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2章 赤ちゃんと孤児とオークキング
第32話 命大事に
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拝啓、ネネちゃん、美子さんへ
何を書いたらいいんだろう?
もしかしたら死ぬこともあるので、弟子達と大切な人に手紙を書いておこう、という事になった。
3人は誰宛に書けばいいのか悩んでいるけど……。
もしかしたら死ぬこともあるので、と書いたけど絶対に死にません。ボクは死にましぇ~ん。
美子さん。
初めて出会った時、漫画の話で盛り上がったね。異世界に来てから漫画の続きを読んでないけど、もうそろそろ最終巻になるんじゃないかな? もし俺が死んだら、たぶん日本へ帰っているので先に読んで待ってるね。そして歳をとって日本に戻って来た美子さんにネタバレしてあげる。
いや、死ぬ前提で書いたけど、死なねぇーよ。もし死んだとして、日本に帰っているだけだから、そんなに悲しまないで、みたいな事を書いているだけでござんす。
ネネちゃん。
君に会えてパパは、すごくすごく嬉しい。
君が生きていること、君が成長することがパパにとって1番の幸せです。
足の爪先から、頭のテッペンまで愛してるよ。
早くパパって呼んでほしいな。先にママを呼ぶのかな?
帰って来たら、いっぱいギューさせてね。愛してるよ。
◻︎◻︎◻︎
死ぬかもしれない。
だけど俺達はオークキングを倒せると思っていた。俺のサポート特化のスキルもあるし、アイリの植物召喚もある。それにマミはチートなのだ。一撃でオークを倒せるのだ。クロスだって不意打ちをつけるスキルを持っていた。
オークキングの事を舐めていた訳じゃない。もしかしたら死ぬかもしれない程度には思っていた。だけど本当に死ぬとは思っていない。
カンカン、と警戒を促す鐘の音が鳴り響く。
『オークキングが迫って来ております。ただちに冒険者達は正門前に集まってください』
スピーカーのように声を大きくスキルを誰かが持っているらしい。その声は国中に響き渡り、繰り返された。
「絶対に無茶な戦いはしたらダメだ」と俺は弟子達に言った。
カンカン、と警告音の鐘の音が鳴り響いている。
「命大事に」と俺が言う。
うん、と3人が頷く。
「特にクロス。死にに行くような事は絶対にするな。負けると思ったら逃げろ」
と俺が言う。
「でもオークキングが、この国を滅ぼすかも」とクロスが言った。
「俺達だけが戦うんじゃない。それに瀕死の状態になったら足手まといだ。それだったら逃げた方がいい」と俺が言う。
うん、と3人が頷く。
そして俺達は正門に向かった。
門に近づいて行くにつれ、地鳴りのような地響きのような音が聞こえた。
正門前には冒険者達が集まっていた。
だけど思っているより、全然少ない。20~30人程度。
馬に乗った騎士団の方が多い。
彼等は似たような白い甲冑を着ていた。だけど武器はそれぞれ違う。剣や杖や斧や槍。
「集まった冒険者はコレだけか?」と騎士団の1人が聞いた。
騎士団の言葉で、これから冒険者が集まるのではなく、これで集まっているのだとわかった。
オークが入って来ないように門が閉められた。俺達が外から国に入る事は許されない。
もしかしたらオークが入って来ないようにじゃなくて、俺達の事を逃がさないために門が閉められたのかもしれない。
「冒険者諸君、よく集まってくれた」と隊長のような髭もじゃの騎士団員が言った。
「この戦いは家族や友や恋人を守る戦いである。我々が負ければ国はオークキングに食い尽くされ、跡形も残らないだろう」
森の奥深くから大きな怪獣が向かって来るような地響きが聞こえる。
「家族を守るため、友を守るため、恋人を守るため、我々はココに立っている」
と隊長が鼓舞した。
その言葉は冒険者達だけに向けられた言葉ではなく、騎士団達にも向けられていた。
「我々はココで死ぬかもしれない」と隊長は言った。
「死の恐怖に逃げ出したくなったら、門の中にいる大切な人の顔を思い出してほしい。コレは諸君等の大切な人を守る戦いなのだ」
隊長は何度も大切な人を守る戦い、と発言した。
地響きがする。砂煙が舞っている。
「冒険者諸君は門を守ってくれ。我々、騎士団はオークキングの討伐に向かう」と隊長が言った。
「コレは大切な人を守る戦いぞ。命をかけてもオークキングをココで討ち取るぞ」
と隊長が叫んだ。
おぉー、と騎士団達が声を張り上げた。
そして彼等は死地に向かった。
クロスが死地に向かう騎士団を真っ直ぐ見ていた。
俺は3人の頭を撫でた。
金箔のような光が3人に降り注いだ。
「命大事に」と俺は呟いた。
何を書いたらいいんだろう?
