エロ異世界で愛は叫ばない

大好きと言ってはいけない

僕の名前はルド（10歳）

体の弱い母さんと気の強い姉さん
僕との3人暮らし

母さんはベットの上でいつも寝ている
以前は起き上がれていたけれど今はずっと寝ている

姉ちゃんがご飯をくれる
姉ちゃんが洗濯をしてくれる
姉ちゃんが働いてお金を稼いでくれる

ある日姉ちゃんが喋らなくなった

姉ちゃんが怒っている
姉ちゃんが叫んでる
姉ちゃんが泣いている

母さんは謝りながら泣く
僕はどうしていいのか分からない


僕は外に飛び出し広場に向かって走る
はぁ………はぁ………はぁ………
わからない感情が湧き上がる
走る、走る、走る
僕がいるから姉ちゃんは泣くの？
はぁ………はぁ………はぁ………
どうしたらいいの？
はぁ………はぁ………はぁ………

広場についたけど1人でいるのは僕だけだ

目の前に大きな影が伸びてくる
大きな影に手を繋がれている小さな影

うっうっ…うっうっうっ…

父さん、父さん、父さん
父さんの肩ぐるま
父さんとお風呂
父さんの温かい手
父さんがいなくなってから家がとても寒いよ
寒くて寒くて僕は涙が出る

母さんも姉ちゃんも笑わなくなった
寒い部屋に１人はイヤだ





父さんが空にいって1年過ぎた
父さんの妹、叔母さんが遊びに来た

叔母さんが僕を見るなり、あの男に益々似てきていると舌打ちをする。お前のせいで兄さんがどれだけ苦労したか知らないだろう
お前はサリーにも似ていない
あ～やだやだ

よくお聞き
ルド、お前の本当の父さんはジョン（兄）
じゃない

ジョンとサリー（母）は愛し合って結婚したのさ。でも子宝に恵まれず、2年後やっと妊娠して待望の子供を産む。それがナタリーだ！

ナタリーが今のお前と同じ10歳の時、母サリーが攫われた

隣町に住むトビーは母サリーに恋慕していた
結婚しても諦めきれずジョンの不在を狙って攫ったのさ

ジョンはサリーを見つけ決闘で勝ちサリーを連れ帰った
その時にはもう…サリーのお腹の中にはお前がいたのさ
サリーは絶望して日に日に弱っていく
そんなサリーにジョンは腹の子は俺の子だ
俺の愛するサリーが産む子は絶対に可愛いぞ
どんな事が起こっても俺はサリーを愛してる
サリー笑ってくれ
ほら笑え。俺のために笑ってくれ

そんな場面を見て私は涙が出たよ

献身的なジョンの支えもあってサリーは回復して無事に子を産んだ

ナタリーも色んな思いがあるけれど弟の面倒をよく見ていたよ

ジョンが病に倒れ空に行ってしまった後、お前の父親であるトビーはサリーを連れ去ろうとしていた
トビーがジョンの家に入った瞬間、女神の誓いが発動したのさ

トビーは愛人契約違反として捕まり下男にされ
2度とこの街には戻って来れない

お前の父親はサリーにしか興味がなかったのさ

空に行ったジョンはサリーを守るために誓いを家にかけていたのさ
苦しかっただろうに家族を守るため最後の気力を振り絞り叫んだジョンを誇りに思う

子に罪はないけれど知っとくべきだ！
サリーの苦しみをナタリーの苦悩を


僕は家を飛び出した
父さんは父さんじゃなかった
母さんは母さん
姉ちゃんは半分姉ちゃん？

父さんと母さんと姉ちゃんは家族

じゃあ僕は？
僕の存在は目の上の瘤？

母さんを攫った実の父さんは僕に会いには来なかった。僕じゃなく母さんを求めた
僕は…ハァ…ハァ…ハァハァハァハァ
息が……息が出来ない……
走るのを止めて地面に膝をつく
ハァハァハァハァハァハァハァハァ
苦しい…
倒れそうになった時に
僕を抱きしめてくれる手があった

ゆっくり息を吸いなさい
大丈夫よ
女性の声が聞こえる

慌てないで、そう、ゆっくりよ
…上手ね

ゲボゲボゲボゲボゲボゲボ
大丈夫、大丈夫

苦しいと思うけどスグに良くなるわ
ゲボゲボゲボ

ヒューヒュー
喉から変な音がする
女性は僕の口の中に何かを入れる

しゅわ～
爽やかな味が広がる
気持ち悪かった気持が薄らいでいく
喉も苦しくない。お礼をいわなきゃいけない

ありがとう

顔を上げるとピンクブロンドの美しい女の人と目があった