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第十八話 さぁ、出かけよう!
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翌朝日が昇る前に目を覚ましていたクルトは、ベッドの上でもぞもぞと動きながら、皆が起き出すのを待ち構えていた。
窓から入り込む朝日はすっかり秋の柔らかなものへと変わっていた。
「今日は朝食をいつもより少なめにしてもらおうかな」
毛布に包まりながらどこに行って、何を食べるかと想像していると、ようやくジェシカの声がして、クルトはベッドから飛び起きた。
(やっとみんなが起き出した!)
顔を洗い、髪を軽く整えて廊下に出るとちょうどバルハルトと会った。
「おはようございます」
「おはよう、早かったな」
若干寝癖がついた髪のまま起きてくる彼が珍しく、じっくりと観察する。
「なかなかに意思の強い髪の毛ですね」
「普段はセットしてるから分からないだろうな」
他愛もないことを話しながら、二人で一階へと降りていく。
今日もバルハルトの館の中は、賑やかな空気が満ちていて、クルトは朝起きるたび何故か心が躍るのだ。
「今日の朝は軽めにするか?」
「そうですね、お昼にたくさん食べたいので」
そういうわけで、二人とも野菜スープとパンで朝食を軽めに済ませることにした。
カリッと焼かれたパンは何度食べても飽きることのない美味しさだ。
野菜スープは黄金色になるまで炒めた玉ねぎと、にんじん、じゃがいもが入っていて、あっさりとした味で食べやすく、おまけに体もぽかぽかする。
二人とも時折会話をしながらも料理を食べ終えた。
もう少しパンを食べたい気もするが、ここで欲張ってしまえば、街でたくさん食べられなくなってしまう。
クルトはパンはまた今度にして、腹を休めることにした。
「とりあえず腹を休めたら、街に出かけるか。服を着替える時に、帯が締められなかったら私を呼べ。
まだ上手く締められてないだろう?」
「はい……」
帯を締めることができないことをバルハルトは知っている。
一人で帯を締められないなど、まるで小さな子供のようで、少し恥ずかしくもあった。
二人はコーヒーを飲みながら今日どこへ行くか、何を買いたいのかというのを大体話し合って決めると、それぞれ外出する支度に取り掛かった。
クルトは買ってもらった服に着替え、髪の毛を丁寧に梳かし、帯を締めてもらうためにバルハルトの部屋に行った。
彼も服に着替えていたが、普段着ている騎士団の服ではなく襟に蔦とアーバンライト家の紋章が施された白いシャツにズボン、それに黒いコートを羽織っていた。
「クルト、来たか」
彼はそれだけ言うと、クルトの背後に回り手早く帯を締めた。その手つきは鮮やかで、なぜそんなにも綺麗にできるのかとクルトは不思議に思ってしまう。
バルハルトはクルトの帯を締めるとクルトを上から下まで眺め、口を開いた。
「髪はそのままでいいのか?」
彼にそう言われるまで髪をどうこうする、という発想がなかったクルトは口ごもった。
特にこだわりもないため、ブラッシングして髪を下ろしっぱなしにしていたのだ。
「別に.......あまりそこまで考えていませんでした」
「だったら私が結んでやろう」
バルハルトはクルトを椅子に座らせるとブラッシングをし始めた。
てっきり彼のことだから髪を力いっぱい引っ張られるのかと危惧していたが、そのようなことはなく丁寧に髪を傷めないように梳いていた。
ブラッシングのあとは彼はクルトの髪をあっという間に編んでいき、どこから取り出したのかは分からないが、若草色のリボンで髪を結んだ。
「どうだ?」
彼が持ってきた鏡をのぞけば、とても綺麗な三つ編みが出来上がっていた。
「すごい!手先が器用なんですね、ありがとうございます!」
髪を初めてアレンジしてもらったクルトは上機嫌に笑い、しばし鏡に映っている髪型に見入っていた。
「ほら、見とれていないで早く出かけるぞ」
彼にせかされてクルトはようやく椅子から立ち上がる。
「今日は目いっぱい楽しみましょうね!!」
そういいながら二人で玄関へと向かっていった。
窓から入り込む朝日はすっかり秋の柔らかなものへと変わっていた。
「今日は朝食をいつもより少なめにしてもらおうかな」
毛布に包まりながらどこに行って、何を食べるかと想像していると、ようやくジェシカの声がして、クルトはベッドから飛び起きた。
(やっとみんなが起き出した!)
