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第七章
137.オレはお前の元師匠だ。口を出す権利はある
しおりを挟む見るからに横柄でオークショナーなんて気取った職業に付く男と血の繋がりが無くてよかったと心底、ほっとすべき瞬間なのに。
「家とじいちゃんの葬式の件は感謝する。でも、それが終わったら無関係になるってことだな。せいせいする。喜ばしい!」
すると、レオがため息。
心底嫌そうだ。
「お前は今後、RCの監視下に置かれる。監視するのはオレだ。お前はこの事件が解決したらレナトゥスとして登録を行え。拒否するなら一生追われる羽目になる」
「レナトゥス??そんなのなった覚えがねえぞ。それに、イギリスのオークション会社が何で出張ってくるんだ?」
「出しただろうが。ムンディを。それに、RCがお前を未成年収容所から出すのに尽力した。美術絡みの事件に関しては、国を越えて絶大な権力を発揮できる」
「出してくれたのは、ロレンツォ公だ。誰かの代理で来たって言っていた」
「元はオレの役目だったが、ロレンツォに頼んだ。あいつとは金輪際関わりあいたくないと思ってからすでに二回目だ。一回目はお前がハッカー気取りで馬鹿をしたとき。あのときは、RCは絡んでこなかったから、あいつに頭を下げるのは、死より苦痛だった」
「あんたが勝手にやったことだから、感謝なんてしないからな」
ジロッとレオが青い目で睨んでくる。そして、一瞬の間を置いて言った。
「母親探しか?お前がネットに触れたきっかけは?」
「―――違う。他人が詮索してくるな」
「もう不毛なことは止めろ。オレはお前の元師匠だ。口を出す権利はある」
「ねえよ!一切ねえよ!」
「ある」
(またこのテンポ)
「そこで、不貞腐れて黙り込むのか?今は、オレにへりくだってでも色々質問すべきところだろうが」
サライは口の端を盛大に曲げて、レオに聞く。
「ああ。そうですね。元お師匠様。なら、聞いてやる。どうして、ヨハネが僕のファーストマテリアじゃないんだ?僕はあいつと一緒に空を飛んだし、短い距離だけど瞬間移動だってした」
「ヨハネはオレのマテリアだ。五百年ほど前にお前は少し手伝っただけ。それをあいつが拡大解釈してお前のマテリアもどきのようなことをしている」
「手伝ったって?」
『最後の晩餐』。ミラノのサンタ・マリア・グラ―チェ教会にある」
「あの壁画な、あっそう」
サライはムンディを指さした。
「こいつが僕のマテリアなんだとしたら、何ができる?剣は使えるのか?」
「ムンディを使ってユディトと戦おうとしているのなら、死に行くようなものだ。美術の知識がまるでないお前にマテリアは使いこなせない。ムンディも壊れる」
「じゃあ、教えろ。今すぐに。あんたは僕の元師匠で、今は監督者なんだろ?胸糞悪いけれど」
「断る」
「じいちゃんが首を斬られて死んでんだぞ?!」
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