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第二章
41.切り落とさればかりの頭部が四つ、ホールの床に落ちていました。取りに戻ってくるかもしれません。
しおりを挟むと言って、死神がサライの襟首を掴んで廊下を引きずっていく。
扉に付いたカードを差し込む場所に骨だらけの手をかざすと、カチッと音がして、取っ手を回すと扉が開いた。
「本来、君の部屋は隣なのだが、家主は不在だ。先に部屋にいてもいいいのだが、感動の再会が薄味になってしまう」
「何、言ってるのか分かんねえよ」
二人掛けのソファーに物のように投げ飛ばされ、サライはそこに丸まる。
ロレンツォは一人がけのソファーに。
「この姿だと、お尻がキチキチで不便だねえ」
と言いながら懐から携帯を取り出し弄り始める。
死神が携帯。
なんともおかしな姿だ。
「戻ればいいじゃねえか。人間の方に」
「これからもう一仕事あるものでね」
それから数時間。
気づいたらエヴァレットが急に部屋にいて、サライが元々着ていた服をソファーに放り投げるようにして置いていった。
ロレンツォには早口で報告。
「切り落とさればかりの頭部が四つ、ホールの床に落ちていました。取りに戻ってくるかもしれません」
「エヴァレット。僕も……」
訴えようとすると、話にならないというように彼は軽く首を降って部屋から消えてしまう。
鳥の巣のような頭をした男やアンジェロと同じく、彼も瞬間移動できる能力があるらしい。
「まあ、落ち着きたまえ」
死神がまずチョコレートを出してくれた。
続いて、カチャカチャと危なっかしい手付きでティーカップを準備しながら紅茶を。
口に含んでも味がしない。
「アンジェロのこと、どうするんだ?窃盗事件をやらかし、絵の警備をしていた人間だって撃たれている。最悪死んでいるかも」
一人がけソファーに戻った死神は、携帯画面から顔を離さず、片手で額の辺りをクルクルと巻く仕草を見せる。
「絵を盗んだのはドブネズミ。銃を発泡したのもドブネズミ。息子はやっていない」
「周りはそうは見ない」
「周り?そんな者などいない。すべて秘匿とされるのだから。イザベラがそう手を打っている。破るなら、その者や企業は徹底的な締め出しを暮らう。ああ、締め出しとは美術業界という狭い範囲を言っているんじゃないよ」
サライは、ロレンツォの息子という特権を全て投げ出したくせにまだ強固に守られているアンジェロという男が憎たらしく思えてきた。
「さあて。そろそろ家主が帰って来た頃かな。行くよ、サライ」
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