10 / 63
第10話 派生スキル
しおりを挟む
女郎蜘蛛はさっきの戦闘で倒し終わっていたらしい。
ボス戦に参加どころか、見ることすらできなかった僕はモブであると実感した。
ダンジョンの帰り道で少しスキルについて質問してみた。
「ねえ、ガーベラは『剣聖』スキルのレベルがすごいことになってるけど、それは、コツコツ上げたの? すごいね。どれくらいの時間がかかるの?」
「コツコツ上げたことは間違いないですが、これはスキル合成をしているからですよ」
「スキル合成? ごめん。聞いたこともないや」
「一度私が教えたので、そんなはずは無いと思うんですけど……」
やべ、聞いてなかったのバレる。
「教えてくれYO!オレもスキル合成したいZE!」
サイト! ナイス。
助かった。
「わかりました。スキル合成とはその人の代表的なスキルにほかのスキルを合成することです。スキルレベルが10になったら合成できます」
「すごいNE! 合成するとどんないいことがあるの? フゥー!」
「合成すると、派生スキルが生まれやすくなります。でも、いつ派生するかはわからないので、定期的に鑑定してもらった方がいいですね」
ああ、鑑定なんて生まれた時以来してねーや。
僕には関係のない世界だと思ってたから、スキル合成の話も聞いてなかったんだな。
「どうですか?帰りに鑑定してもらいますか?」
「いいNE!ゴートゥーヘブン!」
死んでますよ……。
「わかりました。行きましょう」
絶対わかってないよね?
天国だよ?
まぁ、鑑定くらいならいいか。
ダンジョンを出てからはすぐに冒険者ギルドで報告を済ませて、鑑定屋にきた。
中には怪しげなフードを被った女性がいた。
よく見たら、僕が生まれた時に鑑定してくれた人だった。
「いらっしゃいませ。今日は鑑定ですか? 合成ですか?」
「ひとまず鑑定をお願いします」
「わかりました。鑑定して欲しい方はこちらにおかけください」
旅装だからか、王族とは気づいていないようだ
「それじゃ、僕から」
椅子に座ると、額に手を当てて『鑑定』と呟いた。
すると、急に女性の表情が険しくなる。
そして、その場に土下座した。
「失礼いたしました。王子様であられたのですね。知らなかったこととは言え、すいませんでした」
「あ、いいよ。僕は王子の自覚ないから。それより、どうしてわかったの?」
相手が土下座してる時だけ偉そうにできる!
完全なる小物感。
「それは、『ピュア』のスキルを見て思い出しました」
「なるほど、僕のスキルはそんなに珍しいのかな?」
「はい、それは、もう。長くこの仕事をやってますが、お一人だけです」
「へぇ。それで、鑑定の結果はどうだったの?」
「はい。『ピュア』がレベル5、『ドラゴンハート』がレベル1です。あと、派生スキルとして『催眠術』がレベル1です」
「おお、派生してたんだ!どんな効果なの?」
「申し上げにくいのですが、『ピュア』と同じようなことしか書いていなく、『相手の心を動かすアクティブスキル』としか書いていません」
まさかのダブり?
まあ、いいや、あとで試そう。
「わかったよ。次はどっちにする? 先にガーベラ行ってみようか」
好きなものは最後に食べる派だ。
ガーベラのスキルレベルは予想ついてるしね。
何も起こらんだろ。
「かしこまりました。それでは、お願いします」
「はい」『鑑定』
彼女はまたもや土下座をした。
「剣聖様でしたか。ご容赦下さい」
「王子より身分は下です。気にしないで下さい」
「かしこまりました。結果ですが、『剣聖』654です。派生スキルはありませんでした」
「あのー、ガーベラさん? 聞いてたレベルと大きく違いますね?」
「すいません。多すぎて把握できないんですぅ」
困った顔のガーベラも可愛い。
やっぱり美少女は正義だ!