顔を洗い、髪を軽く整えて廊下に出るとちょうどバルハルトと会った。
「おはようございます」
「おはよう、早かったな」
若干寝癖がついた髪のまま起きてくる彼が珍しく、じっくりと観察する。
「なかなかに意思の強い髪の毛ですね」
「普段はセットしてるから分からないだろうな」
他愛もないことを話しながら、二人で一階へと降りていく。
今日もバルハルトの館の中は、賑やかな空気が満ちていて、クルトは朝起きるたび何故か心が躍るのだ。
「今日の朝は軽めにするか?」
「そうですね、お昼にたくさん食べたいので」
そういうわけで、二人とも野菜スープとパンで朝食を軽めに済ませることにした。
カリッと焼かれたパンは何度食べても飽きることのない美味しさだ。
野菜スープは黄金色になるまで炒めた玉ねぎと、にんじん、じゃがいもが入っていて、あっさりとした味で食べやすく、おまけに体もぽかぽかする。
二人とも時折会話をしながらも料理を食べ終えた。
もう少しパンを食べたい気もするが、ここで欲張ってしまえば、街でたくさん食べられなくなってしまう。
クルトはパンはまた今度にして、腹を休めることにした。
「とりあえず腹を休めたら、街に出かけるか。服を着替える時に、帯が締められなかったら私を呼べ。
まだ上手く締められてないだろう?」
「はい……」
帯を締めることができないことをバルハルトは知っている。
一人で帯を締められないなど、まるで小さな子供のようで、少し恥ずかしくもあった。
二人はコーヒーを飲みながら今日どこへ行くか、何を買いたいのかというのを大体話し合って決めると、それぞれ外出する支度に取り掛かった。
クルトは買ってもらった服に着替え、髪の毛を丁寧に梳かし、帯を締めてもらうためにバルハルトの部屋に行った。
彼も服に着替えていたが、普段着ている騎士団の服ではなく襟に蔦とアーバンライト家の紋章が施された白いシャツにズボン、それに黒いコートを羽織っていた。
「クルト、来たか」
彼はそれだけ言うと、クルトの背後に回り手早く帯を締めた。その手つきは鮮やかで、なぜそんなにも綺麗にできるのかとクルトは不思議に思ってしまう。
バルハルトはクルトの帯を締めるとクルトを上から下まで眺め、口を開いた。
「髪はそのままでいいのか?」
彼にそう言われるまで髪をどうこうする、という発想がなかったクルトは口ごもった。
特にこだわりもないため、ブラッシングして髪を下ろしっぱなしにしていたのだ。
「別に.......あまりそこまで考えていませんでした」
「だったら私が結んでやろう」
バルハルトはクルトを椅子に座らせるとブラッシングをし始めた。
てっきり彼のことだから髪を力いっぱい引っ張られるのかと危惧していたが、そのようなことはなく丁寧に髪を傷めないように梳いていた。
ブラッシングのあとは彼はクルトの髪をあっという間に編んでいき、どこから取り出したのかは分からないが、若草色のリボンで髪を結んだ。
「どうだ?」
彼が持ってきた鏡をのぞけば、とても綺麗な三つ編みが出来上がっていた。
「すごい!手先が器用なんですね、ありがとうございます!」
髪を初めてアレンジしてもらったクルトは上機嫌に笑い、しばし鏡に映っている髪型に見入っていた。
「ほら、見とれていないで早く出かけるぞ」
彼にせかされてクルトはようやく椅子から立ち上がる。
「今日は目いっぱい楽しみましょうね!!」
そういいながら二人で玄関へと向かっていった。
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