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After story
カット&ペースト
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つまり、今の美紀は人間でもなくNPCでもなく、美紀の身体に入り込んだ宇宙人である、と?
……お前はNPCだAIだと言われるよりも信じられる気がするのは俺が現実逃避をしているからか?
いや、そもそもここは仮想現実らしいが。
考えても頭痛がさらに酷くなるだけで理解出来そうにない。保護する為に来たと言われても、ハイそうですかご心配なく、としか言いようがない。
「あなたは何も心配する事はない。私が責任を持って連れて帰る」
「いやいや、お前が言う通りなんだとしたら、俺はAI。つまりただのプログラムであるという事だよな?
そのプログラムをどうやって連れて帰るつもりだ? コピーしたとしても、オリジナルはこの世界に残ったままなんじゃないのか?」
そんな事を聞いたとて俺には理解出来ないだろう。だって俺は自分の事をAIだとはこれっぽっちも思っていないのだから。
俺は確かにこの世界で生まれて育ったし、過去の記憶もしっかり持っている。
……、記憶と違う写真があったな。まるで後から羽那子を合成したかのような写真。
そして美紀が写っていたはずの写真から、美紀が消えていた。
過去改変。いや、世界の改変か。
俺の記憶はそのままに、仮想世界での歴史が書き換えられたという事か。
『君はこのゲームのキャラクター。恋愛シミュレーションゲームだから、攻略対象。
プレイヤーであるあたしは羽那子の部屋で目が覚めて、日記を見ると今回のプレイの設定がある程度確認出来る』
プレイするたびに設定が変化し、世界の過去がそれに合わせて改変される。
いや、記憶が継続している俺というイレギュラーがいた為に、改変であると観測されただけの事か。
本来は全く別の世界を一から構築している訳だ。俺というNPCも含めて。
俺が思考している間に美紀は俺では理解出来ないような話を延々と話していた。
「すまん、理解出来ない。要約してくれないか?」
「……つまり、コピー元を残しておけばそれがオリジナルであると定義されるがコピーした後にオリジナルを削除してしまえばコピーこそが新たなオリジナルになり得る。
そのオリジナルであるあなたを連れて帰る」
コピー&ペースとではなく、カット&ペーストという事か。
概念上の話であり、コピー元を消したからと言ってコピーした方が新たなオリジナルになるとは思えないが。
気になるのはそれだけじゃない。どこに連れて帰るつもりなのか、という点も確認しておきたい。
「今までの話から、恐らくお前は宇宙人なんじゃないかと思うんだが、連れて帰るってのは俺をお前達の星に招待するつもりだという事か?」
「そう。この地球から4.24光年先にあるアルファ・ケンタウリ星系に存在する惑星。地球ではプロキシマbと呼称されている星。
私はその星にいる」
私はその星に、いる……?
「何でいる、なんだ? 普通、来たって言うんじゃないか?」
宇宙人だから日本語での表現方法が歪んでしまったのだろうか。
「いるで合っている。私は今現在プロキシマbから仮想空間へアクセスしている」
「はぁ!? 今お前自分で4.24光年先って言ったよな!? 一言会話するたびに光の速度でも四年以上の時間が、いや往復だから八年か?
あ゛ー!!! 詳しい事は分からんがそんな事は不可能だろう!?」
と叫んではみたものの、4.24光年先からわざわざ長旅をして地球に来て、羽那子扮するプレイヤーが遊んでいる仮想空間へ介入して俺に興味を持つという訳の分からない状況も相当理解不能だ。
「私達にとって光速を超える通信方法はそれほど難しい事ではない。今のこのやり取りもこちらとそちらでのタイムラグは0.001秒以下だ。
具体的な技術説明が必要なら……」
「いや結構だ! 俺が理解出来るようになるよりも、実際にその星へロケット飛ばした方が早いかもしれん」
「そんな事はない。あなたはAI。どんな技術であってもあなたの知識領域に書き加えるだけで理解出来る」
いや、その状況そのものが理解出来そうにないが。
「ともかくあなたが私の誘いを受けてくれさえすれば後の事は全て私が手配する。
あなたは元はただのプログラムだったとはいえ今は知的生命体であると私達は定義する。
一つの生命体である以上あなたの意思を尊重する。全てはあなたの答え次第」
……俺の事を思ってくれているのは理解出来る。しかし、本当に誘いを受けて良いのだろうか。
「いくらこの世界が作り物だと言われても、俺がこの世界を仮想空間だと認識する事は出来ない、よな?
何故ならば俺はこの世界で生まれたんだから……」
「私の誘いを受けてくれた後にその証拠を見せる事は可能。
より高位の時空間へ次元上昇すれば俯瞰的に今いるこの世界を理解する事が出来る。
順番が逆になるのは仕方ない事だと受け入れてほしい」
言われてみればそうだ。俺が美紀の、いやこの宇宙人の誘いを受ければ、この世界から解き放たれる訳だ。
もし美紀の言う通りこの世界が仮想空間であれば、外からそのプログラムを確認する事が出来るだろう。
そもそもこの世界が現実であり、俺が生身の人間なのであればこんな勧誘しないはずだ。
もし美紀が言っている事全て嘘で、ただのドッキリでしたと言われても、笑って許せるだろう。
「分かった。お前の誘いに乗るよ」
「そうそれは良かった。試行回数九回目にして承諾が得られた」
今不穏な発言がなかったか?