「いいよいいよ。さ、最後はサイト様だね」
「イェース!よろしくたのんまぁーっす!イェー!」
「大丈夫ですか?」
鑑定屋は心配している。
「あ、はい、大丈夫なんで、鑑定お願いします」
このやり取り久しぶりに見たな。
「それでは、『鑑定』」
「どうでした?」
またもや土下座する。
「勇者様でしたか。失礼いたしました」
確かにさっきのは失礼かもね。
「構わないさ!ノッてけYO!発表カモーン!」
「はい。まず『勇者』は1のまま、『剛剣』が8『乱魔』が5『瞬光』は10です派生スキルはありません」
めちゃくちゃ上がったね……。
20回レベルアップの音が鳴ったわけで20まで上がったわけではないのね。
だからこんなに上がってるのか。
『瞬光』なんて10になってるし。
「合成もしますか?」
「おねがいするYO!」
「承知しました。『勇者』に合成でよかったですよね?」
『合成』「できました」
「このまま合成しなかったらどうなってたんですか?」
一応、聞いてみる。
「何も起こりません。そのままです。合成すると、ベースになるスキルに合成分のレベルが上乗せされます。もちろん能力も上乗せです。だから合成した方がお得なんですよ。何も問題なければ合成した方がいいです」
「『勇者』や『剣聖』をベースのスキルにするのはわかるんですけど、僕の場合は『ドラゴンハート』がベースになりますか?」
「いえ、『ドラゴンハート』は特殊なスキルでベースにはできません。王族専用スキルですので。例えば、『ドラゴンハート』をお持ちの方が婚姻等で王族でなくなった場合はスキルが消えます。消えるかもしれないスキルをベースにする方はいませんね」
「なるほど。よくわかりました。それじゃあ、僕はどれをベースにすればよいのでしょうか?」
「『ピュア』ですね。『催眠術』はあくまで派生スキルです。派生スキルから派生スキルは生まれませんので、『ピュア』が消えると成長できなくなります」
なるほど。
生まれてすぐの鑑定でお父様が「少ないな」と言っていたのはそういうことか。
さて、家に帰ったら『催眠術』を試しまくろう。
ボス戦に参加どころか、見ることすらできなかった僕はモブであると実感した。
ダンジョンの帰り道で少しスキルについて質問してみた。
「ねえ、ガーベラは『剣聖』スキルのレベルがすごいことになってるけど、それは、コツコツ上げたの? すごいね。どれくらいの時間がかかるの?」
「コツコツ上げたことは間違いないですが、これはスキル合成をしているからですよ」
「スキル合成? ごめん。聞いたこともないや」
「一度私が教えたので、そんなはずは無いと思うんですけど……」
やべ、聞いてなかったのバレる。
「教えてくれYO!オレもスキル合成したいZE!」
サイト! ナイス。
助かった。
「わかりました。スキル合成とはその人の代表的なスキルにほかのスキルを合成することです。スキルレベルが10になったら合成できます」
「すごいNE! 合成するとどんないいことがあるの? フゥー!」
「合成すると、派生スキルが生まれやすくなります。でも、いつ派生するかはわからないので、定期的に鑑定してもらった方がいいですね」
ああ、鑑定なんて生まれた時以来してねーや。
僕には関係のない世界だと思ってたから、スキル合成の話も聞いてなかったんだな。
「どうですか?帰りに鑑定してもらいますか?」
「いいNE!ゴートゥーヘブン!」
死んでますよ……。
「わかりました。行きましょう」
絶対わかってないよね?
天国だよ?
まぁ、鑑定くらいならいいか。
ダンジョンを出てからはすぐに冒険者ギルドで報告を済ませて、鑑定屋にきた。
中には怪しげなフードを被った女性がいた。
よく見たら、僕が生まれた時に鑑定してくれた人だった。
「いらっしゃいませ。今日は鑑定ですか? 合成ですか?」
「ひとまず鑑定をお願いします」
「わかりました。鑑定して欲しい方はこちらにおかけください」
旅装だからか、王族とは気づいていないようだ
「それじゃ、僕から」
椅子に座ると、額に手を当てて『鑑定』と呟いた。
すると、急に女性の表情が険しくなる。
そして、その場に土下座した。
「失礼いたしました。王子様であられたのですね。知らなかったこととは言え、すいませんでした」
「あ、いいよ。僕は王子の自覚ないから。それより、どうしてわかったの?」
相手が土下座してる時だけ偉そうにできる!
完全なる小物感。
「それは、『ピュア』のスキルを見て思い出しました」
「なるほど、僕のスキルはそんなに珍しいのかな?」
「はい、それは、もう。長くこの仕事をやってますが、お一人だけです」
「へぇ。それで、鑑定の結果はどうだったの?」
「はい。『ピュア』がレベル5、『ドラゴンハート』がレベル1です。あと、派生スキルとして『催眠術』がレベル1です」
「おお、派生してたんだ!どんな効果なの?」
「申し上げにくいのですが、『ピュア』と同じようなことしか書いていなく、『相手の心を動かすアクティブスキル』としか書いていません」
まさかのダブり?
