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終章
116.最期の空
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言葉をぶつけて注意をそらし、
足を掴んで動きを制限する。
当然、今の私に出来ることはそれだけです。
もう、なにもかも限界ですから。
これが、最後の力。
たくさんの命を奪ってきた私ですが、せめて私を助けにきた人くらいは守ってあげたい。
償いのつもりはありません。
贖罪のつもりもありません。
だって、
だって。
私は自分がしてきたことに、
自分が歩んだ道に、
言うほど後悔はしていないようなので。
自分の意思とは関わりなく、私の頬が動きます。
ただしくは、緩みます。
ああ、これが。
ええ、成る程。
「フォルテシアーー貴様っ!」
声を荒げ、目の前の敵から目を逸らすお兄様。
殺さなくても死にそうな私に、その注意の全てを向ける。
実に愚かです。
やはり貴方は領主に向いていません。
何かを、誰かを支配することに向いていません。
私と同じように。
器ではない、ということです。
そこだけは、我ら兄妹、唯一にして明確な共通項でしたね。
私の視界には、チャンドラさんがむくりと、ゆっくりですが立ち上がるのが見えます
。
今度はただ、勝利のために。
一番確実で、それでいて卑劣な方法を。
「この死に損ないがっ!」
げしり、と顔面を足蹴にされます。
最早痛みは感じません。
どうやら、私の終わりはすぐそこまで来ているようです。
地面の冷たさも、顔を擦る靴の感触も何も分かりません。
「そこで大人しくしていろ!」
私に注意を全て向け、叫びます。
先ほどまで『誰』と『何』をしていたのか。
忘却の海に置いて。
「焦らなくても、後で十分可愛がってやるよ。その五体にーー」
そこで、お兄様の言葉は終わりました。
たぶん、その命も。
ばたり、と声もあげることなく。
お兄様は倒れます。
その死顔は安らかとはとても言えませんが。
彼の胸には、赤く煌く包丁が刺さっていました。
深々と。
「お助けいただき、ありがとうございます。フォルテシア様」
「それはこちらの言葉ですよ、チャンドラさん」
私はそう呟くように言って、目を閉じます。
とても、静かです。
先ほどまでの喧騒が消え、
風の音だけが聞こえる。
あぁ、ここは、とてもーー
「心地良い、場所ですね」
仰向けに倒れて良かった、です。
もう一度ど目を開け、景色を感じます。
青い、とても青い空。
全てを飲み込むような、
包み込むような青。
簡素で、
飾り気もなくて。
きっと、今でなくても昨日も一昨日も。
それどころか、いつだってこの空はあったと思うのですが。
何故か特別に愛おしく、価値あるものだと感じてしまいます。
成る程、
なるほど。
そういうことなのですね。
私は、言葉にできない『何か』に納得して、再び目を閉じました。
足を掴んで動きを制限する。
当然、今の私に出来ることはそれだけです。
もう、なにもかも限界ですから。
これが、最後の力。
たくさんの命を奪ってきた私ですが、せめて私を助けにきた人くらいは守ってあげたい。
償いのつもりはありません。
贖罪のつもりもありません。
だって、
だって。
私は自分がしてきたことに、
自分が歩んだ道に、
言うほど後悔はしていないようなので。
自分の意思とは関わりなく、私の頬が動きます。
ただしくは、緩みます。
ああ、これが。
ええ、成る程。
「フォルテシアーー貴様っ!」
声を荒げ、目の前の敵から目を逸らすお兄様。
殺さなくても死にそうな私に、その注意の全てを向ける。
実に愚かです。
やはり貴方は領主に向いていません。
何かを、誰かを支配することに向いていません。
私と同じように。
器ではない、ということです。
そこだけは、我ら兄妹、唯一にして明確な共通項でしたね。
私の視界には、チャンドラさんがむくりと、ゆっくりですが立ち上がるのが見えます
。
今度はただ、勝利のために。
一番確実で、それでいて卑劣な方法を。
「この死に損ないがっ!」
げしり、と顔面を足蹴にされます。
最早痛みは感じません。
どうやら、私の終わりはすぐそこまで来ているようです。
地面の冷たさも、顔を擦る靴の感触も何も分かりません。
「そこで大人しくしていろ!」
私に注意を全て向け、叫びます。
先ほどまで『誰』と『何』をしていたのか。
忘却の海に置いて。
「焦らなくても、後で十分可愛がってやるよ。その五体にーー」
そこで、お兄様の言葉は終わりました。
たぶん、その命も。
ばたり、と声もあげることなく。
お兄様は倒れます。
その死顔は安らかとはとても言えませんが。
彼の胸には、赤く煌く包丁が刺さっていました。
深々と。
「お助けいただき、ありがとうございます。フォルテシア様」
「それはこちらの言葉ですよ、チャンドラさん」
私はそう呟くように言って、目を閉じます。
とても、静かです。
先ほどまでの喧騒が消え、
風の音だけが聞こえる。
あぁ、ここは、とてもーー
「心地良い、場所ですね」
仰向けに倒れて良かった、です。
もう一度ど目を開け、景色を感じます。
青い、とても青い空。
全てを飲み込むような、
包み込むような青。
簡素で、
飾り気もなくて。
きっと、今でなくても昨日も一昨日も。
それどころか、いつだってこの空はあったと思うのですが。
何故か特別に愛おしく、価値あるものだと感じてしまいます。
成る程、
なるほど。
そういうことなのですね。
私は、言葉にできない『何か』に納得して、再び目を閉じました。
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