もしかしたら死ぬこともあるので、弟子達と大切な人に手紙を書いておこう、という事になった。
3人は誰宛に書けばいいのか悩んでいるけど……。
もしかしたら死ぬこともあるので、と書いたけど絶対に死にません。ボクは死にましぇ~ん。
美子さん。
初めて出会った時、漫画の話で盛り上がったね。異世界に来てから漫画の続きを読んでないけど、もうそろそろ最終巻になるんじゃないかな? もし俺が死んだら、たぶん日本へ帰っているので先に読んで待ってるね。そして歳をとって日本に戻って来た美子さんにネタバレしてあげる。
いや、死ぬ前提で書いたけど、死なねぇーよ。もし死んだとして、日本に帰っているだけだから、そんなに悲しまないで、みたいな事を書いているだけでござんす。
ネネちゃん。
君に会えてパパは、すごくすごく嬉しい。
君が生きていること、君が成長することがパパにとって1番の幸せです。
足の爪先から、頭のテッペンまで愛してるよ。
早くパパって呼んでほしいな。先にママを呼ぶのかな?
帰って来たら、いっぱいギューさせてね。愛してるよ。
◻︎◻︎◻︎
死ぬかもしれない。
だけど俺達はオークキングを倒せると思っていた。俺のサポート特化のスキルもあるし、アイリの植物召喚もある。それにマミはチートなのだ。一撃でオークを倒せるのだ。クロスだって不意打ちをつけるスキルを持っていた。
オークキングの事を舐めていた訳じゃない。もしかしたら死ぬかもしれない程度には思っていた。だけど本当に死ぬとは思っていない。
カンカン、と警戒を促す鐘の音が鳴り響く。
『オークキングが迫って来ております。ただちに冒険者達は正門前に集まってください』
スピーカーのように声を大きくスキルを誰かが持っているらしい。その声は国中に響き渡り、繰り返された。
「絶対に無茶な戦いはしたらダメだ」と俺は弟子達に言った。
カンカン、と警告音の鐘の音が鳴り響いている。
「命大事に」と俺が言う。
うん、と3人が頷く。
「特にクロス。死にに行くような事は絶対にするな。負けると思ったら逃げろ」
と俺が言う。
「でもオークキングが、この国を滅ぼすかも」とクロスが言った。
「俺達だけが戦うんじゃない。それに瀕死の状態になったら足手まといだ。それだったら逃げた方がいい」と俺が言う。
うん、と3人が頷く。
そして俺達は正門に向かった。
門に近づいて行くにつれ、地鳴りのような地響きのような音が聞こえた。
正門前には冒険者達が集まっていた。
だけど思っているより、全然少ない。20~30人程度。
馬に乗った騎士団の方が多い。
彼等は似たような白い甲冑を着ていた。だけど武器はそれぞれ違う。剣や杖や斧や槍。
「集まった冒険者はコレだけか?」と騎士団の1人が聞いた。
騎士団の言葉で、これから冒険者が集まるのではなく、これで集まっているのだとわかった。
オークが入って来ないように門が閉められた。俺達が外から国に入る事は許されない。
もしかしたらオークが入って来ないようにじゃなくて、俺達の事を逃がさないために門が閉められたのかもしれない。
「冒険者諸君、よく集まってくれた」と隊長のような髭もじゃの騎士団員が言った。
「この戦いは家族や友や恋人を守る戦いである。我々が負ければ国はオークキングに食い尽くされ、跡形も残らないだろう」
森の奥深くから大きな怪獣が向かって来るような地響きが聞こえる。
「家族を守るため、友を守るため、恋人を守るため、我々はココに立っている」
と隊長が鼓舞した。
その言葉は冒険者達だけに向けられた言葉ではなく、騎士団達にも向けられていた。
「我々はココで死ぬかもしれない」と隊長は言った。
「死の恐怖に逃げ出したくなったら、門の中にいる大切な人の顔を思い出してほしい。コレは諸君等の大切な人を守る戦いなのだ」
隊長は何度も大切な人を守る戦い、と発言した。
地響きがする。砂煙が舞っている。
「冒険者諸君は門を守ってくれ。我々、騎士団はオークキングの討伐に向かう」と隊長が言った。
「コレは大切な人を守る戦いぞ。命をかけてもオークキングをココで討ち取るぞ」
と隊長が叫んだ。
おぉー、と騎士団達が声を張り上げた。
そして彼等は死地に向かった。
クロスが死地に向かう騎士団を真っ直ぐ見ていた。
俺は3人の頭を撫でた。
金箔のような光が3人に降り注いだ。
「命大事に」と俺は呟いた。
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