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第三章 少女期 女神編
第三百三十五話 基本の追撃
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人型の黒いシミは、明らかに、あの影の成れの果て。その証拠に、そのシミは、小さくではあるものの、モゾモゾと動く。
私は、無言で、自分と、仲間達全員に闇魔法による光の防御を施して……。
「天誅」
ピンポイントで、そのシミへ光を落とす。そして……。
「天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅!」
二回程度では、どうやらまだ動けたようだったため、とりあえず十回くらい『天誅』と唱えてみる。
「ユ、ユミリア様……?」
光が消え、元の明度を取り戻した空間で闇魔法を解除すれば、ローランが背後からおそるおそる声をかけてくる。
黒いシミは……。
「うーん、灰色……もうちょっと漂白が必要?」
「お嬢様、次は洗剤をお試しになりますか?」
「みゅっ! 名案っ!」
「いやっ、迷案だろっ!? もう、うっすらと、かろうじて分かる程度だし、漂白って、洗剤って、こいつ、一応敵だぞ!?」
「みゅっ!?」
「言われてみれば、そうでしたね」
ついつい白くすることに力を注いでいた私は、ローランの突っ込みで、これが敵だということを思い出す。隣でしれっと発言するメリーは、多分、分かっていて私に合わせてくれていたのだろう。
「というか……もう、死んでるんじゃねぇのか?」
地面そのものが真っ白ではないものの、薄い灰色という状態で、シミは、ほぼそれに同化しかけている。しかも、ピクリとも動く様子がないので、確認しなければ本当にローランの言葉通り、死んでいると思ったことだろう。
「うーん、まだ魔力を感じるから、死んではいないと思う……でも、これ以上どうしたものか……」
後十回くらい『天誅』を発動すれば良いだろうかと思わなくもないが、できることなら情報を引き出したい。
「いやいやいや、これで生きてる? そして、情報も引き出したい? ……できんのか、これ?」
「うっ」
そう問いかけるローランの言い分も分からなくはない。私も、自分でやりすぎたとは思っている。しかし……。
「お嬢様、きっと、漂白剤を使用すれば、もう少しくっきりと形を確認できて、コレがまだ生きていることもはっきりするかと思われます」
「みゅっ、そうだよねっ!!」
そんなメリーの進言に従い、私は、漂白剤のボトルとデッキブラシを取り出す。
「……新手の拷問か……」
ポツリと呟くローランの言葉は、私の中に入ってくることなく、とりあえず、漂白剤をまいてしまうことにする。こちらは、私が改良した漂白剤で、十秒待つだけで、ガッツリ漂白してくれる危険薬剤だ。影が逃げないように結界で閉じ込めながら漂白剤をまいた私は、デッキブラシが入るだけの穴を結界に開けて……ガッとその中にデッキブラシを突っ込むメリーに目を見開く。
「掃除は、私の仕事ですので」
そう、いい笑顔で告げたメリーは、十秒が経過した瞬間、猛烈な勢いでデッキブラシを擦りつけ、狭い結界内で絶叫が響き渡るのだった。
私は、無言で、自分と、仲間達全員に闇魔法による光の防御を施して……。
「天誅」
ピンポイントで、そのシミへ光を落とす。そして……。
「天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅、天誅!」
二回程度では、どうやらまだ動けたようだったため、とりあえず十回くらい『天誅』と唱えてみる。
「ユ、ユミリア様……?」
光が消え、元の明度を取り戻した空間で闇魔法を解除すれば、ローランが背後からおそるおそる声をかけてくる。
黒いシミは……。
「うーん、灰色……もうちょっと漂白が必要?」
「お嬢様、次は洗剤をお試しになりますか?」
「みゅっ! 名案っ!」
「いやっ、迷案だろっ!? もう、うっすらと、かろうじて分かる程度だし、漂白って、洗剤って、こいつ、一応敵だぞ!?」
「みゅっ!?」
「言われてみれば、そうでしたね」
ついつい白くすることに力を注いでいた私は、ローランの突っ込みで、これが敵だということを思い出す。隣でしれっと発言するメリーは、多分、分かっていて私に合わせてくれていたのだろう。
「というか……もう、死んでるんじゃねぇのか?」
地面そのものが真っ白ではないものの、薄い灰色という状態で、シミは、ほぼそれに同化しかけている。しかも、ピクリとも動く様子がないので、確認しなければ本当にローランの言葉通り、死んでいると思ったことだろう。
「うーん、まだ魔力を感じるから、死んではいないと思う……でも、これ以上どうしたものか……」
後十回くらい『天誅』を発動すれば良いだろうかと思わなくもないが、できることなら情報を引き出したい。
「いやいやいや、これで生きてる? そして、情報も引き出したい? ……できんのか、これ?」
「うっ」
そう問いかけるローランの言い分も分からなくはない。私も、自分でやりすぎたとは思っている。しかし……。
「お嬢様、きっと、漂白剤を使用すれば、もう少しくっきりと形を確認できて、コレがまだ生きていることもはっきりするかと思われます」
「みゅっ、そうだよねっ!!」
そんなメリーの進言に従い、私は、漂白剤のボトルとデッキブラシを取り出す。
「……新手の拷問か……」
ポツリと呟くローランの言葉は、私の中に入ってくることなく、とりあえず、漂白剤をまいてしまうことにする。こちらは、私が改良した漂白剤で、十秒待つだけで、ガッツリ漂白してくれる危険薬剤だ。影が逃げないように結界で閉じ込めながら漂白剤をまいた私は、デッキブラシが入るだけの穴を結界に開けて……ガッとその中にデッキブラシを突っ込むメリーに目を見開く。
「掃除は、私の仕事ですので」
そう、いい笑顔で告げたメリーは、十秒が経過した瞬間、猛烈な勢いでデッキブラシを擦りつけ、狭い結界内で絶叫が響き渡るのだった。
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