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恋の影
このイケメン、何だか様子が変…?
しおりを挟む「……いいんです、僕は。
それより澪さんが大切ですから」
夜景どころの騒ぎではない。
私はそのキザな台詞に昇天しそうになったのだ。
ああ神様……。
ありがとう、ありがとう、ありがとう!オーマイゴッド!
「澪さんの話を祖母から聞かされる度に、僕は胸が高鳴るのを感じていた。こんなに誰かを想う日が来るなんて……幸せですよ」
千鶴さんは涼しげなその目元を優しく細め、私を愛おしそうに見つめてきた。
私の熱い視線と絡まり合い、今にも自分の破裂しそうな鼓動が彼に聞かれてしまいそうだった。
「……あ、そんな。
わ、私も!……私も……千鶴さんのこと、初めて会った日から夢中に……」
あー何どもってんだろ、私!
熱い顔と心臓のドキドキで脳みそ溶けちゃいそうだよ。
「澪さん……その服も、よく似合っていますよ。
とても綺麗だ」
――ドキッ
私の心臓が跳ね上がった。
男の人からそんな風に言われたことが無かったからだ。
「あ、ありがとうございます。
そう言ってもらえて……、
……って、『その服も』?」
私はドギマギしながら答えた後、一抹の疑問に気付いた。
この服以外の服を見せたこと無いのに。
初めて会った日はダサい実習着姿だったし……。
「……ああ、ほら!緑の、可愛い花柄のワンピースですよ。あれも可愛かった。
僕のコレクションです」
千鶴さんは嬉しそうにしながら端正な顔に満面の笑みを浮かべると、なんとも不思議な発言をした。
緑の可愛い花柄のワンピース?
それって、あのワンピースのこと?
凪が借りパクした、あのワンピース?
コレクション?
たくさんの疑問符が私の頭をパンク寸前まで追いやった。
「あ、いただきましたよ?
ベランダに干してあった可愛いワンピース。
僕としたことが、報告が遅れました」
……は?
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