335 / 412
第三章 少女期 女神編
第三百三十四話 天誅!
しおりを挟む
とりあえず、マルディックとスーちゃんの二人に任せておけば、侵食を遅らせることは可能だとのことだったため、私は、周囲の警戒へと移る。もちろん、今までも警戒していなかったわけではないが、本格的な警戒とはやはり違う。
「まだ、決着がつかない、か……」
ローランとメリー、二人がかりで影と対峙していたが、どうやら、影を倒すには至っていないらしい。と、いうより、影の方は余裕があるのか、ニタニタとした笑みを浮かべたままである。
「……」
魂に関しての情報は乏しく、今動いても何もできない。そして、敵は見渡す限り、影一匹のみ。
私は、無言で自分とセイやマルディック達を囲む光の結界を展開して未だに戦うローラン達を見る。ローランが扱うのは、いつぞやに渡したレーザーブレード。そして、メリーが扱うのは、茨の鞭。絶妙なコンビネーションで影を追い詰めようとする二人の姿に、私は、少しだけ、加勢することを決める。
「えーっと……天誅!」
天光シリーズ、ネタ攻撃の一つ、『天誅』。罪を犯した数だけ、対象とした相手に激しい光が降り注ぎ、目くらましを行うという技。強そうな名前のわりに、ただの目くらましのみな攻撃。とりあえず、こちらにまで強い光が来ないように、結界の上から闇魔法でガードした上での攻撃。しかし……どうやら、私は選択をミスしたらしい。
「ギャアァァァァァァアッ!!」
「きゃあぁぁぁあっ!!」
「うおぉぉぉぉおっ!!」
……悲鳴は三つ。影のものと思われるものが一つに、とても聞き覚えのある男女の声も。
「あ……不味い……」
天誅を下した瞬間、闇魔法で守っていた前面からはみ出た部分から、全てが真っ白になる強い閃光が見えた。そして、恐らくは、ローランとメリーは、それを直視して……完全に、目くらましを受けた状態なのだろう。
光が収まったのを確認して、すぐに闇魔法を解いて、倒れるローランとメリーに駆け寄り、回復用のお薬を飲ませ、ついでに気付け薬も飲ませる。
「うぶっ」
「ぐぁっ」
動転して、味が最悪なものを選択して飲ませてしまったことに気づいたものの、とりあえず、薬の不味さに顔を青くしている以外は問題なさそうな二人の姿に、少しだけホッとした。
「お、じょ……さ、ま……く、くち、が……」
「む、り……しぬ……」
「みゅっ!? え、えっと……桃ジュース、飲む?」
そうして、コップに一杯のジュースを差し出せば、二人とも奪うようにそれを取り、ゴクゴクと飲み干す。
「う、うぅ……」
「ユミリア、様……もう、二度と、あの薬は、飲みたくないです……」
「ご、ごめんなさい」
慌てていたとはいえ、やはり、あの薬は不味かっただろう。今度、ストレージの整理をしなければと思いながら、そういえば、あの影はどうなったのかと辺りを見渡す。
「……みゅ?」
あの影が居たであろう位置。そこには、ただただ黒い人型のシミが、地面に落ちているだけだった。
「まだ、決着がつかない、か……」
ローランとメリー、二人がかりで影と対峙していたが、どうやら、影を倒すには至っていないらしい。と、いうより、影の方は余裕があるのか、ニタニタとした笑みを浮かべたままである。
「……」
魂に関しての情報は乏しく、今動いても何もできない。そして、敵は見渡す限り、影一匹のみ。
私は、無言で自分とセイやマルディック達を囲む光の結界を展開して未だに戦うローラン達を見る。ローランが扱うのは、いつぞやに渡したレーザーブレード。そして、メリーが扱うのは、茨の鞭。絶妙なコンビネーションで影を追い詰めようとする二人の姿に、私は、少しだけ、加勢することを決める。
「えーっと……天誅!」
天光シリーズ、ネタ攻撃の一つ、『天誅』。罪を犯した数だけ、対象とした相手に激しい光が降り注ぎ、目くらましを行うという技。強そうな名前のわりに、ただの目くらましのみな攻撃。とりあえず、こちらにまで強い光が来ないように、結界の上から闇魔法でガードした上での攻撃。しかし……どうやら、私は選択をミスしたらしい。
「ギャアァァァァァァアッ!!」
「きゃあぁぁぁあっ!!」
「うおぉぉぉぉおっ!!」
……悲鳴は三つ。影のものと思われるものが一つに、とても聞き覚えのある男女の声も。
「あ……不味い……」
天誅を下した瞬間、闇魔法で守っていた前面からはみ出た部分から、全てが真っ白になる強い閃光が見えた。そして、恐らくは、ローランとメリーは、それを直視して……完全に、目くらましを受けた状態なのだろう。
光が収まったのを確認して、すぐに闇魔法を解いて、倒れるローランとメリーに駆け寄り、回復用のお薬を飲ませ、ついでに気付け薬も飲ませる。
「うぶっ」
「ぐぁっ」
動転して、味が最悪なものを選択して飲ませてしまったことに気づいたものの、とりあえず、薬の不味さに顔を青くしている以外は問題なさそうな二人の姿に、少しだけホッとした。
「お、じょ……さ、ま……く、くち、が……」
「む、り……しぬ……」
「みゅっ!? え、えっと……桃ジュース、飲む?」
そうして、コップに一杯のジュースを差し出せば、二人とも奪うようにそれを取り、ゴクゴクと飲み干す。
「う、うぅ……」
「ユミリア、様……もう、二度と、あの薬は、飲みたくないです……」
「ご、ごめんなさい」
慌てていたとはいえ、やはり、あの薬は不味かっただろう。今度、ストレージの整理をしなければと思いながら、そういえば、あの影はどうなったのかと辺りを見渡す。
「……みゅ?」
あの影が居たであろう位置。そこには、ただただ黒い人型のシミが、地面に落ちているだけだった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
5,540
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる