中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

ahootaa

文字の大きさ
上 下
9 / 63

第9話 ダンジョンを進めば

しおりを挟む
 ダンジョンに到着した僕たちは、フォーメーションを考えていた。
「やはり、勇者様が前衛で、アーサーが後衛、私が中衛でよろしいですか?」
「それでいいけど、今度は置いていかないでね。前はサルビアがいたから寂しくなかったけど、サイト様も戦うんでしょ?」
「前はごめんさなさい。私、剣を持つと周りが見えなくなる性格なんです」
 知ってます……。

「ダンジョン、イェー!蜘蛛切る僕もぉー!」
「ハイハイ」
「さ、行きましょう」
 僕たちのスルースキルのレベルは上がりまくってる。

 さぁ、レベリングだ。
 って、僕はどのスキルを、上げるんだ?
 もう『ピュア』は使えないけど、くだらないことに使ったのがバレるのもイヤだな。
 ここは剣術スキルを取るために剣を使うべきだよな。
 ま、全部ガーベラがザコは倒すんだけどね。
 やっぱり、中衛なんてしてない。
 ゴリゴリの前衛だ。

 それでもサイトは自分の出来ることを考えて動いている。
 絶対コミュ症こじらせてる痛い人なのに、頑張っている。
 対する僕は後ろでぼーっとしていた。
 しかし、ここはダンジョン。
 ぼーっとしてるわけにはいかなかった。
 バックアタックだ。
 ウェアウルフが1匹後ろから忍び寄っていた。
 後ろからの攻撃まで前衛陣は見ていない。
 
 僕は意を決して行動する。
「助けてぇーーー!」
 全力を振り絞って叫んだ。
 ガーベラへ。
 しかし、ガーベラはかなり前方にいる。サイトもそれについて行っている。
 援軍は絶望的だ。

 ここまでか。
 僕はここで死ぬのか。
 イヤだ。
 もっと美少女を眺めたい!
 純粋な願いが僕を突き動かす。
 
 剣を握る手に力が入る。

 ウェアウルフを、睨みつけ、剣を構える。
 いつもの稽古のことを思い出して、剣を振りかぶる。
 ウェアウルフは敵意を察知して飛びかかってくる。
 俊敏な動きだ。
 ガーベラに比べれば早くはない。

 いける!

 そう直感した僕は剣を振り下ろした。
 直撃した……と思われた攻撃はウェアウルフの胴体をかすっただけに終わった。
 次は攻撃される番だ。
 剣を振り抜いた僕の体勢は崩れている。
 そのとき、

 タッタラー

 レベルアップの音がした。
 どっちだ?
 僕は二つのスキルを持っている。
 どちらも使っていないのに、音が鳴った。
 わからないけど、いつもの相棒を信じよう。

『ピュア』

 魔物に使ったのは初めてだ。
 どうなるかはわからない。
 しかし、一目で分かった。
 ウェアウルフがその辺にいる犬のように感じられたのだ。
 これはチャンス。

 もう一度剣を振りかぶり、振り抜く。
 首が落ちる。
 パァァーっとチリになり、魔石のかけらが残された。
 僕は魔石のかけらを拾い、2人の元へ行きながら考える。

 今のレベルアップはなんだったんだ?
 アレがパーティブースト?
 かかりすぎだろ?
 いや、違うな、今まで縁がないと思って考えてなかったけどピンチブースト――ピンチの時や必死なときにする行動にかかるブースト――だな。
 噂には聞いてたけど、僕には関係ないと思ってたな。
 それとパーティブーストを合わせてレベルアップしたのかな?

 それにしても、レベル3から4までが10年で4から5が2ヶ月ってどういうことよ?
 それだけ濃密な時間だったってことかな?
 よく考えてみれば、女の子を3人も連れてきたり、魔物と戦うなんてやったことなかったもんな。
 
 これが努力するってことかな?
 前の人生も含めてそんなに成果がなかったから、努力なんてしてこなかった。
 目に見えた成果は初めてのことだ。
 これからは努力しよう。

 すると、遠くから声が聞こえてきた。
「イエーイ!レベル上がったZE!フゥー!全部で20も上がったYOー!テンションもゴリアゲー!」
「おめでとうございます!私も一つ上がって『剣聖』スキルが589まで上がりました!」
 どうやら僕の努力はたいしたことなかったらしい。
 もう努力なんてしない。

 そもそも、あのやり取りで会話が成立してるのもおかしいだろ?
 俺のガーベラ取ったら毒盛って殺す。
 それにしても、『剣聖』ってスキル名だったんだ。
 それが、589? 上げすぎでしょ。
 そりゃ、あれだけバトルジャンキーなら上がるのか。
 戦ってるときの動きとか見えないからな。

 サイトも上がりすぎだろ。
 20も上がるんだ。
 僕は一つ上がっただけで「努力の結晶だ」とか言ってたの恥ずかしすぎる。
『勇者』は間違いなくチートスキルだし。
 なんか、僕って僕のままだな……。

 いや、でも『ピュア』が魔物に効くのは大きな収穫だ。
 今まで戦ったことなかったけど、『ピュア』を使えば魔物を倒せる!
 マックス5匹だけど。

 うすうすは気づいてたけど『ピュア』って自分がピュアになってるんじゃなくて、相手に作用するようだな。
 魔物が浄化されたように見えたもんな。
 アドルフお兄様に効いたのもこのお陰だろうな。
 それなら、ガーベラから告白してきたことも説明がつくしな。
 
 これからは、仲間を増やす方向で動いた方がいいだろうな。
 よし、ダンジョンから帰ったら冒険者ギルドでテキトーに見つけよう。
 そして、そいつを『ピュア』で仲間に引き込めばいいんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。

立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は 小学一年生の娘、碧に キャンプに連れて行ってほしいと お願いされる。 キャンプなんて、したことないし…… と思いながらもネットで安心快適な キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。 だが、当日簡単に立てられると思っていた テントに四苦八苦していた。 そんな時に現れたのが、 元子育て番組の体操のお兄さんであり 全国のキャンプ場を巡り、 筋トレしている動画を撮るのが趣味の 加賀谷大地さん(32)で――。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...