【モテたい、好感度鑑定の覚醒者】あれ?「ネタ魔法」ってバカにしてたよね??最強と気付いたところでもう遅い。

山形 さい

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序章I

『好感度鑑定魔法』の覚醒

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 今日は、両親が隣の街に出かけているため、修行はない。

 まぁ、僕には関係のない話だが……このままじゃやばい! となことで、僕は今日も森に行く。

「って、別にシロは、今日修行ないのになんで来たのですか?」

「え、それは……」と、スカートの裾を握りながらモジモジしている。

「さては……僕のことが、心配になったりしてな!!」

 すると、シロは僕に向かって勢いよく水を放つ。

「ぶぉおお!」

 なんて野郎だ……これじゃぁ、服がびしょびしょで気持ち悪い……。

「べ、別に、アンタのためなんかじゃない!!」

 僕は、シロを置いて前に進みながら「はいはい。じゃぁ、帰りな!」と背中を向けて言う。

「ムー!」と、シロは顔を膨らませながら「待ってー!」と、手を伸ばしながら着いてきた。

 仕方がない、今日は2人だけでの修行と行くか。

 しっかし、なんでシロの好感度はずっと90なのにそれと裏腹に、こんなにもツンツンしてるのだろうか? 
 あーー! 早く、好感度鑑定もっと強くならないかなーー! なんて、思っていたら。

 次の瞬間「グォオー!」と1匹の白い生き物がこちらに向かって走ってきた。

「おい、シロ……」と、咄嗟に後ろを振り向く。

「わかってるわよ!」と、シロは腕を前に出して水でできた槍を白い生き物に向かって撃つ。

 しかし……。

「全く効かない……」と、シロは声を震わせながら言う。

 厳密には、確かにダメージを与えていた。しかし、与えた傷は次から次へと、再生していく。

「なぁ……コイツって……」

「ええ、多分そう……」

「マジかよ……なんで、なんでそんな奴が、こんなところに……」と、僕は声を震わせる。

 そう、僕とシロが遭遇した白い生き物それは、『』。

 まるで、天使のような白く美しいフカフカの羽をしていて。とても、愛らしい鳥だ。
 だが……それと裏腹に、エンジェルバードは、鬼みたいな再生能力。
 そして、一度ダメージを与えられたら、与えた者の息の根が止まるまで、与えた者を攻撃するという習性を持っている。

 騎士が10人がかりで、やっとの生き物だ。
 運が悪すぎる。こんなところで、遭遇してしまうなんて。 
 そして……シロは、ダメージを与えてしまった。これは、非常にやばい。

「シロ! 勢いよく逃げるぞ!」

 幸いにも、まだ茂みに隠れればなんとかなる距離だ。

「おい! シロ……」

 シロは、体を震わせながらじっと黙っている。

「あー!」と、僕はシロの腕を掴んで逃げようとしたがーーその時には、もう遅かった……。

 気づくと、エンジェルバードは目の前まで来ていた。

 くっそ! 

 エンジェルバードのサファイヤのように青い目を見せるかのように顔を近づけてきた。

 僕は、シロを茂みの方に向かって投げる。

「ギル……」と、シロは呟く。

 最悪、重傷を負ってもシロが無事なら、治癒魔法でなんとかしてもらおう。

「さぁて、修行の成果を見せてあげようじゃねェか!」

 僕は、袖をまくり鞘から剣を抜き、鞘をそこら辺に投げる。

 そして、僕は左足を前に出して剣を振り首を斬り裂く。

 よし、手応えはしっかり感じた。流石に、首を斬れば……。

「ぐはっつつ!」

「ギルぅーー!!」

 次の瞬間、首のないはずのエンジェルバードの蹴りがお腹に当たり、勢いよく木に向かって吹っ飛んだ。

 一体何が起こったんだ……。
 
「ぐはっ」

 口からは、大量の血が出る。

「マジかよ……こんなに、血ィ出たの、初めてだぞ……ハァハァ……」

「クォオオ!」と、エンジェルバードは大きな声で鳴く。

 なんとか、意識は保っている。
 しかし、めまいが激しくうまく前が見えない。ふらふらさせながら僕は、立ち上がった。

「ハァハァ……シロ、少し回復してくれ……」

「うん」

 シロは、戸惑いながら僕に向かって回復魔法を撃つ。傷口は、塞ぐものの、血が足りないらしく目眩が治らない。

「くっそ……こんなところで、終わる場合じゃねェんだよォオ!」

 すると、次の瞬間。

『好感度鑑定が覚醒しました』と、女性の声が脳内に響く。

(え! どういうことだ??)

『だから、好感度鑑定覚醒しました』

(いや、そういうことじゃなくてさ、誰ですか?? え? どうなってるんですか?)

『だ・か・ら!! 好感度鑑定覚醒だってんだろうがよ!』

 どうやら、お怒りのようだ。

(すみません、すみません!!)

『いい? あの、モンスターの好感度をあげる方法を今から教える。てか、まだ好感度を測定してないじゃない! とりあえず、測定!?』

(は、はい!) と、言われた通りに鑑定するが……やはり、好感度は10と低い。一体どうするというのだろうか? そして、この脳内に響き渡る声はなんだろうか。

『オッケオッケー! あの子の首については首輪見える?』

(見えますが……それが??)

『その首輪を外してみて』

(はぁ……)

「ギル!」と、シロの声がする。

「ああ。聞こえてるよ!」

 僕は、剣を握る。

「あーー! こうなったら、やるしかない!! なるようになれだぁあああ!!」

 僕は、襲いかかってくるエンジェルバードの首についている首輪に向かって剣を振る。

 どうだ? やったか?

『ほら、好感度みて!』

(は、はぁ……)

 言われたように見てみると……。

「ぇえええ!」

「どうしたの!? ギル!!」

 好感度は、10から80となっていた。

「いや、なんでもない……」

「ギルあぶない!」と、シロは手を伸ばす。

 どうやら、エンジェルバードがこっちに来ているらしいな。

(これで、ほんとに大丈夫なんだろうな?)

『もちろん! 信じて!』

 エンジェルバードは、僕を首を器用に使って上に乗せる。

「え!?」

 シロは、とてもびっくりしているようだ。

「ククル~~」

 先程までの、怖い声は優しいまるで天使のような声に変わっている。

「え!? ギル……」

「どうやら、僕は懐かれたらしいです……」

 多分あれだな、首輪が苦しかったとか!!

(えーと……)

『鑑定さんでいいわ』

(鑑定さん、あざす!!)

「わたしも、乗りたい!!」と、茂みに隠れていたシロが近づいてくる。

「ああ」

 どうやら、僕の『好感度鑑定魔法』が覚醒したらしい。

(っつー、ことでいいんだよな??)

『ええ。まぁ、色々な能力が追加されたけどね!』
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