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2章 第2の婚約者
27.出生の秘密と新婚約破棄
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ゴットファザの話は長かった。
長くて、肩が凝った。
彼の覇者のオーラのせいか、
だらだらとした話し方のせいか。
老人の話は退屈(彼は外見は老人と言う程老いてはいないが)というが正にそれであった。
自分の転生の秘密、という重要事項だったが途中数回眠ってしまった。
そのおかげで、彼の威光の影響は軽減され謎の重圧も大分平気になった。
それにしても、本当に長かった。
足は疲れ、
腰は痛み、
脳は霞み、
睡魔とランデブー。
概要を後で書面にて送付してくれ、そう思ってしまうくらいに。
私としては、この三つのことを知れれば良かった。
『元々のお嬢様、アリシア=ラインバルトが幸せに暮らせるように、この戦乱極まる世界から別の平和な世界へと転生させた』
『アリシア=ラインバルトの肉体は特異体質であり、アルベイスの追加の強化魔法により圧倒的魔力・耐久性を兼ね備えていること』
『ゴットファザ=ラインバルトの目的は7大名家を一国に統合することであり、私はそのための戦力兼政治道具であるということ』
うん、分かりやすい。
スッキリしたね、流石はアリシアちゃん。
私の方も彼に状況を説明する。
転生前の記憶を引き継いでいること、
アリシア=ライバルトの元々の記憶はないこと、
アルベルトは火龍と結託し私を生贄として差し出そうとしていたこと
魔法で火龍を屠ったこと、
ついでにアルベルトを回収してきたこと。
エトセトラ、エトセトラ。
「なるほどな。お互いに状況把握は完了したな」
「そうですね」
「だが、アルベルト回収がおまけとはな。一歩間違っていれば殺していたかもしれない、というところか」
「そうですね」
かつての某お昼番組のように返答する。
長話で単純に疲れたのである。
一度、自室に戻って眠りたい。
あるいは、少し運動をして目を覚ましたい。
自身の出生ーー否、転生に関わる重要事項であろうが、今は眠気が勝る。
「まあいい、過程はどうあれ、十全に目的を果たしているのだ。文句は言うまい。では、『次』にいこうか」
ゴットファザはそう言って、ステテコパンツの横ポケットから一枚の紙を取り出す。
寝ぼけ眼、
舟漕ぎしまくりで、
夢うつつな私に乱雑な動作で手渡す。
「これが、アルベルトの『次』の婚約相手だ」
写真に映る男は、私を現実世界に引き戻すには十分すぎるビジュアルだった。
残念ながら、悪い意味で。
恰幅がいい、ぽっちゃり系といった表現では余りある、劣悪すぎるアスペクト比(無論、横方向に広い、という意味である)。
尊大な態度が見て取れる、爽やかさのかけらのない表情。
端正、という言葉から程遠い、神さまの失敗作のような顔の造形。
先のアルベルトとは真逆な、圧倒的に劣悪で醜悪なデザイン。
それに、先ほどゴットファザはおかしな言葉を言っていなかったか?
次の『××××』と。
呆けていたから、記憶が曖昧だ。
次の何なんだろう。
駆除対象かな、火龍の次の駆除対象。
……うん、文脈的には問題はない。意味は通る。
「おい、返事はどうした?彼がアルベルトの次の『婚約相手』だ」
再度、ゴットファザは私に伝える。
聞き逃せないように、キーワード部分を強調していった。
「彼は序列が我々より上だ。その点を注意しつつ、うまくやるがいい」
「いや、それは、ちょっと」
この男と婚約、形だけでも嫌である。
会って話をするだけでも嫌である。
視界に入れたら4秒以内に消し炭にしてしまう自信もある。
この時点で婚約破棄だ。
今度は、私から。
……そうだ、ゴットファザ本人を消し炭にしてしまえばいいじゃないか。
そうすれば、この話は終わる。
領主代行として表向きはアルベルトに仕切らせて、裏で私と有能使用人の二人で操作すればいい。
うん、そうしよう。
それでハッピーエンド。
めでたし、めでたしだ。
私はそんな危険思想を思いつくと、ゴットファザに向けて指を向けた。
寝起きの頭で考えた、その場の思いつきの方針。
だが、思いついたが吉日である。
「ばいばい、お父様」
アリシア=ラインバルトは、父親殺しをし、幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