まあ、いいや、あとで試そう。
「わかったよ。次はどっちにする? 先にガーベラ行ってみようか」
好きなものは最後に食べる派だ。
ガーベラのスキルレベルは予想ついてるしね。
何も起こらんだろ。
「かしこまりました。それでは、お願いします」
「はい」『鑑定』
彼女はまたもや土下座をした。
「剣聖様でしたか。ご容赦下さい」
「王子より身分は下です。気にしないで下さい」
「かしこまりました。結果ですが、『剣聖』654です。派生スキルはありませんでした」
「あのー、ガーベラさん? 聞いてたレベルと大きく違いますね?」
「すいません。多すぎて把握できないんですぅ」
困った顔のガーベラも可愛い。
やっぱり美少女は正義だ!
「いいよいいよ。さ、最後はサイト様だね」
「イェース!よろしくたのんまぁーっす!イェー!」
「大丈夫ですか?」
鑑定屋は心配している。
「あ、はい、大丈夫なんで、鑑定お願いします」
このやり取り久しぶりに見たな。
「それでは、『鑑定』」
「どうでした?」
またもや土下座する。
「勇者様でしたか。失礼いたしました」
確かにさっきのは失礼かもね。
「構わないさ!ノッてけYO!発表カモーン!」
「はい。まず『勇者』は1のまま、『剛剣』が8『乱魔』が5『瞬光』は10です派生スキルはありません」
めちゃくちゃ上がったね……。
20回レベルアップの音が鳴ったわけで20まで上がったわけではないのね。
だからこんなに上がってるのか。
『瞬光』なんて10になってるし。
「合成もしますか?」
「おねがいするYO!」
「承知しました。『勇者』に合成でよかったですよね?」
『合成』「できました」
「このまま合成しなかったらどうなってたんですか?」
一応、聞いてみる。
「何も起こりません。そのままです。合成すると、ベースになるスキルに合成分のレベルが上乗せされます。もちろん能力も上乗せです。だから合成した方がお得なんですよ。何も問題なければ合成した方がいいです」
「『勇者』や『剣聖』をベースのスキルにするのはわかるんですけど、僕の場合は『ドラゴンハート』がベースになりますか?」
「いえ、『ドラゴンハート』は特殊なスキルでベースにはできません。王族専用スキルですので。例えば、『ドラゴンハート』をお持ちの方が婚姻等で王族でなくなった場合はスキルが消えます。消えるかもしれないスキルをベースにする方はいませんね」
「なるほど。よくわかりました。それじゃあ、僕はどれをベースにすればよいのでしょうか?」
「『ピュア』ですね。『催眠術』はあくまで派生スキルです。派生スキルから派生スキルは生まれませんので、『ピュア』が消えると成長できなくなります」
なるほど。
生まれてすぐの鑑定でお父様が「少ないな」と言っていたのはそういうことか。
さて、家に帰ったら『催眠術』を試しまくろう。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※


未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)
京衛武百十
ファンタジー
俺の名は錬是(れんぜ)。開拓や開発に適した惑星を探す惑星ハンターだ。
だが、宇宙船の故障である未開の惑星に不時着。宇宙船の頭脳体でもあるメイトギアのエレクシアYM10と共にサバイバル生活をすることになった。
と言っても、メイトギアのエレクシアYM10がいれば身の回りの世話は完璧にしてくれるし食料だってエレクシアが確保してくれるしで、存外、快適な生活をしてる。
しかもこの惑星、どうやらかつて人間がいたらしく、その成れの果てなのか何なのか、やけに人間っぽいクリーチャーが多数生息してたんだ。
地球人以外の知的生命体、しかも人類らしいものがいた惑星となれば歴史に残る大発見なんだが、いかんせん帰る当てもない俺は、そこのクリーチャー達と仲良くなることで残りの人生を楽しむことにしたのだった。
筆者より。
なろうで連載中の「未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます」に若干の手直しを加えたVer.02として連載します。
なお、連載も長くなりましたが、第五章の「幸せ」までで錬是を主人公とした物語自体はいったん完結しています。それ以降は<錬是視点の別の物語>と捉えていただいても間違いではないでしょう。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる