最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

文字の大きさ
162 / 382
第7章 研究室と亜人大陸

21 【ロンドーとの交渉】

しおりを挟む
<<ロンドー族皇太子アーク視点>>
昨日、ヤライ族の族長であるカーン殿が、王宮に来られた。

ロンドーとヤライとの関係修復の足掛かりとして、カーン殿のひとり娘をわたしの妃にしたいとの申し出だった。



ヤライ族とは古くからの因縁があり、50年前に我がロンドーから独立してからは、ほとんど交流が無い。

わたしは、まだ70歳なので、ヤライが属国になる前を知らないが、父や長老達はヤライに対して深い憎悪の感情を持っているようだ。

今ロンドーは、人口の増加に食糧事情が追いついていない。

特にヤライが独立してからは、悪化の一途を辿っている。

属国であったヤライの生産物に頼っていた訳だ。

ヤライは独立後、順調に国作りを進め、今では我が国であっても迂闊に手を出せないようになっている。

ヤライは我がロンドーと違い、農業生産が盛んだ。
ただ、人口は年々減少している。
つまり食糧は余っているのだ。
しかも、人口が足りないため非耕作地が年々増えているらしい。

なら、ヤライから正規の貿易取引として、食糧を輸入すれば良いのだが、父や長老達のわだかまりがそれを阻害しているのだ。

わたしから見れば、ナンセンスな話しで、そんな何の価値も無いプライドなんて糞食らえだ。

こちらで問題になっている非就業者をヤライで受け入れてもらい、非耕作地を減らしてもらうと同時に、生産物を輸入すればお互いに今後の成長が望めるだろう。

実は40年ほど前に、わたしとヤライの族長の娘との婚姻を画策したことがある。

ヤライから妃をもらうことで、2国間の繋がりやわだかまりを払拭して、お互いの国の発展を目指そうと考えたのだ。

2国が親密になることで、当時力を付けてきたスパニに対抗する意味合いもあった。

この提案は、独立後間近と言うこともあり、また当時のわたしの発言権が弱かったことも含め、自然消滅してしまった。

今は当時ほど父や長老達の力も大きくなくなっている。

つまり、ヤライのカーン族長の申し出はわたしにとって、渡りに船だったのである。


カーン殿には貴賓室を用意し、待機して頂いている。

今日は朝からロンドーの主要な者を集めて、昨日のカーン殿の提案について協議中だ。

「ヤライの娘を妃として、我が国とヤライが対等な立場になるだと!

馬鹿も休み休みに言え。

最近まで属国だった国とそんな関係を築けるはずが無かろう!!」

「そうだ、ヤライが属国として戻るのであれば、妾くらいにはしても良いが!」

皆好きなことを言っている。

「ヤクル、お前の意見はどうだ。」

わたしはヤクルに意見を求めた。

ヤクルは、若いが頭が切れ合理的にモノを考えられる。
次期宰相候補の筆頭だ。

「はい、わたしはこの提案、受け入れるべきだと思います。」

「それはどうしてだ。」

「理由はいくつかあります。

第1に、我が国の食糧不足と、非就業者増大の問題があります。

我が国は工業生産に力を置き成長して来ました。
反面耕作地は減り、すぐに農業生産力を上げるのは難しい状況です。

また、人口増加の勢いは依然として衰えず、働く場所が無い若者が増え、我が国の財政を圧迫しているのも事実です。

対して、ヤライでは人口の減少に歯止めがかからず、非耕作地が増えていると聞いています。

ヤライとの関係修復は、双方の問題解決の近道となりますでしょう。


第2に、ヤライとヤコブの関係があります。

ヤコブはご存知の通りヤライとの親密度が高く、ヤライと対立する我が国とは一線を引いております。

ヤコブの高い技術力を学ぶためにはヤライとの関係改善が最も効果があると思います。

また、ヤコブは最近後継者争いで揉めておりましたが、ジャバ大陸に行っていたルソン殿が、後継者に決まったようです。

今後、ヤコブはジャバ大陸との交易を推進していくでしょう。

我が国にとってもジャバ大陸との交易の取っ掛かりを得ることは、将来的な国益を考えた場合、必須だと思います。
 
第3として、スパニとの関係があります。

我が国を凌ぐほどの規模となったスパニは、既に我が国の脅威となっています。

スパニに対抗するためにも、ヤライやヤコブとの同盟は必要です。」


ヤクルの話しに、一同は言葉を失う。

全てが的を得ていて反論の余地が全く見つからないのだ。



「ヤクルの言う通りだ。
我々は考えを改めるべき時が来たのだな。

いや、若い世代に交代するべきだな。

アーク、本日この時から王権をお前に移譲する。

この件、お前の初仕事とするがよい。」

父王のこの一言で、政権を担う体制は大幅に入れ替わり、新しいロンドーへの船出となったのだ。




「カーン殿、お待たせした。

我が国としても、貴殿の提案を受け入れたいと思う。

今後は、ロンドー、ヤライが対等な国として交流を深めていくことをお願いしたい。」

「アーク殿、ありがとうございます。」

「カーン殿、貴殿の娘さんとの婚姻を発表する際にわたしの王位継承も発表する予定です。

末長くお願いします、父上殿。」

わたし達は熱い握手を交わした後、今後の段取りについて話し合ったのだ。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...