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セオドアの負傷
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今日はアクアリア王国とテラフォーラ帝国の間にある大森林での定期巡回だ。第二騎士団が演習を兼ねて参加するこの討伐は、エリスとカルナが何者かに襲われ、レオたちに助けられた縁がある。
今回はセオドア団長が指揮を執り、レオは留守を預かるそうだ。20名が参加することになったこの演習に、カルナも一人前の薬師として初めて帯同することになった。ヘレーネさんの都合がつかずフローラは食堂の女性陣に預けてきたが、みんなに大喜びされたので問題ないだろう。
後方の医療支援として治癒士や国境騎士団の医療班と共に参加するので危険はない。「カルナも一度、討伐にも参加してみるか?」という団長のひと言で参加が決まった。
大森林の中の開けた場所を拠点とし、国境警備隊の数名と治癒士、第二騎士団の医療班が待機する。各討伐隊が出発して数十分も経つと、遠くの方で動物の雄叫びが聞こえるようになった。魔物の断末魔なのかもしれない。ふと思うことがあり、カルナは居残り組に尋ねてみた。
「魔物は動物と何が違うのでしょうか?」
「魔力を持った動物が魔物だよ。一般的に動物と呼ばれている種族よりも強く、凶暴だとされている。人間との共存が難しい存在だから、定期的に討伐する必要があるんだ」
「魔力……」
アクアリア王国では魔力の話が出ることがほとんどなかった。唯一、聖魔法を保有する司祭や聖女が重宝されるくらいで、そもそも魔力を保有しているか耳にすることがない。
テラフォーラ帝国では騎士団に身を寄せていることもあり、魔力を使っている様子を目にすることが多くなった。治癒士という職業が確立されているのをはじめ、騎士は武器に魔力を流して強化している。魔導士として研究や防衛、生活道具の作成など、あらゆる分野で活躍している者たちもいて、魔力が様々な恩恵をもたらすことをカルナは知った。
(フローラの魔力が光系統でないと良いんだけど……。何があっても聖女にはさせない)
魔力や魔物について話していたところに、慌てた様子で騎士が駆け込んできた。
「セオドア団長が負傷された! すぐに搬送されてくるから準備してくれ!」
ティモシーに背負われたセオドアは血の気が引き、力を失くした腕からはどす黒い血がしたたり落ちていた。新人騎士を庇った際に魔物に肘下を噛まれたそうだ。運悪く毒を持っていたらしい。
治癒士が治療を試みるが、一向に顔色が戻らない。
「毒が強すぎて聖力では治癒できません……!」
「そんな……」
周囲にいる騎士たちにも動揺が広がる。
「……ならば毒が回りきる前に腕を切断した方がいい」
「先生! ……なんとか、なんとかならないでしょうか? 片腕を失ったらセオドア様は騎士を引退せざるを得ません!」
侍従であるティモシーが医師に懇願する。セオドアは意識が混濁しつつあり、悪化していることは明白だ。国境騎士団の専属医師も苦渋の表情を浮かべているが、この場合の正しい処置であることは間違いない。
「待ってください! 私に解毒を試させてください!」
一筋でも希望があるのならとティモシーや医師が頷く。
「ティモシーさん! 毒が広がらないように、団長の腕のこの部分を紐で縛ってください! 助手の方、薬草を渡すのですり潰してください!!」
カルナはカバンから自分で育てた薬草を急いで取り出す。
解毒効果の高い数種類の薬草とこの地で摘んだ消炎作用のある野草を助手に渡し、自分は薬草のまま数種類を口に含んだ。
苦みとえぐみのある薬草を咀嚼しながら、セオドアの腕にある傷口を手際よく水で洗い流す。2つの牙の跡は思ったよりも小さな傷口だが、穴が深い。
咀嚼していた薬草をごくんと飲み込むと、勢いよく傷口に吸い付いた。
