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九章 雲となり雨となるとき
雲となり雨となるとき【7】 *R-18*
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「志乃……。名前で呼んで」
「……しょう」
甘えるような願いを受け入れれば、目が合った諏訪くんが幸福感を滲ませて破顔した。
「翔……翔……」
「うん、もっと呼んで。ずっと呼んでて」
涙が零れるほどに甘切なくて、私を満たすなにもかもがひどく愛おしい。
こんな感情は、諏訪くんが相手じゃなければ知らずにいたのかもしれない。彼だからこそ、私はこんなにも幸せな行為があるのだと知った。
「好きだよ。ずっと大事にするから……」
「うん……。私も好き……」
想いを紡ぎ合えば、自然と笑みが零れる。
それを合図にキスを交わした直後、諏訪くんがゆっくりと腰を引いた。
「ふっ……ん……あっ……」
再び柔襞を掻き分けながら奥へと戻ってくる雄杭を、隘路が勝手に食い締める。きゅうきゅうと轟くそこは、私の意思ではどうすることもできない。
ゆっくりと律動している彼は、息を噛み殺すようにしていた。
私を痛みから気を逸らせるためか、諏訪くんが双丘の先端を優しく弄り、キスを繰り返す。唇が解ければまた結び直し、甘ったるいくちづけを何度も重ねた。
最初に感じていた痛みは徐々に和らぎ、それに代わるように甘切ない痺れに翻弄されていく。
こすれ合う粘膜は淫靡な水音を奏で、熱気のこもった寝室は蜜欲に塗れていた。
「志乃……っ、好きだ……」
睦言のように繰り返す、愛の囁き。私も同じように想いを紡ぎ、諏訪くんの名前を何度も呼ぶ。
思考が酩酊していっても、離れたくなくて逞しい体に必死にしがみついていた。
やがて、私の下肢に手を伸ばした彼が、節くれだった指先で可憐な蜜芯を捕らえ、指の腹で捏ね回した。
「やああぁっ……!」
これまでで一番激しい淫悦を注ぎ込まれ、ただただ泣き叫ぶように声を上げる。
電流のようなビリビリとした刺激が快感となり、滲んでいた視界が明滅する。
思考も目の前も真っ白になる、その刹那――。
「……ひぁっ!? ああぁぁぁっ――!」
なにがなんだかわからないまま快楽の波に飲み込まれ、四肢を戦慄かせながら背中を反らしていた。
「志乃……!」
次いで、私の最奥を数回穿った諏訪くんが、噛みしめるように私を呼ぶ。直後、彼は逞しい腹筋を引き攣らせながら胴震いした。
愛おしむようにぎゅうっと抱きしめられ、汗に濡れた肌が重なる。
「ああ……幸せだ……」
多幸感を滲ませた諏訪くんの言葉に胸が高鳴ったけれど、脱力した体と酩酊していく意識には抗えなくて。私は安堵感を抱かせてくれる香りに包まれながら、彼の腕の中で意識を失った――。
ふわふわとした柔らかい感覚に、心を包むような優しい温もり。安堵感の中で瞼を開けると、柔和な双眸が私を見つめていた。
「おはよう、志乃」
まだ脳が覚醒しない。ぼんやりとしたままでいると、クスッと笑われた。
「……え? ……諏訪くん!?」
「寝ぼけてる志乃、めちゃくちゃ可愛い」
クスクスと笑い続ける諏訪くんが、私の額や頬に唇を寄せる。動揺の中でようやく昨夜のことを思い出し、一糸纏わぬ姿で彼の腕の中にいるのだと気づいた。
「体は平気?」
「……っ」
平気かどうかなんてまだわからない。それよりも、この状況をどうにかしたい。
リネンを纏っていても、その下ではお互いに全裸のわけで。私を抱きしめる諏訪くんに離してくれる素振りはなく、少し足を動かしただけでも素肌が触れ合う。
「あの、諏訪くん……」
「翔」
「あ、えっと……翔……」
名前を呼ぶだけでも恥ずかしくて、ドキドキして。けれど、幸せそうに瞳をたわませる彼を見ると、胸の奥がきゅうぅ……と締めつけられる。
「あの、ちょっと離れてほしいんだけど……」
「ダメ。離したくない」
「でも……」
「まだ五時前だし、もうひと眠りする?」
戸惑う私を余所に、諏訪くんは一向に私の要望を聞き入れる気がないようで、チュッとリップ音を鳴らしながら顔中にキスの雨を降らせてくる。
羞恥心でいっぱいで、ドキドキしすぎて余裕がない。頬が熱くてたまらないのに、あっという間に彼のくちづけに絆されてしまう。
