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第14章 そして神になった
【アキラ君の行方11】
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<<マサル視点>>
ユウキを追って見つけた1枚の風景画像。
そこには3本並んだ煙突が写っていた。俺とユウコさんは、その場所を見つけるとそこにある金属工業へと調査に向かった。
「ユウコさん、どうやらここは今使われていないみたいだね。」
「そうね、誰も居ないわ。うん?マサルさん、人の気配がしない?すっごく微量だけどなんとなく気配を感じるわ。」
「えっ、なるほど、言われてみれば。」
俺は気配察知を最大限まで拡げてみる。
だめだな、工場の外まで拡げてもいなさそうだ。じゃあ深くしてみるか。
意識を地下へ地下へと向けていく。
「いた!」
工場の地下深く、2つの生命反応があった。
ただ認識阻害の魔道具が仕掛けられているのか、それ以上のことは分からない。
「ユウコさん地下にふたりほどいるみたいだ。行ってみよう。」
俺はユウコさんと一緒に地下へ続く階段をゆっくりと確認しながら降りて行った。
30メートルほど降りるとそこには線路があり、複数のトロッコがあった。
恐らく蒸気機関車が駅まで運んできた石炭や鉱石をトロッコに積み替えてここまで運んでくるための線路だろう。
その線路の脇にある部屋には積み下ろしをしていたであろう人達の休憩施設などがあった。
そこには更に下へと続く階段があった。
途中には牢屋にあるような鉄製の扉があり、階段は更に下へと続く。
やがて異臭を放つ空間が現れ、そこには男女ふたりの姿があった。
「ナタリーさん?」
ユウコさん女性に声を掛ける。
その声に反応した女性は、「はい」と静かに答えた。
俺は男性の方に近付く。そして暗闇に魔法で明かりを灯すと、そこには探していた見覚えのある顔があった。
「アキラ君だね。」
「はい。」
彼もまた静かに返事をして頷くのだった。
魔法で牢の鍵を開錠し、ふたりを救出する。
「ユウコさん、敵に見つからないうちにここから退散しよう。」
俺とユウコさんはアキラ君とナタリーさんをそれぞれ抱えて、調査室へと転移したのだった。
調査室へ戻った俺達は、アキラ君とナタリーさんを俺が空間収納魔法で創った収納部屋へと案内した。
ここならもし探索されたとしても見つかることは無いだろう。
俺達も中に入って空間収納を閉じる。
ふたり共かなり衰弱しているようなので回復魔法を掛けた後に、温かい食事を用意した。
ゆっくりと食事を摂るふたりからゆっくりと事情を聞いていく。
ナタリーさんは、農作業の途中で突然意識が飛び、気が付いたらあの場所にいたという認識だ。
アキラ君もおおむね同じ認識である。
ふたり以外にあの場所に誰かいなかったか聞いてみたが、アキラ君があの場所にいる間に来たのはナタリーさんだけだったみたいだ。
食事は定期的に青年が運んでくれていたらしい。
ユウキの顔写真を見せると、「「この人だ」」と証言された。
どうやらユウキは誘拐した者達の面倒を見る役目のようだな。
他に知っていることを尋ねたが、それ以外の情報は得られなかった。
安全のため、ふたりにはしばらくここにいてもらうことにして、ミリア様とランスにふたりの無事を連絡する。
ふたり共安堵のため息が聞こえるくらい心配していたので、無事発見できて何よりだった。
ただ、手掛かりがワースドだけになってしまったのも事実であり、再度調査を始める必要が出てきたのも事実だった。
アキラ君の行方編 完
ユウキを追って見つけた1枚の風景画像。
そこには3本並んだ煙突が写っていた。俺とユウコさんは、その場所を見つけるとそこにある金属工業へと調査に向かった。
「ユウコさん、どうやらここは今使われていないみたいだね。」
「そうね、誰も居ないわ。うん?マサルさん、人の気配がしない?すっごく微量だけどなんとなく気配を感じるわ。」
「えっ、なるほど、言われてみれば。」
俺は気配察知を最大限まで拡げてみる。
だめだな、工場の外まで拡げてもいなさそうだ。じゃあ深くしてみるか。
意識を地下へ地下へと向けていく。
「いた!」
工場の地下深く、2つの生命反応があった。
ただ認識阻害の魔道具が仕掛けられているのか、それ以上のことは分からない。
「ユウコさん地下にふたりほどいるみたいだ。行ってみよう。」
俺はユウコさんと一緒に地下へ続く階段をゆっくりと確認しながら降りて行った。
30メートルほど降りるとそこには線路があり、複数のトロッコがあった。
恐らく蒸気機関車が駅まで運んできた石炭や鉱石をトロッコに積み替えてここまで運んでくるための線路だろう。
その線路の脇にある部屋には積み下ろしをしていたであろう人達の休憩施設などがあった。
そこには更に下へと続く階段があった。
途中には牢屋にあるような鉄製の扉があり、階段は更に下へと続く。
やがて異臭を放つ空間が現れ、そこには男女ふたりの姿があった。
「ナタリーさん?」
ユウコさん女性に声を掛ける。
その声に反応した女性は、「はい」と静かに答えた。
俺は男性の方に近付く。そして暗闇に魔法で明かりを灯すと、そこには探していた見覚えのある顔があった。
「アキラ君だね。」
「はい。」
彼もまた静かに返事をして頷くのだった。
魔法で牢の鍵を開錠し、ふたりを救出する。
「ユウコさん、敵に見つからないうちにここから退散しよう。」
俺とユウコさんはアキラ君とナタリーさんをそれぞれ抱えて、調査室へと転移したのだった。
調査室へ戻った俺達は、アキラ君とナタリーさんを俺が空間収納魔法で創った収納部屋へと案内した。
ここならもし探索されたとしても見つかることは無いだろう。
俺達も中に入って空間収納を閉じる。
ふたり共かなり衰弱しているようなので回復魔法を掛けた後に、温かい食事を用意した。
ゆっくりと食事を摂るふたりからゆっくりと事情を聞いていく。
ナタリーさんは、農作業の途中で突然意識が飛び、気が付いたらあの場所にいたという認識だ。
アキラ君もおおむね同じ認識である。
ふたり以外にあの場所に誰かいなかったか聞いてみたが、アキラ君があの場所にいる間に来たのはナタリーさんだけだったみたいだ。
食事は定期的に青年が運んでくれていたらしい。
ユウキの顔写真を見せると、「「この人だ」」と証言された。
どうやらユウキは誘拐した者達の面倒を見る役目のようだな。
他に知っていることを尋ねたが、それ以外の情報は得られなかった。
安全のため、ふたりにはしばらくここにいてもらうことにして、ミリア様とランスにふたりの無事を連絡する。
ふたり共安堵のため息が聞こえるくらい心配していたので、無事発見できて何よりだった。
ただ、手掛かりがワースドだけになってしまったのも事実であり、再度調査を始める必要が出てきたのも事実だった。
アキラ君の行方編 完
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わたしが意味を完全に取り違えていました。
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修正いたしました。
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ご指摘の通り「人工生物」が正解です。完全に変換ミスです。
修正いたしました。
>不快に思われた......
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こんなに一生懸命読んで頂いて感謝しかありません。
今後もつたない文章ですが続けていきますので引き続きよろしくお願いします。
ありがとうございました。