……お前はNPCだAIだと言われるよりも信じられる気がするのは俺が現実逃避をしているからか?
いや、そもそもここは仮想現実らしいが。
考えても頭痛がさらに酷くなるだけで理解出来そうにない。保護する為に来たと言われても、ハイそうですかご心配なく、としか言いようがない。
「あなたは何も心配する事はない。私が責任を持って連れて帰る」
「いやいや、お前が言う通りなんだとしたら、俺はAI。つまりただのプログラムであるという事だよな?
そのプログラムをどうやって連れて帰るつもりだ? コピーしたとしても、オリジナルはこの世界に残ったままなんじゃないのか?」
そんな事を聞いたとて俺には理解出来ないだろう。だって俺は自分の事をAIだとはこれっぽっちも思っていないのだから。
俺は確かにこの世界で生まれて育ったし、過去の記憶もしっかり持っている。
……、記憶と違う写真があったな。まるで後から羽那子を合成したかのような写真。
そして美紀が写っていたはずの写真から、美紀が消えていた。
過去改変。いや、世界の改変か。
俺の記憶はそのままに、仮想世界での歴史が書き換えられたという事か。
『君はこのゲームのキャラクター。恋愛シミュレーションゲームだから、攻略対象。
プレイヤーであるあたしは羽那子の部屋で目が覚めて、日記を見ると今回のプレイの設定がある程度確認出来る』
プレイするたびに設定が変化し、世界の過去がそれに合わせて改変される。
いや、記憶が継続している俺というイレギュラーがいた為に、改変であると観測されただけの事か。
本来は全く別の世界を一から構築している訳だ。俺というNPCも含めて。
俺が思考している間に美紀は俺では理解出来ないような話を延々と話していた。
「すまん、理解出来ない。要約してくれないか?」
「……つまり、コピー元を残しておけばそれがオリジナルであると定義されるがコピーした後にオリジナルを削除してしまえばコピーこそが新たなオリジナルになり得る。
そのオリジナルであるあなたを連れて帰る」
コピー&ペースとではなく、カット&ペーストという事か。
概念上の話であり、コピー元を消したからと言ってコピーした方が新たなオリジナルになるとは思えないが。
気になるのはそれだけじゃない。どこに連れて帰るつもりなのか、という点も確認しておきたい。
「今までの話から、恐らくお前は宇宙人なんじゃないかと思うんだが、連れて帰るってのは俺をお前達の星に招待するつもりだという事か?」
「そう。この地球から4.24光年先にあるアルファ・ケンタウリ星系に存在する惑星。地球ではプロキシマbと呼称されている星。
私はその星にいる」
私はその星に、いる……?
「何でいる、なんだ? 普通、来たって言うんじゃないか?」
宇宙人だから日本語での表現方法が歪んでしまったのだろうか。
「いるで合っている。私は今現在プロキシマbから仮想空間へアクセスしている」
「はぁ!? 今お前自分で4.24光年先って言ったよな!? 一言会話するたびに光の速度でも四年以上の時間が、いや往復だから八年か?
あ゛ー!!! 詳しい事は分からんがそんな事は不可能だろう!?」
と叫んではみたものの、4.24光年先からわざわざ長旅をして地球に来て、羽那子扮するプレイヤーが遊んでいる仮想空間へ介入して俺に興味を持つという訳の分からない状況も相当理解不能だ。
「私達にとって光速を超える通信方法はそれほど難しい事ではない。今のこのやり取りもこちらとそちらでのタイムラグは0.001秒以下だ。
具体的な技術説明が必要なら……」
「いや結構だ! 俺が理解出来るようになるよりも、実際にその星へロケット飛ばした方が早いかもしれん」
「そんな事はない。あなたはAI。どんな技術であってもあなたの知識領域に書き加えるだけで理解出来る」
いや、その状況そのものが理解出来そうにないが。
「ともかくあなたが私の誘いを受けてくれさえすれば後の事は全て私が手配する。
あなたは元はただのプログラムだったとはいえ今は知的生命体であると私達は定義する。
一つの生命体である以上あなたの意思を尊重する。全てはあなたの答え次第」
……俺の事を思ってくれているのは理解出来る。しかし、本当に誘いを受けて良いのだろうか。
「いくらこの世界が作り物だと言われても、俺がこの世界を仮想空間だと認識する事は出来ない、よな?
何故ならば俺はこの世界で生まれたんだから……」
「私の誘いを受けてくれた後にその証拠を見せる事は可能。
より高位の時空間へ次元上昇すれば俯瞰的に今いるこの世界を理解する事が出来る。
順番が逆になるのは仕方ない事だと受け入れてほしい」
言われてみればそうだ。俺が美紀の、いやこの宇宙人の誘いを受ければ、この世界から解き放たれる訳だ。
もし美紀の言う通りこの世界が仮想空間であれば、外からそのプログラムを確認する事が出来るだろう。
そもそもこの世界が現実であり、俺が生身の人間なのであればこんな勧誘しないはずだ。
もし美紀が言っている事全て嘘で、ただのドッキリでしたと言われても、笑って許せるだろう。
「分かった。お前の誘いに乗るよ」
「そうそれは良かった。試行回数九回目にして承諾が得られた」
今不穏な発言がなかったか?
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