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第四章 恋の身支度
83.偽聖女、芋掘り準備をする
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「準備はできたかな?」
「バッチリさぁー!」
汚れても良い服に着替えて、庭にあるじゃがいも畑に集まった。
今日は待ちに待ったじゃがいもの収穫日だ。
天気も晴天で今日ほど良い日はないだろう。
天気が悪い日だとじゃがいもが腐りやすいらしい。
そして、収穫に合わせて野菜屋の女性が手伝いに来てくれた。
彼女がいれば無知な私でも安心して収穫ができる。
「どっちが大きいやつを取れるか勝負だな!」
「兄ちゃんには負けないよ」
「オイラも勝負する!」
「キキも!」
子ども達は誰が一番大きなじゃがいもを収穫できるか競い合うらしい。
最近クロはアルヴィンのことをアルヴィン兄ちゃんと呼ばなくなった。
どこか二人の関係が変わったのだろう。
「レナードさんも参加しますか?」
「いえ、私はあいつが悪いことしないか見張っておきます」
レナードは振り返るとやつを睨んでいた。
今日もバッカアは孤児院の外壁から中を見ていた。
側から見たら子どもを誘拐するおじさんのようだ。
「少し言ってきますね」
私はバッカアの元へ向かう。
こっちに来るとは思わず、彼はオドオドとしていた。
「よっ、マミイモ偶然だな」
どこをどうやったら偶然になるのだろうか。
さっきからずっと動かずに覗いていた。
それに私のことをマミイモと呼ぶのは定着したようだ。
見た目が良いから余計に残念過ぎるイケメン騎士に感じる。
「こんなところにいたら邪魔ですよ」
「おっ……俺は通りすがりだ! 騎士は街の安全を見張るのも仕事だ」
「そんな仕事はありませんよ」
「それに見張るじゃなくても見守るじゃなくて?」
「うっ……うるせぇ!」
私の後ろから近づいてきたレナードの一言に、バッカアは戸惑っていた。
必死に何か言い訳を考えているのだろう。
「ここは私が帰します」
レナードがバッカアに詰め寄ると、助けて欲しそうに私を見ていた。
本当にこの人は何をしにきたのだろうか。
「はぁー、バッカアさんもじゃがいも掘りしますか?」
「はぁん!? なぜ俺がそんな庶民の――」
「マミ先生の優しさに気づけない男は今すぐ帰れ!」
レナードの周囲の空気が冷たくなってきた。
きっと感情と魔力が同調しているのだろう。
魔法について勉強している時に、魔力が感情によって勝手に出てくる時があると言っていた。
特に怒った時にそれは顕著に現れる。
「ぜひぃ、やらせてください」
あまりにもレナードの迫力にバッカアも参加することになった。
氷漬けになってからレナードの魔法を恐れている。
無理やりな気もするが、物陰から見られるよりは安全だろう。
私はバッカアと共に戻った。
「なぁ、なぜバッカアがいる!」
「マミ先生はオラの後ろに隠れて!」
案の定アルヴィンとクロは警戒を強める。
「俺だって芋掘りなんて――」
「凍らせるぞ」
「やりたかったんだよ!」
いろんな意味でレナードの圧勝だ。
「その服装だと動きにくいので、脱いだ方がいいですね?」
バッカアは簡易的な鎧を着ている。
鎧を着ているってことは仕事を途中で抜け出してきたのだろう。
「なぁ、お前こんなところで――」
バッカアはなぜか顔を真っ赤に染めていた。
何か勘違いさせることでも言ったのだろうか。
「やるなら脱ぎなさいよ」
レナードがバッカアの鎧に手をかけると、手を振り払った。
「お前ら俺に何するつもりだ!」
「何って脱がせる――」
「俺の初めては婚約してからだと決まってるんだ!」
そう言ってバッカアは走ってどこかへ行ってしまった。
バッカアは思ったよりも純粋な男性のようだ。
脱ぐって言っても鎧なのに、何か勘違いしたのだろう。
「ねぇ、兄ちゃん」
「なんだ?」