ナレーションを心中で入れつつ、私は意識を集中させる。
そして私は指を振り、彼の世界を閉じた、
長くて、肩が凝った。
彼の覇者のオーラのせいか、
だらだらとした話し方のせいか。
老人の話は退屈(彼は外見は老人と言う程老いてはいないが)というが正にそれであった。
自分の転生の秘密、という重要事項だったが途中数回眠ってしまった。
そのおかげで、彼の威光の影響は軽減され謎の重圧も大分平気になった。
それにしても、本当に長かった。
足は疲れ、
腰は痛み、
脳は霞み、
睡魔とランデブー。
概要を後で書面にて送付してくれ、そう思ってしまうくらいに。
私としては、この三つのことを知れれば良かった。
『元々のお嬢様、アリシア=ラインバルトが幸せに暮らせるように、この戦乱極まる世界から別の平和な世界へと転生させた』
『アリシア=ラインバルトの肉体は特異体質であり、アルベイスの追加の強化魔法により圧倒的魔力・耐久性を兼ね備えていること』
『ゴットファザ=ラインバルトの目的は7大名家を一国に統合することであり、私はそのための戦力兼政治道具であるということ』
うん、分かりやすい。
スッキリしたね、流石はアリシアちゃん。
私の方も彼に状況を説明する。
転生前の記憶を引き継いでいること、
アリシア=ライバルトの元々の記憶はないこと、
アルベルトは火龍と結託し私を生贄として差し出そうとしていたこと
魔法で火龍を屠ったこと、
ついでにアルベルトを回収してきたこと。
エトセトラ、エトセトラ。
「なるほどな。お互いに状況把握は完了したな」
「そうですね」
「だが、アルベルト回収がおまけとはな。一歩間違っていれば殺していたかもしれない、というところか」
「そうですね」
かつての某お昼番組のように返答する。
長話で単純に疲れたのである。
一度、自室に戻って眠りたい。
あるいは、少し運動をして目を覚ましたい。
自身の出生ーー否、転生に関わる重要事項であろうが、今は眠気が勝る。
「まあいい、過程はどうあれ、十全に目的を果たしているのだ。文句は言うまい。では、『次』にいこうか」
ゴットファザはそう言って、ステテコパンツの横ポケットから一枚の紙を取り出す。
寝ぼけ眼、
舟漕ぎしまくりで、
夢うつつな私に乱雑な動作で手渡す。
「これが、アルベルトの『次』の婚約相手だ」
写真に映る男は、私を現実世界に引き戻すには十分すぎるビジュアルだった。
残念ながら、悪い意味で。
恰幅がいい、ぽっちゃり系といった表現では余りある、劣悪すぎるアスペクト比(無論、横方向に広い、という意味である)。
尊大な態度が見て取れる、爽やかさのかけらのない表情。
端正、という言葉から程遠い、神さまの失敗作のような顔の造形。
先のアルベルトとは真逆な、圧倒的に劣悪で醜悪なデザイン。
それに、先ほどゴットファザはおかしな言葉を言っていなかったか?
次の『××××』と。
呆けていたから、記憶が曖昧だ。
次の何なんだろう。
駆除対象かな、火龍の次の駆除対象。
……うん、文脈的には問題はない。意味は通る。
「おい、返事はどうした?彼がアルベルトの次の『婚約相手』だ」
再度、ゴットファザは私に伝える。
聞き逃せないように、キーワード部分を強調していった。
「彼は序列が我々より上だ。その点を注意しつつ、うまくやるがいい」
「いや、それは、ちょっと」
この男と婚約、形だけでも嫌である。
会って話をするだけでも嫌である。
視界に入れたら4秒以内に消し炭にしてしまう自信もある。
この時点で婚約破棄だ。
今度は、私から。
……そうだ、ゴットファザ本人を消し炭にしてしまえばいいじゃないか。
そうすれば、この話は終わる。
領主代行として表向きはアルベルトに仕切らせて、裏で私と有能使用人の二人で操作すればいい。
うん、そうしよう。
それでハッピーエンド。
めでたし、めでたしだ。
私はそんな危険思想を思いつくと、ゴットファザに向けて指を向けた。
寝起きの頭で考えた、その場の思いつきの方針。
だが、思いついたが吉日である。
「ばいばい、お父様」
アリシア=ラインバルトは、父親殺しをし、幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
ナレーションを心中で入れつつ、私は意識を集中させる。
そして私は指を振り、彼の世界を閉じた、
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