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第9章 マサル共和国の建国
20 【ダンジョン発見】
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<<イリヤ視点>>
この国にも学校が出来ました。
小学校、中学校、高等学校、職業訓練校です。
わたし達は、小学校を卒業したので次は中学校に入学するはずでした。
今わたしとお兄ちゃんは、高等学校3年生のクラスにいます。
学校に入るには学力テストを受けることになっています。
年齢ではなく、学力に合わせた学校・学年に入ることで、無理なく学習出来るようにとの配慮からだそうですが、学力テストの結果で指定されたのが、このクラスでした。
「イリヤ、ここって場違い感半端無いんだけど。」
「お兄ちゃんでもそうだよねー。
わたしなんて、ドキドキだよ。」
周りを見渡すと、カトウ運輸の社員や、なかには官僚の方もおられます。
ヤングさんとスポックさんが張り切って、カトウ運輸と官僚全員に学力テストを受けさせたみたいなの。
明らかに高等学校卒業レベルは1割くらいで、後は高等学校に入学することになったみたい。
今のところ、高等学校はわたし達以外、全て大人です。
高等学校の授業は基本的にレポート提出で、学校に来るのは週に1,2回だから、仕事に支障は無いみたいだけど。
ちょっと微妙だけど、このクラスにいる皆さんは喜んでいるみたいだから、結果オーライですねー。
さてわたし達ですが、学力テストの結果、高等学校卒業レベルと判断されました。
でもどうしても学校に行きたいじゃないですか。
だってわたし達まだ9歳なんですよ。
本当だったら、小学生なのにね。
そう言ったら、先生達に泣きつかれました。
高等学校では、政治や経済、魔法、建築、薬学等の専門分野に分かれて勉強しています。
先生はもちろん研究室の先生方です。
皆さん、自分の得意分野をたくさんの人に聞いてもらえると、ホクホク顔です。
そんなこんなで、これまでとあまり変わらない生活を送っています。
その日は地質学の校外実習の日でした。
新しい村を作るためにお兄ちゃんが山を切り崩しに行っていますが、その山の断面を調査するとのことです。
地質学のマークス先生曰く、この島は今まで誰も手をつけていなかったので、未知の発見が期待出来るそうです。
今まで、山を4つ崩したって聞いて、卒倒していました。
次こそ呼んで欲しいと懇願されていたので、お兄ちゃんが声を掛けたら、今日の校外実習になったのです。
今日は、考古学のモーリス先生も一緒です。
モーリス先生は元々有名な学者だったのですが、サクラの発見でその名は世界中に広まりました。
山に着くとマークス先生がお兄ちゃんの元に近付きます。
「ランス君、今日はすまないね。
ところで、どうやって山を切り崩すのだね?」
「それじゃ、手前から1メートルほど削っていきますね。」
お兄ちゃんはそう言うと、土魔法で、表面を薄く削りました。
お兄ちゃん、魔法制御上手くなかったのに、上手になっています。
「ほお、すごいもんじゃな。
これだけ綺麗に削ってくれたら、調査も捗るわな。
よし、皆んな近づいてよく見るんじゃよ。
ここで色が変わっているじゃろう。
これが地層というものじゃ。
これは地震等の地殻変動で海底が隆起したり、火山噴火等で火山灰が上から被さったりして出来るんじゃよ。
こんな島だったら、風で砂が運ばれて出来た地層もあるかのお。」
マークス先生が地層を見せながら熱心に説明して下さいます。
「どうやら、ありふれた地層だけみたいじゃな。
まぁこんなものじゃて。
ランス君、すまないが、あと10メートルほど削ってくれないかな。」
「はい、マークス先生。」
お兄ちゃんが10メートルほど削りました。
土煙が収まったところを見ると、下に穴が開いていました。
「なんじゃこの穴は?」
削った岩肌にも高さ10メートルほど穴の跡が見えます。
「この地層は恐らく2000年ほど前のはずじゃ。
というと、2000年前まで、ここに縦穴があったということじゃな。
上の地層は、火山灰だから、恐らく火山噴火で穴の入り口が塞がれたのじゃろうな。」
皆んな興味深そうに穴を覗き込んでいます。
「このままじゃあ、村を作れないので、穴の調査をしてきます。」
お兄ちゃんが楽しそうな声を出して、穴に入ろうとしています。
「ちょっと待つん………
ああ、行ってしもうた。
危険だと言おうと思ったのじゃがな。
間に合わなかったわい。」
………………………………………………
………………………………
………………
10分経ってもお兄ちゃんは帰ってきません。
………………………………ドーン?!
