それとともに、僕の動きを阻害しようとする呪いも、膨大な神力の力業で引きちぎり、投げ捨てる。その過程で、ついでとばかりに、変態の両腕をもいだのは、もちろん、これ以上ユミリアに触れられるのが我慢ならなかったから、という理由だ。
(潰す)
グチャリとその両腕を潰した僕は、まだユミリアに固執しようとするやつの眼前に、一瞬で飛び立ち、神力を伴った重力魔法で、文字通り潰す。
(ユミリアに触れた体を潰す。ユミリアを見た目を抉る。ユミリアを嗅いだ鼻を削ぎ落とす。ユミリアに囁いた舌を炙り落とす)
邪神ムエリス。やつの全てが気に入らない僕は、そんな膨大な殺意を浴びせながら、やつの魂を砕いていく。こうして砕けば、やつは、僕が想像した通りの拷問をその魂に受けると知っているから。どんなに転生しても、その罪を償うために、何度も、何度も、その拷問が繰り返されることを知っているから。だから、容赦なく、殺意を込めて、砕いていく。
憎しみのあまり、頭がどうにかなりそうな感覚を抱えたまま、砕いて、砕いて、砕いていく。
「イルト様……」
だから、その声が聞こえたのは、偶然だったかもしれない。
「っ……」
急に視界が開けて、すぐ側で、セイ達が神に戻っている様子を確認する。そして……ユミリアが、心細そうな顔を、泣き出しそうな顔をしているという事実に気づいた途端、僕は、目の前の小者をセイ達に任せて放り出す。
「ユミリア」
偶然だろうがなんだろうが、ユミリアの声が聞こえた。その事実は変わらないし、ユミリアが辛そうであれば、何を置いても側に居たい。
すぐに、レインボードラゴンの背に飛び移って、ユミリアを抱き締めればユミリアは自分の耳に、何度も浄化をかけていた。しかも、それだけでは足りないのか、粗い生地のタオルでゴシゴシとこすっている。
「大丈夫。もう、大丈夫だよ」
その様子だけで、ユミリアが何をされたのか理解した僕は耳をこする手に自分の手を重ね、そっと、耳から離させる。
「イルト、様……」
「ユミリアは、全部、僕のもの。この、可愛い耳だって、僕のものだよ」
準備もなしに、魂を砕くなど、どうやら温かったと。先に、顔が陥没するまで殴り続ければ良かったと思うものの、それは、今は後回しだ。
僕は、そっと、ユミリアの耳を食んで、治癒魔法を行使する。僕の神としての性質上、治癒はあまり得意ではないものの、引っ掻いて赤くなった程度であれば、そう時間もかけずに治せる。
不安そうなユミリアに、一つ一つ、何をされたのかを説明してもらって、全てを上書きしていく。
「ユミリア。愛してる。もう、二度と手放したりしない」
「あ、うぅ……」
上書きが全て終わる頃には、ユミリアは真っ赤になってぐったりとしていたが、まだまだユミリア不足が深刻だ。力も取り戻したことだし、早急に、マリフィーを捕まえて、目的を達成してしまおうと、虫の息となったムエリスを頑丈に拘束して、レインボードラゴン達とともに、また飛び立った。
後から思えば、イリアスの記憶があるからこそ、この神力に満ちた神界で、神力を操れる存在へと進化できたのだろう。それとともに、僕の動きを阻害しようとする呪いも、膨大な神力の力業で引きちぎり、投げ捨てる。その過程で、ついでとばかりに、変態の両腕をもいだのは、もちろん、これ以上ユミリアに触れられるのが我慢ならなかったから、という理由だ。
(潰す)
グチャリとその両腕を潰した僕は、まだユミリアに固執しようとするやつの眼前に、一瞬で飛び立ち、神力を伴った重力魔法で、文字通り潰す。
(ユミリアに触れた体を潰す。ユミリアを見た目を抉る。ユミリアを嗅いだ鼻を削ぎ落とす。ユミリアに囁いた舌を炙り落とす)
邪神ムエリス。やつの全てが気に入らない僕は、そんな膨大な殺意を浴びせながら、やつの魂を砕いていく。こうして砕けば、やつは、僕が想像した通りの拷問をその魂に受けると知っているから。どんなに転生しても、その罪を償うために、何度も、何度も、その拷問が繰り返されることを知っているから。だから、容赦なく、殺意を込めて、砕いていく。
憎しみのあまり、頭がどうにかなりそうな感覚を抱えたまま、砕いて、砕いて、砕いていく。
「イルト様……」
だから、その声が聞こえたのは、偶然だったかもしれない。
「っ……」
急に視界が開けて、すぐ側で、セイ達が神に戻っている様子を確認する。そして……ユミリアが、心細そうな顔を、泣き出しそうな顔をしているという事実に気づいた途端、僕は、目の前の小者をセイ達に任せて放り出す。
「ユミリア」
偶然だろうがなんだろうが、ユミリアの声が聞こえた。その事実は変わらないし、ユミリアが辛そうであれば、何を置いても側に居たい。
すぐに、レインボードラゴンの背に飛び移って、ユミリアを抱き締めればユミリアは自分の耳に、何度も浄化をかけていた。しかも、それだけでは足りないのか、粗い生地のタオルでゴシゴシとこすっている。
「大丈夫。もう、大丈夫だよ」
その様子だけで、ユミリアが何をされたのか理解した僕は耳をこする手に自分の手を重ね、そっと、耳から離させる。
「イルト、様……」
「ユミリアは、全部、僕のもの。この、可愛い耳だって、僕のものだよ」
準備もなしに、魂を砕くなど、どうやら温かったと。先に、顔が陥没するまで殴り続ければ良かったと思うものの、それは、今は後回しだ。
僕は、そっと、ユミリアの耳を食んで、治癒魔法を行使する。僕の神としての性質上、治癒はあまり得意ではないものの、引っ掻いて赤くなった程度であれば、そう時間もかけずに治せる。
不安そうなユミリアに、一つ一つ、何をされたのかを説明してもらって、全てを上書きしていく。
「ユミリア。愛してる。もう、二度と手放したりしない」
「あ、うぅ……」
上書きが全て終わる頃には、ユミリアは真っ赤になってぐったりとしていたが、まだまだユミリア不足が深刻だ。力も取り戻したことだし、早急に、マリフィーを捕まえて、目的を達成してしまおうと、虫の息となったムエリスを頑丈に拘束して、レインボードラゴン達とともに、また飛び立った。
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