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入学式当日は怒涛のイベントラッシュだった。
1.校門で微笑みの天使とぶつかりリボンを落とす。
2.入学式の新入生代表の言葉を述べる王子と目が合い、微笑まれる。
3.教室から見える中庭の木の上でサボっている未来の騎士団長を見つけお説教をする。
4.荷物で両手が塞がり職員室の扉が開けられず困っているところを担任に助けてもらう。
そして5つ目、
"学園の噴水前の広場でコケて氷の貴公子に抱きつく。"
をヒロインが目の前で達成したのを見届けた。
ゲームでも一日で全員の好感度アップイベントを発生させるためには全員のルートを攻略し、初期のステータスをあげた状態でないと達成は出来なかった。
逆ハールートは全クリ後のお楽しみという事だ。
しかし目の前の彼女は今日一日で全てを達成している。そのうえ何の因果か私はたまたまそれらを全て目の当たりにし達成のスチルを確認出来ていた。
先程までは、わぁ…凄い。プロの技だわ…
なんて呑気に見守っていたが、
目の前の状況にはさすがに焦りを覚える。なぜなら抱きつかれているのは最推しである自分の婚約者様。
抱きついているのが全てを魅了する天下のヒロイン様である。
私が平穏な結婚生活を送るためにはヒロインにはセオドアをスルーしてもらわなければならなかった。
が、目の前で繰り広げられているハグはどう考えても望み通りにはならなかったという証拠でしかなかった。
私の位置からはセオドアの顔は見えない。見えるのはヒロインの表情だけ。
ふと、目があった気がした。
にっこりと瞳が弧を描く。彼女は身体を起こしふんわりと甘えるような可愛らしい表情で上目遣いのままセオドアの顔を見上げている。
本当は、数秒間の出来事だったんだろう。
でもスローモーションのように、ゆっくり時が進む。
自意識過剰かもしれない。目なんてあってもいなかったかもしれない。でも、あの笑みを浮かべた瞳が目に焼き付いて離れない…
あぁ。これが運命か。勝てやしない。
耐えられなくて…
思わず背を向けて走り出す。
帰るためには彼女達の横を通る必要があった。
通り抜けることなんて出来るはずもなくて、用もないのに校舎に向けて走り出す。
セオドアと会える日は少ない。14歳からの2年間で、仲良くなったかと言われるとそのほかの女性陣より喋れるかなって程度だし。
それでも、それでもやっぱり彼は私の婚約者で。
勝てないことを分かっていても。
悔しくて悲しくて…
あぁ。この気持ちが暴走して、レイチェルは悪役令嬢になってしまうのね。
わかる気がする。
でも、今の私にはゲームの彼女とちがう所がある。
それは、ゲームの知識。
ヒロインが攻略する事で彼が幸せになる事を私は知っている。
おい縋って泣き叫んで、彼の宝物に手を出せば切りつけられるのは自分なのだ。
落ち着け、冷静になれ。
それならば。
邪魔者がいなければ攻略は簡単でしょう?
彼が婚約者と自分の恋心の間で板挟みになり苦しむことも無くなる訳だ。
私が舞台から降りる事で彼が幸せになるのであれば、喜んでそうします。
だから、だからどうか私の動きで彼らの距離が縮まるような、己の首を絞めるような事を私にさせないでください。
悪役令嬢というスパイスが足りなくて少しばかり勢いにかけるかもしれないけど。
彼は、本当に本当に素敵な方なのです。
そんなスパイスなんかなくたって、恋に落ちればきっと幸せになれるから。
大切な方なのです。
私はもう降りるから、だから彼に破滅を突きつけられる結末だけは辞めてください。
結局、自分の心を守るために
私はふたつの魂で温めていた恋を心の奥底にしまい込んだ。
1.校門で微笑みの天使とぶつかりリボンを落とす。
2.入学式の新入生代表の言葉を述べる王子と目が合い、微笑まれる。
3.教室から見える中庭の木の上でサボっている未来の騎士団長を見つけお説教をする。
4.荷物で両手が塞がり職員室の扉が開けられず困っているところを担任に助けてもらう。
そして5つ目、
"学園の噴水前の広場でコケて氷の貴公子に抱きつく。"
をヒロインが目の前で達成したのを見届けた。
ゲームでも一日で全員の好感度アップイベントを発生させるためには全員のルートを攻略し、初期のステータスをあげた状態でないと達成は出来なかった。
逆ハールートは全クリ後のお楽しみという事だ。
しかし目の前の彼女は今日一日で全てを達成している。そのうえ何の因果か私はたまたまそれらを全て目の当たりにし達成のスチルを確認出来ていた。
先程までは、わぁ…凄い。プロの技だわ…
なんて呑気に見守っていたが、
目の前の状況にはさすがに焦りを覚える。なぜなら抱きつかれているのは最推しである自分の婚約者様。
抱きついているのが全てを魅了する天下のヒロイン様である。
私が平穏な結婚生活を送るためにはヒロインにはセオドアをスルーしてもらわなければならなかった。
が、目の前で繰り広げられているハグはどう考えても望み通りにはならなかったという証拠でしかなかった。
私の位置からはセオドアの顔は見えない。見えるのはヒロインの表情だけ。
ふと、目があった気がした。
にっこりと瞳が弧を描く。彼女は身体を起こしふんわりと甘えるような可愛らしい表情で上目遣いのままセオドアの顔を見上げている。
本当は、数秒間の出来事だったんだろう。
でもスローモーションのように、ゆっくり時が進む。
自意識過剰かもしれない。目なんてあってもいなかったかもしれない。でも、あの笑みを浮かべた瞳が目に焼き付いて離れない…
あぁ。これが運命か。勝てやしない。
耐えられなくて…
思わず背を向けて走り出す。
帰るためには彼女達の横を通る必要があった。
通り抜けることなんて出来るはずもなくて、用もないのに校舎に向けて走り出す。
セオドアと会える日は少ない。14歳からの2年間で、仲良くなったかと言われるとそのほかの女性陣より喋れるかなって程度だし。
それでも、それでもやっぱり彼は私の婚約者で。
勝てないことを分かっていても。
悔しくて悲しくて…
あぁ。この気持ちが暴走して、レイチェルは悪役令嬢になってしまうのね。
わかる気がする。
でも、今の私にはゲームの彼女とちがう所がある。
それは、ゲームの知識。
ヒロインが攻略する事で彼が幸せになる事を私は知っている。
おい縋って泣き叫んで、彼の宝物に手を出せば切りつけられるのは自分なのだ。
落ち着け、冷静になれ。
それならば。
邪魔者がいなければ攻略は簡単でしょう?
彼が婚約者と自分の恋心の間で板挟みになり苦しむことも無くなる訳だ。
私が舞台から降りる事で彼が幸せになるのであれば、喜んでそうします。
だから、だからどうか私の動きで彼らの距離が縮まるような、己の首を絞めるような事を私にさせないでください。
悪役令嬢というスパイスが足りなくて少しばかり勢いにかけるかもしれないけど。
彼は、本当に本当に素敵な方なのです。
そんなスパイスなんかなくたって、恋に落ちればきっと幸せになれるから。
大切な方なのです。
私はもう降りるから、だから彼に破滅を突きつけられる結末だけは辞めてください。
結局、自分の心を守るために
私はふたつの魂で温めていた恋を心の奥底にしまい込んだ。
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