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第13章 魔獣と古代人
22【トレス観光は無理でした】
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<<マサル視点>>
マリス様が突然現れて会議場は騒然となったが、やがて落ち着きを取り戻す。
いや、実際には個人個人の興奮は冷めやらないが、そこは国務や外交の達人達、得意のポーカーフェースで落ち着いたように見えているだけだろう。
先ほどから明らかに水を飲むペースや汗を拭く回数が増えているのが証拠だ。
とりあえずマリス様が現れる前までに大筋で合意しているので問題は無いと思う。
「さすがにマサル殿は落ち着いておられるな。神の降臨など我々には初めてのことなので動揺しておるのじゃが。
のお、スタグネイト、ラングトス。」
「本当でございます。マサル様の話しを疑っておったわけでは決して無いのですが、あまりにも我等の常識外でありますゆえ。
しかし、マリス様のお言葉ではシンゲン様が本当の神になられたとか。非常にめでたいことでございます。
マサル様もいつでも神として迎えられる用意があるとか。恐れ多いことでございます。」
スタグネイト宰相はその場に土下座でもしそうな勢いだ。
「あまり気にしないでくださいね。
マリス様は時折あんな冗談を言われるのですよね。」
「冗談なんかじゃ無いわよ。早くこちらに来て、わたしの仕事を助けてね!」
俺が場を収めようとした途端、マリス様のちゃちゃが入る。
「「「ははー!」」」
ほら、皆んな土下座してしまったよ。
ますます収拾がつかなくなってしまったなぁ。
結局皆んなが席に戻るまでに1時間ほど掛かってしまったが、なんとか条約文書を交わす約束ができた。
と言っても、俺が作ることになりました。
皆んな嫌がるんだよね。恐れ多いって。
それから部屋に戻った俺は、久しぶりにタブレットを取り出して、平和通商条約の雛形を取り出して、最適なものを作り出した。
タブレットもいつの間にかバージョンアップしていたみたいで、AI機能がついていたんだ。
翌日、約束の時間に会議室に向かう。
既に昨日のメンバーに加えて、偉そうな格好をしている人達がたくさんいた。
会議室が変更になったと聞いていたのでなんとなくわかっていたけどね。
各国の王や神殿の神官長、宰相に護衛多数と、会議になるのか心配になる人数だ。
皆さん、平伏したままで俺を待ってたみたいだ。
おい、護衛まで平伏してたら護衛出来ないじゃないかって突っ込みたくなるんだけど。
こんな時はさっさと用件を済ませて、観光に行くに限る。
「皆さん、条約文書を纏めて参りました。
この場で簡単に説明しますので、本日お持ち帰り頂き、後日締結することに致しましょう。
「「「ははー!」」」
たった一晩で作ったっていうのに誰も驚かないんだもの。
ちょっと寂しい気持ちもするけど、昨日の今日だから仕方ないか。
なだめすかしてなんとか席に着いてもらい、条文を簡単に説明する。
何を言っても「ははー」とか「恐れ多い」とかしか言わないから本当に聞いてくれたのか心配だったけど、とりあえずはいいかな。
こうして余計な時間の方が長かったような気がする会議も無事に終わり、リズ達と観光に行くことになった。
リズ達は昨日観光したみたいだけど、俺も行きたいじゃないか。
「マサル様、お待ち下さいますよう。
いつの間に漏れたのか、マサル様のことが市井の者達にまで拡がっておりまして、外は大変なことになっておるそうです。」
スタグネイト宰相が恐縮しながらそう説明してくれた。
恐る恐る窓から外を見てみる。
果たして、街は大騒ぎになっていた。
外の様子を見て来たトレス王の側近の話しによると、昨晩から、この星の重鎮達が大騒ぎで城に出入りしていたから、「何があったのか?」ってとこから、マリス様と俺のことを耳にした民衆が、俺を一目見ようと混乱状態になったらしい。
俺はその様子を見て、観光を諦めることにした。
残念だが致し方無いだろう。
帰国後しばらくしてから聞いたのだが、リズ達が土産物を買った店は、神聖な場所として、神殿に変わったということだ。
5階建てのビルの1階には礼拝堂と売店があり、2階から上が神殿になっているそうで、リズ達が土産に買った食べ物なんかは神聖な食べ物として1階の売店で販売、元の店の店主はがっつり儲けているそうだから、商魂逞しいとはこのことだ。
そうそう、俺が後日姿を変えて観光して周ったのは別の話し。
街に出られない代わりにお城の中にある図書館でこちらの歴史や文化を調べたり、宝物庫でシンゲンさんが遺した様々な機械や道具を見せてもらったりした。
さすがロケットエンジンを自前で作ったシンゲンさん、機械の加工はお手のものだったみたいで、エレベーターや自動車、自動ドアなど、地球でも普通に使用されていた物が多い。
作り方もきちんとマニュアル化されており、彼の死後も改良されながら新しい物が作り続けられているそうだ。
