私、異世界で保護されました! 〜やりたいことのために猪突猛進です〜

星宮歌

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第一章 保護されました

第二話 新たな居場所

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「こ、ここが……あたらしい、ばしょ……」


 両親が亡くなってからのことは、正直、あまり記憶にない。
 ただ、前世の私が『今がチャンス!』と言ったような気がした時、本来は行くことのない応接室へと足を踏み入れていて、その後、何故か統一感のある服装の男性達に保護されていた。


「ジルベルトさんは、だいじょうぶって、ゆった、けど……」


 男性達は、騎士という役職の人達だったらしく、あの場所に居たのは、使用人達の不正を暴くためで、その過程で私の虐待が発覚した、ということを伝えられた。
 そんなわけで、虐待されていた子どもとして保護された私だったが、いつの間にかあの応接室に居た別の貴族の夫婦に使用人として引き取られるという話になっていたらしく、今、門の前で戦々恐々としている、というわけだ。


「だ、だいじょうぶ。わたし、は、がんばれるっ」


 もしかしたら、前よりももっと悪い環境かもしれない。その可能性が頭に過ぎらなかったわけではない。それでも、今の私は、手厚く治療をしてもらって、ご飯も少しだけ食べられるようになって、お風呂に入れてもらえたり、清潔な服を手配してもらえたりと、至れり尽くせりの状態なのだ。ここまでしてもらったからには、恩を返さなければならない。


「し、しちゅれいしますっ」


 門番さんに中へ入るよう促され、噛みながらも恐る恐る屋敷へと足を踏み入れる。


 本当は、怖い。


 その恐怖がどういうものなのか、私自身も上手くは説明できない。しかし、それでも、私には進む以外の道はない。


『本当に、さっさと死ねば良かったのに』


 そんな母親からの言葉がこびりついて離れない。


 大丈夫、大丈夫……私は、私は、まだ、頑張れる、から……。


 そう、思うのに、『なぜ?』という疑問は常に浮かんでいた。


 なぜ、そんなに頑張るの?
 なぜ、そこまで傷ついているのに足掻こうとするの?
 母親も父親も、誰も愛してくれないのに?
 生きるより、死ぬ方が幸せじゃないの?


 そんな疑問を必死に振り払って生きてきたものの、恐怖が簡単に拭えるわけではない。ツラくて苦しい記憶が、簡単に消えるわけではない。


 また、虐められたらどうしよう?
 また、イラナイと言われたらどうしよう?
 また、『死ねば良かったのに』と言われたら……私は、まだ私でいられる……?


 そう思いながら、使用人として引き取ってくれたという夫婦の前で挨拶をしようとした私は、少しだけ言葉を発した後、そのまま意識を失ったのだった。
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