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恋ってウソだろ?! 86
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一体誰にどう、説明すればいいのか。
しかも沢村の携帯から。
自分の携帯をスタジオに置いてきたことは、あそこにいた連中なら知っているかもしれない。
いやもう、とっくにスタジオなど出ているはずで。
いい加減、頭の中でぐるぐるした挙句、佐々木はやはりこいつしかないと覚えていた相手の携帯番号を押した。
「はい、西口ですが」
だが、電話をしたものの、全くどう言い訳したらいいのか思いつかない。
「あ、浩輔……俺……」
「あ、佐々木さん! 大丈夫ですか? 具合悪いんですか?」
心配したのだろう、浩輔の声がテンションが高い。
「あ、いや、……せやなくて……ちょっと事情あって」
歯切れが悪い佐々木の返事にも、よかったと、ほっとしたようすが伝わってくる。
「だって、バッグも携帯もジャケットも置きっぱなしだったから、もう何があったかって心配で。あ、俺預かってますから、またオフィスに届けます。こっちは無事滞りなく終わりましたから、ご心配なく」
「ああ、ええよ、俺が取りに行く。悪いな、心配かけて……ってより、ほんま、すまん、仕事中に……」
「いえ、だって、佐々木さん、俺にやれって言ってたのにやっぱ頼りなくて、忙しいのにわざわざ来てくれたんでしょ? あ、でも、沢村さんが佐々木さん追いかけるみたいに出てっちゃって戻ってこられなかったんで、また、時間取っていただかないと…」
「あ、ああ、わかった。すまんかったな、浩輔……」
「いえいえ、え? ちょっと待って……藤堂さんが、え、何ですか? 二人を邪魔しちゃいけないって、え? 二年前のお返しだからって言っておけって、何? 二年前って…………………えええええっ!?」
佐々木は浩輔が何を考えたのかがわかって、恥ずかしさでカッと頭に血が上り、携帯を切ってしまった。
でも、藤堂さん、浩輔は河崎の仕事で都合が悪くなったて言うてなかったか? …一体?
「藤堂にはさっき連絡しといた」
佐々木は沢村を振り返る。
「あと、あんたの事務所の女の子にも」
「はあ? な……んて……??!」
言葉が見つからないまま、パニクった頭で佐々木は沢村を見つめる。
「いや、あんたは俺のとこにいるから心配しなくていいって」
「名乗ったのか?! ナオちゃんに?」
呆れてものが言えないとはこのことだ。
「いや、でも、よろしくお願いします、沢村さんって、わかってたみたいだぜ? あの子」
がっくりと佐々木は大きくため息をついた。
「ああそれと、納会はうまく言っておきますからって伝えてくれって」
「ああ、……そう、納会、あったんや……」
そんなことさえ忘れるほど、しかもこんな時間になるまで、夢中になってましたなんて、誰に言えるかって!
「おかしいと思ったんだ、あんなとこにマリオンがいきなり現れるなんて」
悔しそうに沢村が呟いた。
「藤堂のやつ、わざと彼女、呼んだんだ」
「何で………」
すると沢村はニヤリと笑う。
しかも沢村の携帯から。
自分の携帯をスタジオに置いてきたことは、あそこにいた連中なら知っているかもしれない。
いやもう、とっくにスタジオなど出ているはずで。
いい加減、頭の中でぐるぐるした挙句、佐々木はやはりこいつしかないと覚えていた相手の携帯番号を押した。
「はい、西口ですが」
だが、電話をしたものの、全くどう言い訳したらいいのか思いつかない。
「あ、浩輔……俺……」
「あ、佐々木さん! 大丈夫ですか? 具合悪いんですか?」
心配したのだろう、浩輔の声がテンションが高い。
「あ、いや、……せやなくて……ちょっと事情あって」
歯切れが悪い佐々木の返事にも、よかったと、ほっとしたようすが伝わってくる。
「だって、バッグも携帯もジャケットも置きっぱなしだったから、もう何があったかって心配で。あ、俺預かってますから、またオフィスに届けます。こっちは無事滞りなく終わりましたから、ご心配なく」
「ああ、ええよ、俺が取りに行く。悪いな、心配かけて……ってより、ほんま、すまん、仕事中に……」
「いえ、だって、佐々木さん、俺にやれって言ってたのにやっぱ頼りなくて、忙しいのにわざわざ来てくれたんでしょ? あ、でも、沢村さんが佐々木さん追いかけるみたいに出てっちゃって戻ってこられなかったんで、また、時間取っていただかないと…」
「あ、ああ、わかった。すまんかったな、浩輔……」
「いえいえ、え? ちょっと待って……藤堂さんが、え、何ですか? 二人を邪魔しちゃいけないって、え? 二年前のお返しだからって言っておけって、何? 二年前って…………………えええええっ!?」
佐々木は浩輔が何を考えたのかがわかって、恥ずかしさでカッと頭に血が上り、携帯を切ってしまった。
でも、藤堂さん、浩輔は河崎の仕事で都合が悪くなったて言うてなかったか? …一体?
「藤堂にはさっき連絡しといた」
佐々木は沢村を振り返る。
「あと、あんたの事務所の女の子にも」
「はあ? な……んて……??!」
言葉が見つからないまま、パニクった頭で佐々木は沢村を見つめる。
「いや、あんたは俺のとこにいるから心配しなくていいって」
「名乗ったのか?! ナオちゃんに?」
呆れてものが言えないとはこのことだ。
「いや、でも、よろしくお願いします、沢村さんって、わかってたみたいだぜ? あの子」
がっくりと佐々木は大きくため息をついた。
「ああそれと、納会はうまく言っておきますからって伝えてくれって」
「ああ、……そう、納会、あったんや……」
そんなことさえ忘れるほど、しかもこんな時間になるまで、夢中になってましたなんて、誰に言えるかって!
「おかしいと思ったんだ、あんなとこにマリオンがいきなり現れるなんて」
悔しそうに沢村が呟いた。
「藤堂のやつ、わざと彼女、呼んだんだ」
「何で………」
すると沢村はニヤリと笑う。
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