周囲が唖然とする中、何度も血を吸って吐くことを繰り返し、毒を吸い出す。カルナの唇がみるみる黒ずんでいく。
血を吸い出して吐きだすことを繰り返し、ようやくどす黒い血が赤くなった。助手がすり潰した薬草をガーゼに広げ患部を圧迫した。
(ケアード領にいた時、お姉さまはこうやって解毒していたわ)
辺境では荒々しい武人に囲まれ、騎士や傭兵の治療を行ってきた。
セオドア団長の様子を見ると汗が止まり、呼吸が安定したようだった。安堵してひと息ついたが、はっと顔を上げると騎士たちが驚いた顔でカルナを見つめていた。治癒士と医師が急いで状態を確認した。
「……安定している! 毒が抜けたようだ!」
「カルナ、よくやった! あなたの勇気に感謝する! さあ、急いで団長を運ぶぞ」
討伐はほぼ終わっていたこともあって撤収となり、第二騎士団がある本部へ戻ることになった。セオドアは貴族が負傷した際に使われる個室へ運ばれ、しばらく経過観察になった。おそらく今夜は高熱が出るだろう。
カルナは看病に名乗りを上げ、徹夜で解熱や消毒を行い、腕に後遺症が残らないようにとマッサージを何度も行った。ティモシーがフローラを迎えに行き、同じ部屋でフローラも一緒にいられるように整えてくれた。
明け方、カルナが目を開けるとソファにもたれていた。いつの間にか寝てしまったようでブランケットもかけられている。ソファに座った記憶がないし、ティモシーが運んでくれたのだろうか。
「カルナ」
声がした方に目を向けるとセオドアが既に起きていた。ティモシーが傍らに立っている。慌てて起き上がり、ベッドまで駆け寄った。
「団長! 起きられたんですね。痛みや違和感はありませんか?」
「ああ。何ともないよ。カルナ、ティモシーから聞いた。お前がいなかったら腕を切断していたそうだな。本当にありがとう」
「えへへ、仲間じゃないですか」
「一晩中悪かったな。今日は休みだろうから部屋に戻ってゆっくり寝るといい」
あとでまた来ますね、とカルナはフローラを連れて寮に戻っていった。
「……ティモシー、包帯を外してみてくれ」
「? はい……」
腕の包帯をとると、そこにあったはずの傷跡が綺麗になくなっていた。
「こ、これは……」
「やっぱり。全く痛まないのはおかしいと思ったんだ……。薬効が高いのか、それともカルナが聖女なのか……」
今回はセオドア団長が指揮を執り、レオは留守を預かるそうだ。20名が参加することになったこの演習に、カルナも一人前の薬師として初めて帯同することになった。ヘレーネさんの都合がつかずフローラは食堂の女性陣に預けてきたが、みんなに大喜びされたので問題ないだろう。
後方の医療支援として治癒士や国境騎士団の医療班と共に参加するので危険はない。「カルナも一度、討伐にも参加してみるか?」という団長のひと言で参加が決まった。
大森林の中の開けた場所を拠点とし、国境警備隊の数名と治癒士、第二騎士団の医療班が待機する。各討伐隊が出発して数十分も経つと、遠くの方で動物の雄叫びが聞こえるようになった。魔物の断末魔なのかもしれない。ふと思うことがあり、カルナは居残り組に尋ねてみた。
「魔物は動物と何が違うのでしょうか?」
「魔力を持った動物が魔物だよ。一般的に動物と呼ばれている種族よりも強く、凶暴だとされている。人間との共存が難しい存在だから、定期的に討伐する必要があるんだ」
「魔力……」
アクアリア王国では魔力の話が出ることがほとんどなかった。唯一、聖魔法を保有する司祭や聖女が重宝されるくらいで、そもそも魔力を保有しているか耳にすることがない。
テラフォーラ帝国では騎士団に身を寄せていることもあり、魔力を使っている様子を目にすることが多くなった。治癒士という職業が確立されているのをはじめ、騎士は武器に魔力を流して強化している。魔導士として研究や防衛、生活道具の作成など、あらゆる分野で活躍している者たちもいて、魔力が様々な恩恵をもたらすことをカルナは知った。
(フローラの魔力が光系統でないと良いんだけど……。何があっても聖女にはさせない)
