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第七章
139.おお!!元気になった途端、威勢がいいな?このヨハネ様に向かって
しおりを挟む「正式にレナトゥスとして登録されれば、嫌でも習う。電気の付け方とか鍵を使わずに鍵穴を開ける方法とかもな」
「くっだらねえ。そんなのお断りだ。僕の職業を勝手に決めるのは許せない」
「自由なんて無い。レナトゥスにもマテリアにも。ああ、そう考えると、絵描きのほうが惨めか。生まれ変わっても、当の昔に死んだ絵描きの人生の続きが始まるんだから。で、マエストロと話はできたのかか?」
と話しかけてくる。
「クソ偉そうだった」
ヨハネが吹き出した。
そして、もそもそと起き上がる。
着ているTシャツは、
DEEP LOVE QATAR(カタール)。
「それでもちゃんと、礼は言ったんだろうな?マエストロ、僕のお熱を下げてくれてありがとう。ンチュチュチュチュっていう感動のキスと抱擁付きで」
ヨハネが枕を抱きしめながら、唇を突き出してみせた。
「殺すぞ?」
「おお!!元気になった途端、威勢がいいな?このヨハネ様に向かって」
「新しいムンディがいた。僕のファーストマテリアだって。あと、訳わかんねえことも言われた。お前は、レオナルド・ダビンチの弟子だったって」
「うん。間違いない。かつてのお前は、アンドレア・サライという雅号を持つ絵描きだった」
「三白眼のおっさんも、ロレンツォ公も昔のことを覚えているような雰囲気だけど、僕はアンドレア・サライ時代の記憶なんてないぞ」
ヨハネが心臓のあたりを弄る。
「出会った当初から、お前、マエストロに拒絶感満載だったじゃないか。身体がそこまで反応するなら、記憶が戻るのもすぐだ」
「最悪。きっと魂レベルで反りが合わなかったんだろう。なあ、レナトゥス登録を逃れる方法はないのか?」
「無いね。リチャード・クリスティンに目を付けられたら最後。そもそも、十八歳を過ぎるまで野放しにされてきたお前はかなり特別だと思う。もうファーストマテリアも出しちゃったことだし特別待遇は今後は無いはず」
「好きで出したわけじゃない」
「そんな理屈は通じねえ。あのリチャード・クリスティンだぞ?でも、悪いことばかりじゃないと思うぜ。同じ境遇のがわんさといる。レナトゥスとして登録があるのは今、千人ぐらいのはずだから。それが世界各地に散らばっている」
「美術品が大好きなおハイソな奴らと僕が仲良くできるわけないだろ。怖気がする」
「大丈夫。皆、案外下衆だ。飲む打つ買うヤル。おまけに、不倫上等。高給取りのくせにそれしか頭にねえんだ、あいつら。たぶん、お前はただれた環境にすぐ馴染む。上辺だけ仲良くしておけ。労働環境は最悪だけど給料は破格。まあ、給料イコール命の値段なんだけどな。そして、お前は大人達に利用しつくされて、短い一生を終えると」
「そんなの御免だ」
「ああ。だから、このヨハネ様がアシストしてやる。心強いだろ?」
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