穴の中から爆破音が聞こえました。
それから2分くらい爆破音が響いていましたが、突然鳴り止みました。
音が鳴り止むとすぐに、お兄ちゃんが出てきました。
「下の方に横穴があって、ダンジョンみたいになってました。
でっかいモグラの魔物が結構な数いましたよ。
襲ってきた分は、全て退治してきましたけど。」
第9章 完
この国にも学校が出来ました。
小学校、中学校、高等学校、職業訓練校です。
わたし達は、小学校を卒業したので次は中学校に入学するはずでした。
今わたしとお兄ちゃんは、高等学校3年生のクラスにいます。
学校に入るには学力テストを受けることになっています。
年齢ではなく、学力に合わせた学校・学年に入ることで、無理なく学習出来るようにとの配慮からだそうですが、学力テストの結果で指定されたのが、このクラスでした。
「イリヤ、ここって場違い感半端無いんだけど。」
「お兄ちゃんでもそうだよねー。
わたしなんて、ドキドキだよ。」
周りを見渡すと、カトウ運輸の社員や、なかには官僚の方もおられます。
ヤングさんとスポックさんが張り切って、カトウ運輸と官僚全員に学力テストを受けさせたみたいなの。
明らかに高等学校卒業レベルは1割くらいで、後は高等学校に入学することになったみたい。
今のところ、高等学校はわたし達以外、全て大人です。
高等学校の授業は基本的にレポート提出で、学校に来るのは週に1,2回だから、仕事に支障は無いみたいだけど。
ちょっと微妙だけど、このクラスにいる皆さんは喜んでいるみたいだから、結果オーライですねー。
さてわたし達ですが、学力テストの結果、高等学校卒業レベルと判断されました。
でもどうしても学校に行きたいじゃないですか。
だってわたし達まだ9歳なんですよ。
本当だったら、小学生なのにね。
そう言ったら、先生達に泣きつかれました。
高等学校では、政治や経済、魔法、建築、薬学等の専門分野に分かれて勉強しています。
先生はもちろん研究室の先生方です。
皆さん、自分の得意分野をたくさんの人に聞いてもらえると、ホクホク顔です。
そんなこんなで、これまでとあまり変わらない生活を送っています。
その日は地質学の校外実習の日でした。
新しい村を作るためにお兄ちゃんが山を切り崩しに行っていますが、その山の断面を調査するとのことです。
地質学のマークス先生曰く、この島は今まで誰も手をつけていなかったので、未知の発見が期待出来るそうです。
今まで、山を4つ崩したって聞いて、卒倒していました。
次こそ呼んで欲しいと懇願されていたので、お兄ちゃんが声を掛けたら、今日の校外実習になったのです。
今日は、考古学のモーリス先生も一緒です。
モーリス先生は元々有名な学者だったのですが、サクラの発見でその名は世界中に広まりました。
山に着くとマークス先生がお兄ちゃんの元に近付きます。
「ランス君、今日はすまないね。
ところで、どうやって山を切り崩すのだね?」
「それじゃ、手前から1メートルほど削っていきますね。」
お兄ちゃんはそう言うと、土魔法で、表面を薄く削りました。
お兄ちゃん、魔法制御上手くなかったのに、上手になっています。
「ほお、すごいもんじゃな。
これだけ綺麗に削ってくれたら、調査も捗るわな。
よし、皆んな近づいてよく見るんじゃよ。
ここで色が変わっているじゃろう。
これが地層というものじゃ。
これは地震等の地殻変動で海底が隆起したり、火山噴火等で火山灰が上から被さったりして出来るんじゃよ。
こんな島だったら、風で砂が運ばれて出来た地層もあるかのお。」
マークス先生が地層を見せながら熱心に説明して下さいます。
「どうやら、ありふれた地層だけみたいじゃな。
まぁこんなものじゃて。
ランス君、すまないが、あと10メートルほど削ってくれないかな。」
「はい、マークス先生。」
お兄ちゃんが10メートルほど削りました。
土煙が収まったところを見ると、下に穴が開いていました。
「なんじゃこの穴は?」
削った岩肌にも高さ10メートルほど穴の跡が見えます。
「この地層は恐らく2000年ほど前のはずじゃ。
というと、2000年前まで、ここに縦穴があったということじゃな。
上の地層は、火山灰だから、恐らく火山噴火で穴の入り口が塞がれたのじゃろうな。」
皆んな興味深そうに穴を覗き込んでいます。
「このままじゃあ、村を作れないので、穴の調査をしてきます。」
お兄ちゃんが楽しそうな声を出して、穴に入ろうとしています。
「ちょっと待つん………
ああ、行ってしもうた。
危険だと言おうと思ったのじゃがな。
間に合わなかったわい。」
………………………………………………
………………………………
………………
10分経ってもお兄ちゃんは帰ってきません。
………………………………ドーン?!
穴の中から爆破音が聞こえました。
それから2分くらい爆破音が響いていましたが、突然鳴り止みました。
音が鳴り止むとすぐに、お兄ちゃんが出てきました。
「下の方に横穴があって、ダンジョンみたいになってました。
でっかいモグラの魔物が結構な数いましたよ。
襲ってきた分は、全て退治してきましたけど。」
第9章 完
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