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第四章

75.居間は血だらけで酷い有様だった

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「またそのセリフかよ。でも、修道士でも見習いでもないんだろ?そもそも、お前は誰なんだ?双子?いや、少し若いから弟?まさかドッペルゲンガー?」


 サライの問いかけに、ヨハネが冷めた顔。


「それって、自分とそっくりなのが世界に三人いて見たら死ぬってやつだろ?お前、ボクと自分をよお―――く見比べてみろ。段違いにボクの方が格好いいじゃないか」


 サライは瞬時に察した。


「ナルシストか」


 サライはレオが籠もる部屋を指差す。


「じゃあ、あいつは」

「マエストロがどうした?」

「……お前の……父親?」


 すると、ヨハネが顔を歪めながら笑った。


「見方によってはそうかもしれない。ボクは認めたくないけれど」

「親子関係をオープンにできない状況にあるってことか?」

「ふひ。おまえ、マジで何も知らないんだな」


 ヨハネはサライの隣に座り、ポータブルゲーム機でゲームをし始めた。

 パシュン、パシュンとライフルを撃つ音が部屋に響く。


「頼む。知っていることを答えてくれ。僕、先月、じいちゃんを殺されて」

「知っている。居間は血だらけで酷い有様だった。このヨハネ様だっておえっとなるぐらい」

「見たのか?どういう経緯で?」


 ヨハネはその質問に答えず、


「お前、大切な物の隠し場所は昔から変わってねえよな」

「もしかして、運び屋ってお前?」

「ああ。ロレンツォ公に『緊急だ。ヨハネ』って泣きつかれて」

「繋がってたのか!お前ら!!」

「まあな。それにしてもサライ。お前、鳥肌すごいぞ」

「収まんねえんだよ。変なのばかり立て続けに現れやがって。特に青いドレスの女。バスケットいっぱいに男の生首が入っていたのを持っていた。そいつがきっとじいちゃんを殺した!あの女、何者なんだ?」


 サライは、女が現れたせいで、ロレンツォとイザベラが姿を変え、エヴァレットとチャールズが手下みたいなのをどこからか呼び出したのだとヨハネに説明した。


「ロレンツォ公が前々から追っている奴な。泳がせているって言った方が正しいかも。あの女は剣技には優れているが、実力はロレンツォ公の方が上だ」

「倒せるんだったら、さっさとやれよ!!……じいちゃん、見殺しにされたようなもんじゃないか」

「ピエトロの死は想定外。ロレンツォ公を恨むのはお門違い」

「でもっ!!」


 食ってかかろうとすると、隣に座っていたヨハネがゆっくり腰を上げる。


「手当は終わったか?」


と部屋を出てきたレオに向かい、


「こいつ、マジで何も分かってないぞ」


と子供らしくない冷静さで一言言うと、方向転換。
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