午前五時の寝室は、甘やかで優しい空気に包まれていた――。
「……しょう」
甘えるような願いを受け入れれば、目が合った諏訪くんが幸福感を滲ませて破顔した。
「翔……翔……」
「うん、もっと呼んで。ずっと呼んでて」
涙が零れるほどに甘切なくて、私を満たすなにもかもがひどく愛おしい。
こんな感情は、諏訪くんが相手じゃなければ知らずにいたのかもしれない。彼だからこそ、私はこんなにも幸せな行為があるのだと知った。
「好きだよ。ずっと大事にするから……」
「うん……。私も好き……」
想いを紡ぎ合えば、自然と笑みが零れる。
それを合図にキスを交わした直後、諏訪くんがゆっくりと腰を引いた。
「ふっ……ん……あっ……」
再び柔襞を掻き分けながら奥へと戻ってくる雄杭を、隘路が勝手に食い締める。きゅうきゅうと轟くそこは、私の意思ではどうすることもできない。
ゆっくりと律動している彼は、息を噛み殺すようにしていた。
私を痛みから気を逸らせるためか、諏訪くんが双丘の先端を優しく弄り、キスを繰り返す。唇が解ければまた結び直し、甘ったるいくちづけを何度も重ねた。
最初に感じていた痛みは徐々に和らぎ、それに代わるように甘切ない痺れに翻弄されていく。
こすれ合う粘膜は淫靡な水音を奏で、熱気のこもった寝室は蜜欲に塗れていた。
「志乃……っ、好きだ……」
睦言のように繰り返す、愛の囁き。私も同じように想いを紡ぎ、諏訪くんの名前を何度も呼ぶ。
思考が酩酊していっても、離れたくなくて逞しい体に必死にしがみついていた。
やがて、私の下肢に手を伸ばした彼が、節くれだった指先で可憐な蜜芯を捕らえ、指の腹で捏ね回した。
「やああぁっ……!」
これまでで一番激しい淫悦を注ぎ込まれ、ただただ泣き叫ぶように声を上げる。
電流のようなビリビリとした刺激が快感となり、滲んでいた視界が明滅する。
思考も目の前も真っ白になる、その刹那――。
「……ひぁっ!? ああぁぁぁっ――!」
なにがなんだかわからないまま快楽の波に飲み込まれ、四肢を戦慄かせながら背中を反らしていた。
「志乃……!」
次いで、私の最奥を数回穿った諏訪くんが、噛みしめるように私を呼ぶ。直後、彼は逞しい腹筋を引き攣らせながら胴震いした。
愛おしむようにぎゅうっと抱きしめられ、汗に濡れた肌が重なる。
「ああ……幸せだ……」
多幸感を滲ませた諏訪くんの言葉に胸が高鳴ったけれど、脱力した体と酩酊していく意識には抗えなくて。私は安堵感を抱かせてくれる香りに包まれながら、彼の腕の中で意識を失った――。
ふわふわとした柔らかい感覚に、心を包むような優しい温もり。安堵感の中で瞼を開けると、柔和な双眸が私を見つめていた。
「おはよう、志乃」
まだ脳が覚醒しない。ぼんやりとしたままでいると、クスッと笑われた。
「……え? ……諏訪くん!?」
「寝ぼけてる志乃、めちゃくちゃ可愛い」
クスクスと笑い続ける諏訪くんが、私の額や頬に唇を寄せる。動揺の中でようやく昨夜のことを思い出し、一糸纏わぬ姿で彼の腕の中にいるのだと気づいた。
「体は平気?」
「……っ」
平気かどうかなんてまだわからない。それよりも、この状況をどうにかしたい。
リネンを纏っていても、その下ではお互いに全裸のわけで。私を抱きしめる諏訪くんに離してくれる素振りはなく、少し足を動かしただけでも素肌が触れ合う。
「あの、諏訪くん……」
「翔」
「あ、えっと……翔……」
名前を呼ぶだけでも恥ずかしくて、ドキドキして。けれど、幸せそうに瞳をたわませる彼を見ると、胸の奥がきゅうぅ……と締めつけられる。
「あの、ちょっと離れてほしいんだけど……」
「ダメ。離したくない」
「でも……」
「まだ五時前だし、もうひと眠りする?」
戸惑う私を余所に、諏訪くんは一向に私の要望を聞き入れる気がないようで、チュッとリップ音を鳴らしながら顔中にキスの雨を降らせてくる。
羞恥心でいっぱいで、ドキドキしすぎて余裕がない。頬が熱くてたまらないのに、あっという間に彼のくちづけに絆されてしまう。
午前五時の寝室は、甘やかで優しい空気に包まれていた――。
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