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第一章 戦士達の集結

第三十二話 修練場でのハプニング

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「今の攻撃は何!?」
「新たな技だけど、凄く痛そう……」
 零夜の新たな技に皆が驚きを隠せずにいて、倫子は痛みで苦しんでいる。
(女性相手に使う技だからな。俺の博愛ホールドからは逃れられない!)
 零夜が心の中で思ったその時、倫子はすぐに零夜の顔を掴んで息を吸い込む。
「よし!」
 すると倫子は零夜の唇に自らの唇を強く合わせてキスをしてしまった。
「うおっ!?まさかのキス!?」
「これは想定外かも!」
「なんか恥ずかしくなってきた……」
 殆どが赤面する中、ミミだけは怒りのオーラを放ってしまい、リングに上がってきた。
「倫子さん!今のはやりすぎです!」
「?」
 倫子がミミの方を向いた途端、零夜は仰向けに倒れてしまい、鼻血を出していた。
「鼻血が出たわ!しっかりしなさい!」
「ごめん、零夜君!やり過ぎちゃった……」
「やり過ぎで済むなら……警察はいりませんよ……」
 零夜は鼻血を出しながらも倫子の謝罪に答え、ミミが彼にヒーリングを施す。
「私も零夜の事が好きだからキスしたかったのに!」
「ごめんね。じゃあ、ミミちゃんもしたらええやん」
「へ!?私が!?」
 倫子の謝罪と提案にミミは思わず驚いてしまう。
「ミミちゃんは零夜君の事が好きだから、この場面でキスをしてもいいと思うけど」
「私なんか無理ですよ!多分、失敗しそうで怖いですし……」
 ミミは顔を赤くしながら恥ずかしがり、零夜のヒーリングを終えて彼に視線を移す。
「けど、やってみます!」
「うんうん。頑張れ!」
 ミミは落ち着きながら息を吸い込み、零夜の唇にキスをした。すると零夜が目を覚まし、辺りを見回す。
「うう……俺、倫子さんにキスされてから覚えてないな……まさかあのキスで失神してしまうなんて情けないぜ……」
 零夜が項垂れた直後、倫子とミミが彼の下に駆け寄る。
「そうなると耐性をつけておかないとね。あと、私も零夜にキスをしたから」
「えっ!?いつの間に!?」
 ミミの赤面しながらの告白に零夜は驚きを隠せずにいた。
「まさか2度もされるとは……けど、ここで倒れたらどうしようもないからな」
 零夜はすぐに起き上がり、倫子に視線を移す。
「もう一本お願いします!」
「よし!」
 零夜と倫子は再び組み合い始め、ミミはリングから降りる。
「私達もやるわよ!」
「そうね。二人が頑張っているのを見たら、放っておけないわ!」
「私も頑張らないと!」
 ミミ達はそれぞれのトレーニングマシンへと向かい、自身の身体を鍛え始める。
「僕達も!」
「ええ!」
「おいもやるでごわす!」
 ヒューゴ達も後に続き、この光景をトラマツ達が確認しながら見ていた。
「零夜には女性のキスには弱いかも知れないが、諦めずに立ち向かう姿は見事と言えるだろう」
「だな。しかし、それでも立ち上がる姿は見事だと言える。後はどの様に成長するかだな」
「そうだな……にしても、キスされるなんて驚いたな……当分この災難は続きそうだ……」
 トラマツは零夜が倫子とプロレスでの練習試合に臨む姿を見ながら、思わず苦笑いしてしまうのだった。
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