魔力や魔物について話していたところに、慌てた様子で騎士が駆け込んできた。
「セオドア団長が負傷された! すぐに搬送されてくるから準備してくれ!」
ティモシーに背負われたセオドアは血の気が引き、力を失くした腕からはどす黒い血がしたたり落ちていた。新人騎士を庇った際に魔物に肘下を噛まれたそうだ。運悪く毒を持っていたらしい。
治癒士が治療を試みるが、一向に顔色が戻らない。
「毒が強すぎて聖力では治癒できません……!」
「そんな……」
周囲にいる騎士たちにも動揺が広がる。
「……ならば毒が回りきる前に腕を切断した方がいい」
「先生! ……なんとか、なんとかならないでしょうか? 片腕を失ったらセオドア様は騎士を引退せざるを得ません!」
侍従であるティモシーが医師に懇願する。セオドアは意識が混濁しつつあり、悪化していることは明白だ。国境騎士団の専属医師も苦渋の表情を浮かべているが、この場合の正しい処置であることは間違いない。
「待ってください! 私に解毒を試させてください!」
一筋でも希望があるのならとティモシーや医師が頷く。
「ティモシーさん! 毒が広がらないように、団長の腕のこの部分を紐で縛ってください! 助手の方、薬草を渡すのですり潰してください!!」
カルナはカバンから自分で育てた薬草を急いで取り出す。
解毒効果の高い数種類の薬草とこの地で摘んだ消炎作用のある野草を助手に渡し、自分は薬草のまま数種類を口に含んだ。
苦みとえぐみのある薬草を咀嚼しながら、セオドアの腕にある傷口を手際よく水で洗い流す。2つの牙の跡は思ったよりも小さな傷口だが、穴が深い。
咀嚼していた薬草をごくんと飲み込むと、勢いよく傷口に吸い付いた。
周囲が唖然とする中、何度も血を吸って吐くことを繰り返し、毒を吸い出す。カルナの唇がみるみる黒ずんでいく。
血を吸い出して吐きだすことを繰り返し、ようやくどす黒い血が赤くなった。助手がすり潰した薬草をガーゼに広げ患部を圧迫した。
(ケアード領にいた時、お姉さまはこうやって解毒していたわ)
辺境では荒々しい武人に囲まれ、騎士や傭兵の治療を行ってきた。
セオドア団長の様子を見ると汗が止まり、呼吸が安定したようだった。安堵してひと息ついたが、はっと顔を上げると騎士たちが驚いた顔でカルナを見つめていた。治癒士と医師が急いで状態を確認した。
「……安定している! 毒が抜けたようだ!」
「カルナ、よくやった! あなたの勇気に感謝する! さあ、急いで団長を運ぶぞ」
討伐はほぼ終わっていたこともあって撤収となり、第二騎士団がある本部へ戻ることになった。セオドアは貴族が負傷した際に使われる個室へ運ばれ、しばらく経過観察になった。おそらく今夜は高熱が出るだろう。
カルナは看病に名乗りを上げ、徹夜で解熱や消毒を行い、腕に後遺症が残らないようにとマッサージを何度も行った。ティモシーがフローラを迎えに行き、同じ部屋でフローラも一緒にいられるように整えてくれた。
明け方、カルナが目を開けるとソファにもたれていた。いつの間にか寝てしまったようでブランケットもかけられている。ソファに座った記憶がないし、ティモシーが運んでくれたのだろうか。
「カルナ」
声がした方に目を向けるとセオドアが既に起きていた。ティモシーが傍らに立っている。慌てて起き上がり、ベッドまで駆け寄った。
「団長! 起きられたんですね。痛みや違和感はありませんか?」
「ああ。何ともないよ。カルナ、ティモシーから聞いた。お前がいなかったら腕を切断していたそうだな。本当にありがとう」
「えへへ、仲間じゃないですか」
「一晩中悪かったな。今日は休みだろうから部屋に戻ってゆっくり寝るといい」
あとでまた来ますね、とカルナはフローラを連れて寮に戻っていった。
「……ティモシー、包帯を外してみてくれ」
「? はい……」
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