中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

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第58話 ごほうび

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 背中がゾワッとしたが、原因はわからなかった。
 とにかく、魔王もどきはテイムできた。
 こんなものをテイムしても仕方ないのだが、これからどうしよう?
「おまえ、触手を減らしてなるべく小さくなってみろ」
 軟体動物っぽいのでムチャは承知で注文をつけてみた。
 
 すると、みるみる触手が減っていき、本体が見えてきた。
 本体はどうやら本当にタコのような姿をしていた。
 大きさも変更できるようで、手のひらサイズのタコになった。
 これなら一緒に行動しても問題ないだろう。
「キュー」
 鳴いているが見た目がタコなのでかわいくはない。
 ひょっとこのような顔で「キュー」と言われてもおちょくっているようにしか見えない。

「あら、アーサー、これかわいいじゃない」
 サルビアは気に入ったらしい。
「アーサー、これって?」
「ああ、さっきの魔王もどきだよ」
「こんなに小さくなるんですね。それより、魔王もどきとはどういうことですか?」
「僕もよくはわからないけど、鑑定したら書いてあったよ」
「魔王にもどきがいるんですね。前回の魔王はもどきではなかったのでしょうか?」
「どうだろうな。あの時は必至だったから鑑定してないんだよね」
「そうでしたか。これからは戦う前に鑑定をする習慣を身に付けるといいかもしれませんね」
「そうだね。次は気を付けるよ」

 まじめな話をしているのにサルビアは横で魔王もどきと遊んでいた。
 絶対話は聞いていないだろう。
 まぁ、サルビアが話を聞いていても理解していない可能性が高いから意味はないんだけどね。
 でも、腹立つな。
 あとで、イジワルしてやろう。

 それにしても、今回はかなり冒険したな。
 レベル千に痛覚無効だもんな。
 サルビアが来なかったら呼吸ができずに死んでいただろう。
 呼びに行ってくれた近衛騎士にも感謝だな。
 ナイス判断!

 自分を鑑定してみると、おそろしいことに『ピュア』のレベルが1000になっていた。
 自己暗示最強すぎる。
 催眠術のスキルを持っている人はもれなくレベルとスキルいじり放題なんて……。
 宰相がこの方法に気づかなくて助かったな。
 これを宰相が行っていたら絶対に勝てなかった。

 でも、あれだけショコラが精神支配系のスキル持ちを探しても見つからなかったからかなりのレアスキルなんだろう。
 サリューム王国のあらゆる人材が集められている王城内で見つけられなかったのだから、おそらくサリューム王国内にはいないと思っていいだろう。
 逆に考えて、こんなチートスキルがはびこっていたらもっと混沌とした世界になっているはずだ。
 宰相クラスのレアな人材にしか発現しないスキルなんだと割り切ろう。
 
 鑑定結果で驚かされたのはレベルだけでなく、スキルにも驚かされた。
 100個くらいのスキルが全てカンスト状態で投げ込まれていた。
 スキルの発動時間内に全て読むのが難しかったため、把握できなかった。
 どうせ、使いこなせないし、まとめて『ピュア』に『合成』しておいた。
 おそらく、バトルをはじめ、色々な場面で活躍してくれるだろう。
『剣聖』と『賢者』を取った時点でバトルは死角がない。
 今回のように痛覚無効などのバフも『ピュア』でできることがわかった。

 パッシブスキルは勝手に発動してくれるので、恩恵だけいただこう。
 アクティブスキルは沢山あっても使いこなせないので、使えそうなものだけ覚えておいた。
 どちらかというと、スキルより僕の体に問題がある。
 今回は体力切れや痛みで動けなかったりと、準備不足からの問題が浮き彫りになった。
 これらは一朝一夕には解決しないので、少しずつトレーニングをするしかない。
 
 あれだけ嫌っていたトレーニングをする気になっているのだ。
 これだけでも大きな成長と言える。
 
「さて、片付けは城の者に任せて僕たちは帰ろうか」
「そうですね。少し疲れましたので、今日はもう寝たいです」
「そうだね。ガーベラはほんとによくがんばってくれたよ。ありがとう」
「いえ、当然のことです。それに、最後のアーサーはかっこよかったですよ?」
 やった!
 美少女にかっこよかったって言ってもらえる日が来るなんて!
 思わずニヤけてしまった。

「あら? そんなにガーベラに褒めてもらったのがうれしかったの? 私もかっこよかったと思うよ!」
 と、言いながらサルビアはほっぺにキスをしてくれた。
 う、うれしすぎる!
 こんな日が来るなんて!

 ガーベラもサルビアもアイリスも半ば無理やり婚約者にしたからか、それほど僕のことが好きではないのかと思っていた。
 こんなに歓迎されていたなんて、初めて知った。
 うれしすぎる!
 
「神よ! 僕をこの世に生んでくれてありがとう!」
 暗に転生の事を大声で感謝してみた。
 どこからか「へへっ」と聞こえた気がした。
 あたりを見回したが姿はなかった。

「もう、アーサーったら大げさですよ? それくらいなら私もできます」
 ガーベラも反対側のほっぺにキスしてくれた。
 ああ、もう、死んでもいいかもしれない!
「ねぇ? アーサーは大げさだね。あはは」
 サルビアは快活に笑っていた。
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