292 / 382
第13章 魔獣と古代人
23【宇宙連合誕生】
しおりを挟む
<<ランス視点>>
シンゲン星から戻って2ヵ月経ちました。
その間お父様は大忙しだったみたい。
毎日国際連合各国の首脳陣を集めて今回の顛末を説明した後、トレス王から預かってきた親書と平和通称条約文書を説明、検討していました。
親書はともかく、条約文書は500ページもあり上下巻の辞典ほどあったから、その精査に時間がかかっていたそうです。
元々その条約文書はお父様が作られた物なので、お父様は誰にも文句は言えないそうですが。
文書の量もそうですが最大の問題はその言語にあります。
シンゲン星では長い年月の間に文字が進化し、話し言葉は同じでしたが文字は全く異なるものでした。
当然お父様が条約の草文を作る時はあちらの文字で書いてあります。
お父様や僕達はマリス様の加護もあり、問題なく読めましたが、この星の方達には読めません。
結局、条約の内容を一番よく知っているお父様が翻訳してもう一通条約を書くことになったのです。
えっ、たしか1晩で作ったんじゃなかったっけって。
お父様曰く、最初作った時は様々な文献を取り寄せて切り貼りしたから早かったけど、全てを読み直して翻訳して書き出していくと10日掛かったって言ってました。
翻訳後、国際連合総会で条文の要約について、仮承認を取り、その後各国で内容の精査をして、それを持ちよっての調整を経てようやく全ての国が了承したのが僕達が戻って来てから6週間後。
ようやく完成した条約文書を2言語に翻訳した文書それぞれ2通づつを用意して、こちらの代表団を連れてシンゲン星の向かい、あちらとの最終調整と条約締結に更に4週間必要だったのです。
こうして両星間の星交樹立が成り、シンゲン星のトレス王国では盛大なお祝い式典が行われました。
僕達の星ラスク星からの友好大使には僕とイリヤが任命され、シンゲン星の友好大使にはトレス王国の第4王女のアルベスタちゃんが任命され、両星間の友好を約束したのでした。
なお、僕達の最初の仕事は、辞書の作成です。
双方の文字が異なるため、文字を比較するための辞書が必要となります。
もちろん文化も違うので、それぞれにしかない言葉を翻訳することも必要です。
だから友好大使の最初の仕事が辞書の作成になったのです。
昨日からアルベスタちゃんがウチに来ています。
こちらの文化を体験してもらい、一緒に辞書を作るためです。
当然サルベスタ王妃様も一緒で、護衛としてミラベスタさんとクラシケラさんも来ていますよ。
これから3ヵ月掛けてこちらの国々を見てもらう予定です。
その後僕達ももう一度シンゲン星に行くことになります。
サルベスタ王妃様やアルベスタちゃんもウチの屋敷を気に入ってくれたみたい。
サルベスタ王妃様は、地下室にある礼拝堂のマリス様像が気に入ったみたいで、お父様に制作を頼んでました。
シンゲン星でも、マリス様信仰が本格化して、たくさん神殿が出来ているみたいです。
ちなみにマリス様像の隣にはお父様の像があるそうですが、お父様には黙っておきましょう。
シンゲン星との条約締結のためにあちらに行った代表団が語るシンゲン星の様子は、カトウ運輸のオンライン網を通じて全世界に配信され、シンゲン星の話題は世界中で持ちきりです。
そんな中、友好大使の来訪で各国では歓迎ムード一色でお祭り騒ぎになっており、各国が減税や特別給付金を発行したことも重なり、世界中が好景気に包まれています。
ネクター王、ガード王、レイン皇帝のおじさん達も降って湧いた好景気にホクホク顔です。
まだまだシンゲン星との交易については未知数ですが、シンゲン星もラスク星も一緒に繁栄していけることを願うばかりです。
第13章完
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
新作が出ました。
「100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~」
こちらも本作同様、よろしくお願いします。
シンゲン星から戻って2ヵ月経ちました。
その間お父様は大忙しだったみたい。
毎日国際連合各国の首脳陣を集めて今回の顛末を説明した後、トレス王から預かってきた親書と平和通称条約文書を説明、検討していました。
親書はともかく、条約文書は500ページもあり上下巻の辞典ほどあったから、その精査に時間がかかっていたそうです。
