お題小説

095 ： 修道院

１６

「マリア！！」

私の決意を話そうと思い、彼女の家を訪れたが、彼女はまだ戻ってはいなかった。
夜が更けても、彼女は戻っては来ない。
こんなことは今まで一度もなかった。
胸騒ぎを感じた私は、彼女を探しに夜の町へ向かった。



「やあ、勝者のヴィクトルじゃないか。」

「パトリス…ご機嫌だな。」

町で偶然、パトリスに出会った。
彼は頬を赤く染め、相当酒に酔っているように見えた。



「君の靴はうまくなかったから、酒でも飲んで憂さ晴らしさ。
しかし、あの女は本当に君にぞっこんだな。
あれほど、愛させるとは君もたいしたもんだ。
ただ、もう少しマシな女なら良かったんだけどな。」

「おまえ、マリアに会ったのか？」

「あぁ、会ったさ。
そして、君と私とのゲームのことを話した。
あんな女にいつまでもつきまとわれたんじゃあ、君も大変だと思ってな。
勝者たる君へのはなむけの気持ちさ。」

「な…なんてことを…！
それで、マリアは？マリアはどうした？」

「えらくショックだったようだな。
あの女、本気であんたに愛されてると思ってたんだな。
まったくおこがましい女だぜ。
私の話を聞いたら、泣きながらどっかへ…」

パトリスの言葉が終わらないうちに私は彼の顔を殴りつけていた。
足を蹴り倒し、彼の身体に馬乗りになった私は彼の全身を殴りつけた。
私の拳は止まることを知らず、殴る度に真っ赤な血に染まっていく。
そのうち駆け付けた男達に私は取り押さえられ、その場には死んだようにぐったりとしたパトリスが倒れていた。
止められなければ、私は彼を殺してしまっていたことだろう…



そして、次の日、町外れの廃屋の中から彼女が見つかった。
みつかった彼女の身体は冷たく…もう息をしていなかった…