「俺の初めてってなに? 兄ちゃんはもう始めたの?」
クロに質問責めされてアルヴィンはタジタジとしていた。
「バッチリさぁー!」
汚れても良い服に着替えて、庭にあるじゃがいも畑に集まった。
今日は待ちに待ったじゃがいもの収穫日だ。
天気も晴天で今日ほど良い日はないだろう。
天気が悪い日だとじゃがいもが腐りやすいらしい。
そして、収穫に合わせて野菜屋の女性が手伝いに来てくれた。
彼女がいれば無知な私でも安心して収穫ができる。
「どっちが大きいやつを取れるか勝負だな!」
「兄ちゃんには負けないよ」
「オイラも勝負する!」
「キキも!」
子ども達は誰が一番大きなじゃがいもを収穫できるか競い合うらしい。
最近クロはアルヴィンのことをアルヴィン兄ちゃんと呼ばなくなった。
どこか二人の関係が変わったのだろう。
「レナードさんも参加しますか?」
「いえ、私はあいつが悪いことしないか見張っておきます」
レナードは振り返るとやつを睨んでいた。
今日もバッカアは孤児院の外壁から中を見ていた。
側から見たら子どもを誘拐するおじさんのようだ。
「少し言ってきますね」
私はバッカアの元へ向かう。
こっちに来るとは思わず、彼はオドオドとしていた。
「よっ、マミイモ偶然だな」
どこをどうやったら偶然になるのだろうか。
さっきからずっと動かずに覗いていた。
それに私のことをマミイモと呼ぶのは定着したようだ。
見た目が良いから余計に残念過ぎるイケメン騎士に感じる。
「こんなところにいたら邪魔ですよ」
「おっ……俺は通りすがりだ! 騎士は街の安全を見張るのも仕事だ」
「そんな仕事はありませんよ」
「それに見張るじゃなくても見守るじゃなくて?」
「うっ……うるせぇ!」
私の後ろから近づいてきたレナードの一言に、バッカアは戸惑っていた。
必死に何か言い訳を考えているのだろう。
「ここは私が帰します」
レナードがバッカアに詰め寄ると、助けて欲しそうに私を見ていた。
本当にこの人は何をしにきたのだろうか。
「はぁー、バッカアさんもじゃがいも掘りしますか?」
「はぁん!? なぜ俺がそんな庶民の――」
「マミ先生の優しさに気づけない男は今すぐ帰れ!」
レナードの周囲の空気が冷たくなってきた。
きっと感情と魔力が同調しているのだろう。
魔法について勉強している時に、魔力が感情によって勝手に出てくる時があると言っていた。
特に怒った時にそれは顕著に現れる。
「ぜひぃ、やらせてください」
あまりにもレナードの迫力にバッカアも参加することになった。
氷漬けになってからレナードの魔法を恐れている。
無理やりな気もするが、物陰から見られるよりは安全だろう。
私はバッカアと共に戻った。
「なぁ、なぜバッカアがいる!」
「マミ先生はオラの後ろに隠れて!」
案の定アルヴィンとクロは警戒を強める。
「俺だって芋掘りなんて――」
「凍らせるぞ」
「やりたかったんだよ!」
いろんな意味でレナードの圧勝だ。
「その服装だと動きにくいので、脱いだ方がいいですね?」
バッカアは簡易的な鎧を着ている。
鎧を着ているってことは仕事を途中で抜け出してきたのだろう。
「なぁ、お前こんなところで――」
バッカアはなぜか顔を真っ赤に染めていた。
何か勘違いさせることでも言ったのだろうか。
「やるなら脱ぎなさいよ」
レナードがバッカアの鎧に手をかけると、手を振り払った。
「お前ら俺に何するつもりだ!」
「何って脱がせる――」
「俺の初めては婚約してからだと決まってるんだ!」
そう言ってバッカアは走ってどこかへ行ってしまった。
バッカアは思ったよりも純粋な男性のようだ。
脱ぐって言っても鎧なのに、何か勘違いしたのだろう。
「ねぇ、兄ちゃん」
「なんだ?」
「俺の初めてってなに? 兄ちゃんはもう始めたの?」
クロに質問責めされてアルヴィンはタジタジとしていた。
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