なんでも魔法に頼っている俺だが、このあたりは見習って俺以外にも作れるようにしておかないといけないと、反省している。
会議から3日後、俺が作成した条文そのままで、トレス王の署名のみが入った平和通商条約の締結書を持って、俺達は帰路についたのだった。
マリス様が突然現れて会議場は騒然となったが、やがて落ち着きを取り戻す。
いや、実際には個人個人の興奮は冷めやらないが、そこは国務や外交の達人達、得意のポーカーフェースで落ち着いたように見えているだけだろう。
先ほどから明らかに水を飲むペースや汗を拭く回数が増えているのが証拠だ。
とりあえずマリス様が現れる前までに大筋で合意しているので問題は無いと思う。
「さすがにマサル殿は落ち着いておられるな。神の降臨など我々には初めてのことなので動揺しておるのじゃが。
のお、スタグネイト、ラングトス。」
「本当でございます。マサル様の話しを疑っておったわけでは決して無いのですが、あまりにも我等の常識外でありますゆえ。
しかし、マリス様のお言葉ではシンゲン様が本当の神になられたとか。非常にめでたいことでございます。
マサル様もいつでも神として迎えられる用意があるとか。恐れ多いことでございます。」
スタグネイト宰相はその場に土下座でもしそうな勢いだ。
「あまり気にしないでくださいね。
マリス様は時折あんな冗談を言われるのですよね。」
「冗談なんかじゃ無いわよ。早くこちらに来て、わたしの仕事を助けてね!」
俺が場を収めようとした途端、マリス様のちゃちゃが入る。
「「「ははー!」」」
ほら、皆んな土下座してしまったよ。
ますます収拾がつかなくなってしまったなぁ。
結局皆んなが席に戻るまでに1時間ほど掛かってしまったが、なんとか条約文書を交わす約束ができた。
と言っても、俺が作ることになりました。
皆んな嫌がるんだよね。恐れ多いって。
それから部屋に戻った俺は、久しぶりにタブレットを取り出して、平和通商条約の雛形を取り出して、最適なものを作り出した。
タブレットもいつの間にかバージョンアップしていたみたいで、AI機能がついていたんだ。
翌日、約束の時間に会議室に向かう。
既に昨日のメンバーに加えて、偉そうな格好をしている人達がたくさんいた。
会議室が変更になったと聞いていたのでなんとなくわかっていたけどね。
各国の王や神殿の神官長、宰相に護衛多数と、会議になるのか心配になる人数だ。
皆さん、平伏したままで俺を待ってたみたいだ。
おい、護衛まで平伏してたら護衛出来ないじゃないかって突っ込みたくなるんだけど。
こんな時はさっさと用件を済ませて、観光に行くに限る。
「皆さん、条約文書を纏めて参りました。
この場で簡単に説明しますので、本日お持ち帰り頂き、後日締結することに致しましょう。
「「「ははー!」」」
たった一晩で作ったっていうのに誰も驚かないんだもの。
ちょっと寂しい気持ちもするけど、昨日の今日だから仕方ないか。
なだめすかしてなんとか席に着いてもらい、条文を簡単に説明する。
何を言っても「ははー」とか「恐れ多い」とかしか言わないから本当に聞いてくれたのか心配だったけど、とりあえずはいいかな。
こうして余計な時間の方が長かったような気がする会議も無事に終わり、リズ達と観光に行くことになった。
リズ達は昨日観光したみたいだけど、俺も行きたいじゃないか。
「マサル様、お待ち下さいますよう。
いつの間に漏れたのか、マサル様のことが市井の者達にまで拡がっておりまして、外は大変なことになっておるそうです。」
スタグネイト宰相が恐縮しながらそう説明してくれた。
恐る恐る窓から外を見てみる。
果たして、街は大騒ぎになっていた。
外の様子を見て来たトレス王の側近の話しによると、昨晩から、この星の重鎮達が大騒ぎで城に出入りしていたから、「何があったのか?」ってとこから、マリス様と俺のことを耳にした民衆が、俺を一目見ようと混乱状態になったらしい。
俺はその様子を見て、観光を諦めることにした。
残念だが致し方無いだろう。
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5階建てのビルの1階には礼拝堂と売店があり、2階から上が神殿になっているそうで、リズ達が土産に買った食べ物なんかは神聖な食べ物として1階の売店で販売、元の店の店主はがっつり儲けているそうだから、商魂逞しいとはこのことだ。
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街に出られない代わりにお城の中にある図書館でこちらの歴史や文化を調べたり、宝物庫でシンゲンさんが遺した様々な機械や道具を見せてもらったりした。
さすがロケットエンジンを自前で作ったシンゲンさん、機械の加工はお手のものだったみたいで、エレベーターや自動車、自動ドアなど、地球でも普通に使用されていた物が多い。
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