元々その条約文書はお父様が作られた物なので、お父様は誰にも文句は言えないそうですが。
文書の量もそうですが最大の問題はその言語にあります。
シンゲン星では長い年月の間に文字が進化し、話し言葉は同じでしたが文字は全く異なるものでした。
当然お父様が条約の草文を作る時はあちらの文字で書いてあります。
お父様や僕達はマリス様の加護もあり、問題なく読めましたが、この星の方達には読めません。
結局、条約の内容を一番よく知っているお父様が翻訳してもう一通条約を書くことになったのです。
えっ、たしか1晩で作ったんじゃなかったっけって。
お父様曰く、最初作った時は様々な文献を取り寄せて切り貼りしたから早かったけど、全てを読み直して翻訳して書き出していくと10日掛かったって言ってました。
翻訳後、国際連合総会で条文の要約について、仮承認を取り、その後各国で内容の精査をして、それを持ちよっての調整を経てようやく全ての国が了承したのが僕達が戻って来てから6週間後。
ようやく完成した条約文書を2言語に翻訳した文書それぞれ2通づつを用意して、こちらの代表団を連れてシンゲン星の向かい、あちらとの最終調整と条約締結に更に4週間必要だったのです。
こうして両星間の星交樹立が成り、シンゲン星のトレス王国では盛大なお祝い式典が行われました。
僕達の星ラスク星からの友好大使には僕とイリヤが任命され、シンゲン星の友好大使にはトレス王国の第4王女のアルベスタちゃんが任命され、両星間の友好を約束したのでした。
なお、僕達の最初の仕事は、辞書の作成です。
双方の文字が異なるため、文字を比較するための辞書が必要となります。
もちろん文化も違うので、それぞれにしかない言葉を翻訳することも必要です。
だから友好大使の最初の仕事が辞書の作成になったのです。
昨日からアルベスタちゃんがウチに来ています。
こちらの文化を体験してもらい、一緒に辞書を作るためです。
当然サルベスタ王妃様も一緒で、護衛としてミラベスタさんとクラシケラさんも来ていますよ。
これから3ヵ月掛けてこちらの国々を見てもらう予定です。
その後僕達ももう一度シンゲン星に行くことになります。
サルベスタ王妃様やアルベスタちゃんもウチの屋敷を気に入ってくれたみたい。
サルベスタ王妃様は、地下室にある礼拝堂のマリス様像が気に入ったみたいで、お父様に制作を頼んでました。
シンゲン星でも、マリス様信仰が本格化して、たくさん神殿が出来ているみたいです。
ちなみにマリス様像の隣にはお父様の像があるそうですが、お父様には黙っておきましょう。
シンゲン星との条約締結のためにあちらに行った代表団が語るシンゲン星の様子は、カトウ運輸のオンライン網を通じて全世界に配信され、シンゲン星の話題は世界中で持ちきりです。
そんな中、友好大使の来訪で各国では歓迎ムード一色でお祭り騒ぎになっており、各国が減税や特別給付金を発行したことも重なり、世界中が好景気に包まれています。
ネクター王、ガード王、レイン皇帝のおじさん達も降って湧いた好景気にホクホク顔です。
まだまだシンゲン星との交易については未知数ですが、シンゲン星もラスク星も一緒に繁栄していけることを願うばかりです。
第13章完
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
新作が出ました。
「100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~」
こちらも本作同様、よろしくお願いします。
0
お気に入りに追加
331
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。
神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。
どうやら、食料事情がよくないらしい。
俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと!
そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。
これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。
しかし、それが意味するところは……。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる